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  • 哲学者は物理学者の本気の拳をどう受け止めるか…谷村省吾「一物理学者が観た哲学」を読んで|R. Maruyama

    こんなものが読めるとは思っていなかった。驚き、悲しみ、何度も頭に血がのぼった。そして、著者の本気度に慄いた。 物理学者の谷村省吾先生(以下、谷村氏)による、『〈現在〉という謎』への「補足ノート」が公開された。本書の発行時から、公開が予告されていた文章だ。 谷村省吾「一物理学者が観た哲学」(pdf) http://www.phys.cs.is.nagoya-u.ac.jp/~tanimura/time/note.html 書籍『〈現在〉という謎』に関しては、感想をブログに書いた: 同書で谷村氏と分析哲学者たちの応酬を読んだ私は、当初は谷村氏が「挑発者」の役を演じているのではないかと思った。裏ではお互いわかり合っていながらも、本を面白くするために、敢えて対立点を強調したのではないかと。そうであってほしいとも思っていた。 しかし、違った。本気だった。谷村氏は、物理学者としてのインテグリティを賭し

      哲学者は物理学者の本気の拳をどう受け止めるか…谷村省吾「一物理学者が観た哲学」を読んで|R. Maruyama
    • “感染”した時間|斎藤環(精神科医)

      花々を見て、煙のまとわりつく木々を見て、のぼっては下るカラスの群れを見て立ちつくすわたしに、ピーターが何か言った。「野菜に囲まれて物思いかい」だったかしら。「おれはカリフラワーより人間がいいぞ」だったかしら。ある朝、朝食どき、テラスでのことだった。ピーター・ウォルシュ……もうすぐインドから戻る。六月?七月?どちらだか忘れた。だって、あの人の手紙は恐ろしく退屈なんですもの。覚えているのは語られた言葉、あの眼差し、ポケットナイフ、笑い顔、不機嫌。何百万の物事が何もかも消え失せて、残ったのがカリフラワーについての二言三言だなんて、とても不思議。 (バージニア・ウルフ著、土屋政雄訳『ダロウェイ夫人』光文社) 被災した時間 大規模な災厄は、人間の時間意識を変える。 そのことを最初に意識したのは9年前、東日本大震災の直後だった。震災は時間の流れを分断し複線化した。列島は複数の時制へと引き裂かれた。目前

        “感染”した時間|斎藤環(精神科医)
      • ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』読み解き支援キット 池澤夏樹 監修|新潮文庫 | 新潮社

        本キットは池澤夏樹氏の著書『ブッキッシュな世界像』(白水社)や『世界文学を読みほどく―スタンダールからピンチョンまで【増補新版】―』(新潮選書)に収録され、『百年の孤独』の文庫化に際して再編集したものです。ゴシック体で示したページ数は新潮文庫版のものです。物語の結末が記されていますのでご注意ください。〔 〕内は池澤氏が便宜的に登場人物に割り当てた識別子または注です。(新潮文庫編集部) © Natsuki Ikezawa. All Rights Reserved. PDF版ダウンロード マコンド〈百年の歴史実話・抄〉―豚のしっぽがやってくるまで― 9 アウレリャノ・ブエンディア〔大佐〕、銃殺隊を前に、氷を見た日を思う。 9 「マコンドも当時は……小さな村だった」〔つまりホセ・アルカディオ・ブエンディアの若かった当時〕まだものに名前がなく、いちいち指さしていた。メルキアデスたちが毎年三月に来る

          ガブリエル・ガルシア=マルケス『百年の孤独』読み解き支援キット 池澤夏樹 監修|新潮文庫 | 新潮社
        • 国が見捨てた就職氷河期世代の絶望…バブル崩壊後の30年間で何が起きたか(小林 美希) @gendai_biz

          2021年9月29日に自民党の総裁選が行われ、その後には総選挙が控えている。政治家が「中間層の底上げ」を訴えるが、考えてみてほしい。もとはといえば、中間層を崩壊させたのは政治ではなかったか。 国際競争の名の下で人件費を削減したい経済界は政治に圧力をかけた。不況がくる度に労働関連法の規制緩和が行われ、日本の屋台骨が崩れていった。最も影響を受けたのが就職氷河期世代だ。これからを担っていくはずだった若者たちが、非正規雇用のまま40~50代になった。 私が非正規雇用の問題を追って18年――。いったい、何が変わったのか。 大卒就職率6割以下の時代 1980年代には8割あった大卒就職率は、バブル経済が崩壊した1991年以降に下がり始めた。そして2000年3月、統計上、初めて大卒就職率が6割を下回る55.8%に落ち込んだ。大学を卒業しても2人に1人は就職できなかったというこの年に、私は関西地方で大学を卒

            国が見捨てた就職氷河期世代の絶望…バブル崩壊後の30年間で何が起きたか(小林 美希) @gendai_biz
          • 「web上で読める哲学系ブックリスト」のリスト - 川瀬和也 研究ブログ

            web上で読めるブックリストは、独学する際の重要な指針となってくれます。しかし、様々な媒体でバラバラに公開されているため、存在に気づくことがなかなか難しいという難点があります。そこで、ここでは、自分用の備忘録も兼ねて、web上で見つけた哲学系のブックリストを、簡単に分類した上でリスト化することにします。(記事中、敬称は「さん」に統一します。) 最初に読みたい 「哲学を学ぶなら岩波文庫を全部読め」を信じてはいけない理由 https://mitorizu.jp/column/column-interview/philosophy-as-learnable 長門裕介さんのインタビュー。「岩波文庫を全部読め」のような読書指導がなぜよくないのか、古典と入門書の関係をどう考えれば良いかなど、最初に読んでおくと心構えができる。哲学入門者のためのブックリストもある。 分析哲学 分析系の理論哲学関連で、ある

              「web上で読める哲学系ブックリスト」のリスト - 川瀬和也 研究ブログ
            • 千葉雅也「失われた時を求めて」を求めて|文化|中央公論.jp

              ネオリベラリズムとコロナ、フーコー、そして時間と悪……。『勉強の哲学』『ツイッター哲学』などの著書もある、哲学者・小説家の千葉雅也氏による「時間論」序章。 タバコとコロナ この間あちこちでタバコが吸いにくくなったことを惜しむ発言をしているのだが、昨年の四月以降、屋内原則禁煙になったのは、喫煙者としてはコロナ問題より大きいくらいである。ついに本格的に風景が変わってしまった。歴史に深く漆黒の溝が刻まれたかのようだ。それは禁煙推進、嫌煙の人々にとっては良いというか当然しかるべき変化なのだろうが、僕としては人類の何か貴重なものがついに失われてしまったという暗い感慨に浸らざるをえないのである。 個人的嗜好としての喫煙の肩身が狭くなったというだけではなく、そのことは世の中の全体的な変化と結びついていると僕は考えている。 昨年から我々はコロナ禍にあり、マスクをして飛沫を防ぎ、頻繁に手を洗い、できるだけ接

                千葉雅也「失われた時を求めて」を求めて|文化|中央公論.jp
              • 【考察】細かすぎて伝わらないポケモン剣盾小ネタ集 : 記号論研究所 マンガ・アニメ・ゲーム考察

                ウィリアム・ブレイクは、千年王国の実現を目指した ランターズ運動に強い影響を受けた人物であり、 神によって未来が決められるとする恩寵論の支持者であります。 ホップがねがいぼしを拾って願いを3回唱えるシーンは このブレイクの詩の世界観のまんまなのです。 未来はすでに俺の手の中にある!でお馴染みのゴウの決め台詞にも、 こうした設定が強く反映されています。 ザシアン・ザマゼンタがダイマックス出来ない理由 前述の通り、ザシアンとザマゼンタの故郷は ムゲンダイナの支配の外、スコットランド(ハイランド)にあり、 アングロサクソンが連れてきた神の恩寵が及びません。 ハイランドは1000年以上前の風景がそのまま残る、 イギリス人の心の故郷とされる場所です。 平地にあったローランドとは異なり、 イングランドとの同化を拒んで独自性を保ち続けました。 ダイマックスはガラル地方の外からやってきた ムゲンダイナがも

                  【考察】細かすぎて伝わらないポケモン剣盾小ネタ集 : 記号論研究所 マンガ・アニメ・ゲーム考察
                • 物理学者と哲学者は「時間」を語ってどうすれ違うのか…『〈現在〉という謎』を読んで - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

                  〈現在〉という謎: 時間の空間化批判 作者: 森田邦久 出版社/メーカー: 勁草書房 発売日: 2019/09/27 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 物理学者と哲学者によるシンポジウムをもとに企画された論考集。各章では時間論、とくに「現在」の概念を巡る論考を物理学者と哲学者(+仏教学者1名)が書き、それに対するコメントとリプライが掲載されている。 全8章からなり、どの論考も面白い。だが、理論物理学者の谷村省吾先生(以降、谷村氏)の論文とそれへの佐金武氏のコメント、青山拓央氏・森田邦久氏(いずれも分析哲学者)の章に対する谷村氏のコメントからなる応酬が際立っている。 谷村氏はしょっぱなから、 そもそも現在は謎なのか?とさえ思う。(谷村論文、p.1) と、本書の問いそのものの意義に疑問をつきつける。「率直にいって、形而上学者たちとの対話は難儀であった。私の話はわかってもらえないよ

                    物理学者と哲学者は「時間」を語ってどうすれ違うのか…『〈現在〉という謎』を読んで - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
                  • Daily Life:『〈現在〉という謎』の感想

                    March 03, 2020 『〈現在〉という謎』の感想 編者の森田さんよりご恵贈いただいた。 www.keisoshobo.co.jp/book/b477659.html 最近はいただいた本でもなかなか読む時間がとれず、お礼もままならないことが多い。しかし、本書については著者の一人である谷村さんが追加の論考「一物理学者が観た哲学」を公開され、著者間でかなりの行き違いが生じているらしいことがわかった。哲学者と科学者の対話は私にとっても大きな関心事であるので、本書を通読して感想を述べさせていただこうと思った。 そういう経緯であるので、以下の感想は谷村さんのノートに触発されて書き始めたものである(ずいぶん時間がかかってしまったが)。しかし、今回の感想は『〈現在〉という謎』の本に限定して書いており、谷村さんのノートの内容や、谷村さんのノートにさらに反応していろいろな人が書いたものは念頭においてい

                    • ブルシットジョブから抜け出すために、自分を「ホラー化」せよ - 集英社新書プラス

                      情報が加速度的に増加し、スマートフォンをはじめとしたデジタルデバイスによって様々な行動が不可視化されている現代。そのような「ブラックボックス」が溢れる時代を、私たちはどう生きるべきか。 現代人にとって重要なこの問いを、著述家・書評家の永田希が、書物と貨幣の歴史を遡りながら現代思想や文学作品・SFを通して解き明かしたのが9月17日発売の新書『書物と貨幣の五千年史』である。本書の主題となっている「ブラックボックス」という概念をより掘り下げるべく、集英社新書プラスでは4本の対談を掲載。 第1回目は、コンサルティング会社に勤める傍ら2017年に小説『構造素子』(早川書房)でデビューし、今年の7月には、SF小説を書くことで未来の世界を構想するコンサルティング手法「SFプロトタイピング」の理論と実践を記した『未来は予測するものではなく創造するものである−考える自由を取り戻すための<SF思考>』(筑摩書

                        ブルシットジョブから抜け出すために、自分を「ホラー化」せよ - 集英社新書プラス
                      • 社会心理学領域における「災害ボランティアの専門家」の言説の検討―令和6年能登半島地震をめぐるマスメディア報道の問題性に関連して―

                        《時評》 社会心理学領域における「災害ボランティアの専門家」の言説の検討 ――令和 6 年能登半島地震をめぐるマスメディア報道の問題性に関連して―― 宮 下 祥 子 はじめに 2024 年 1 月 1 日に発生した令和 6 年能登半島地震を、筆者は夫の実家がある石川県羽咋郡 志賀町で経験した。能登半島の入り口( 口口能登 に位置し最大震度 7 を観測した志賀町で、一 晩を避難所の小学校で明かした後、翌 2 日夜に自宅のある石川県金沢市に戻り、その後も何度 か夫の実家と自宅とを行き来しながら震災後を過ごしている。本稿は、被災者として、また日 本近現代史を専攻する研究者として、標記の問題について執筆するものである。本稿の脱稿日 は 2024 年 4 月 6 日であり1、 「現在」とはこの時点をさす。 1.筆者の見た被災地状況 ひとりの人間が体験したり見聞きできる範囲は、ごく狭いものに限られる。

                        • ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら

                          2024年2月29日時点での既刊のちくま学芸文庫全2,036点(セット版を除く)をあげた。 文庫の整理番号順に従って表記(一部変更あり)した。 「♾️」マークはMath&Scienceシリーズ(青背)を示す。 人名表記の揺れ(例「シモーヌ・ヴェイユ」と「シモーヌ・ヴェーユ」)は訳者に従い、統一はせずそのままにした。 編者、訳者は一部を除き割愛し、編著者が3人以上に及ぶ場合は代表者1人の名前のみ記した。 Math&Scienceシリーズのみの刊行書目一覧はこちら。 浅田彰『ヘルメスの音楽』 赤坂憲雄『異人論序説』 赤坂憲雄『王と天皇』 赤坂憲雄『排除の現象学』 赤坂憲雄『遠野/物語考』 赤坂憲雄『象徴天皇という物語』 赤坂憲雄『柳田国男を読む』 天沢退二郎『宮沢賢治の彼方へ』 飛鳥井雅道『明治大帝』 E・アウエルバッハ『ミメーシス[上] ヨーロッパ文学における現実描写』 E・アウエルバッハ『

                            ちくま学芸文庫刊行書目一覧 最新版|かるめら
                          • 日本姉SF傑作選を編む。 - 名馬であれば馬のうち

                            お願いだから戻ってきて、置いていかないで、と頼んでみても、姉はもうどこにもいない。 ――ケヴィン・ウィルソン「今は亡き姉ハンドブック:繊細な少年のための手引き」 日本姉SF短篇傑作選を編む。 2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫 SF エ 7-1) 発売日: 2020/11/19メディア: 新書 ・予約注文してた『2000年代海外SF傑作選』が土曜日まで届かねえ〜。ということで織戸さんに便乗して何者にも影響されない、完全にオリジナルな発想から出た企画として架空のアンソロ組むあそびをやります。 saitonaname.hatenablog.com ・「姉SF」というワードが市民権を得たのは飛浩隆『自生の夢』(追記: 織戸さんから指摘がありましたが、単行本化は2016年で、2019年は文庫化の年です)が出た2019年ごろだったと記憶しています。「星窓」がなんか姉SFみたいな言われ方して、

                              日本姉SF傑作選を編む。 - 名馬であれば馬のうち
                            • デビュー40周年をむかえ、なおあらたな領域を開拓し続ける作家・神林長平──『先をゆくもの達』 - 基本読書

                              先をゆくもの達 作者: 神林長平出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2019/08/20メディア: 単行本この商品を含むブログを見る『先をゆくもの達』は、SFマガジンの連載の単行本であり、同時に今年(2019年)デビュー40周年を迎えた神林長平が「この先へ」向かうための宣言ともとれるような、執念の長篇である。読んでいて「か、神林長平、まだまだアクセルを踏み込むのか……」と愕然とする思いがあった。「地球」と「火星」の両方が舞台になるなど、他いくつかの面で神林の代表作の火星三部作を思い起こさせるが、主題となっているのは神林がこれまで描き続けてきた「意識の在りよう、その変遷」であり、本作ではそのテーマをさらに発展させ、「次世代の意識と知性」に踏み込んでいる。 で、次世代の意識ってなんやねんって感じなんだけど、当然今の我々の持っている「意識」とは別物なのである。本作は、全6話、それぞれ別の人物・

                                デビュー40周年をむかえ、なおあらたな領域を開拓し続ける作家・神林長平──『先をゆくもの達』 - 基本読書
                              • 【真実】1万時間の法則はウソ!たった20時間あればスキル取得は可能 - しんゼミ

                                こんにちは、しんです。 みなさん「新しく何かを勉強し始めて、あるレベルまで達するには1万時間必要である」とする1万時間の法則を知っていますでしょうか? 誰でも1度は聞いたことがあると思います! これは「Outliers」という本の中に書いてあるものから引用されたものです。 ですが、実際この「1万時間の法則」を正確に理解できている方は1割もいないと思います。むしろ、これが当たり前になっているから怖い。 実は、「1万時間の法則」は「新しく何かを勉強し始めて、あるレベルまで達するまでの時間」ではありません!! なんなら、20時間で新しいスキルは習得できるのです。まずはいつも通り、なぜそうなるのかの解説をしていきます。 「1万時間」論って本当は… 「1つのスキルを手に入れるのにかかる時間は1万時間」というのは毎日8時間勉強しても約3年半もかかってしまう計算になります。 多くの活用できる時間をもって

                                  【真実】1万時間の法則はウソ!たった20時間あればスキル取得は可能 - しんゼミ
                                • 表現された言葉と現実の関係性 〜現実の時間/持続と重い言葉(付:ベルクソン『時間と自由』) - 日々是〆〆吟味

                                  言葉と現実 〜言葉って、本当に言いたいことを表しているのかしら 時間と持続 小説と持続的時間 時間の重みと言葉 言葉と現実の緊張関係 参考となる本 【ベルクソン『時間と自由』】 言葉と現実 〜言葉って、本当に言いたいことを表しているのかしら 時間と持続 またベルクソンという哲学者は時間というものは持続であると考えました。一般に理解されている時間は空間的に区切られたもの、つまり本来なら時間とは区切ることも出来ないずっと続いているものなのに、1秒とか1分とかわけていて理解している、それは空間を1cmとか10mのようにしてわけているのを時間に当てはめ理解した気になっている、というわけですね。 小説と持続的時間 となると小説の言葉というものはこうした区切りがなくずっと持続しているものでしょうか。結構そんな気もしますね。だって小説は読み始めたら終わるまでずっと言葉が続いていますから。ベルクソンが時間

                                    表現された言葉と現実の関係性 〜現実の時間/持続と重い言葉(付:ベルクソン『時間と自由』) - 日々是〆〆吟味
                                  • 図書館には人がいないほうがいい 内田樹(著) - アルテスパブリッシング

                                    初版年月日 2024年6月27日 書店発売日 2024年6月27日 登録日 2024年5月27日 最終更新日 2024年6月24日 紹介 コモンとしての書物をベースに新しい社会を作るために。 司書、図書館員、ひとり書店、ひとり出版社…… 書物文化の守り手に送る熱きエール 世界でただ一人の内田樹研究家、朴東燮氏による 韓国オリジナル企画の日本語版を刊行! 2023年の講演「学校図書館はなぜ必要なのか?」をメインに、 日韓ともにきびしい状況に置かれている 図書館の本質と使命、教育的機能、あるべき姿を説き、 司書や図書館人にエールを送る第1部「図書館について」と、 「書物の底知れぬ公共性について」(書き下ろし)、 「本の未来について」、「書物は商品ではない」など、 「読む」ことの意味や書物の本質と未来を語る 第2部「書物と出版について」で構成。 朴東燮氏の卓抜な内田樹論「『伝道師』になるというこ

                                      図書館には人がいないほうがいい 内田樹(著) - アルテスパブリッシング
                                    • 「時間のあり方」は、「金太郎飴・富士山・渦」の3つで説明できる(吉田 伸夫)

                                      仕事はしなきゃいけないもの、服は畳まなければならないもの、冬の次には春が来るもの……。私たちの周りには、当たり前すぎて疑うことのない「常識」が多々あります。 「我々が体感しているこの瞬間は『現在』である」ということも、常識の一つかもしれません。しかし、最新科学ではその「常識」が覆されつつあります。今回は、物理学の観点から私たちの「時間」に関する「常識の呪い」を解いてみましょう! 「常識」を覆すことの難しさ 今年1月に『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』(講談社ブルーバックス)という時間論の著書を上梓したが、その執筆中に痛感したのが、「常識」を覆すことの難しさである。 ここで言う常識とは、多くの人が当たり前だと信じる知識というより、当たり前すぎて疑うことを思いつきもしない思考の枠組みである。時間に関しては、「現在しか存在しない」と思ってしまうことが、そうした常識に相当する。 日常的な実感

                                        「時間のあり方」は、「金太郎飴・富士山・渦」の3つで説明できる(吉田 伸夫)
                                      • コテンto名著

                                        <古代・中世思想>ソクラテスの無知の知と産婆術 🍀 ソクラテスの問答法 🍀 プラトンのイデア論と弁証法(かんたん版) 🍀 プラトンの弁証法 😀 プラトンのイデア論 😀 プラトンの『ゴルギアス』(1)ゴルギアス編 🍀 プラトンの『ゴルギアス』(2)ポロス編 🍀 プラトンの『ゴルギアス』(3)カリクレス編・上 🍀 プラトンの『ゴルギアス』(4)カリクレス編・下 🍀 プラトンの『ゴルギアス』(5)終幕 🍀 プラトンの『ソクラテスの弁明』 🍀 プラトンの『クリトン』 🍀 プラトンの『国家』 アリストテレスの形而上学(かんたん版) 😀 アリストテレスの形而上学 😡 アリストテレスのエネルゲイア 🍀 アリストテレスの『二コマコス倫理学』(かんたん版) 🍀 アリストテレスの『二コマコス倫理学』(1)幸福論 😀 アリストテレスの『二コマコス倫理学』(2)中庸論 😀 アリ

                                        • 変わるのは自分 - 人事からみた採用とキャリアアップの実情

                                          世の中はどう変化するかわからない 「子供の頃よく遊んだ公園が、今はお年寄りだらけになっている」 日本の風景も少しづつ変わってきています 長野県では「公園で遊ぶ子供の声がうるさい」というクレームから、公園が閉鎖されニュースにもなりました お年寄りの人数が多い地域では、絶対数の多いお年寄りの声が反映されやすいです もっと驚いたのは、最近ラブホテルの閉店が多いそうですが、その後が老人介護施設になっている場合も多いということです 一部屋一部屋トイレと広いバスが付いているので、確かに贅沢な介護施設になります 少子高齢化と一口に言っても、考えてもみないものが考えてもみなかった変化をします 子供が減って遊び場が増えた老人の憩いの場に・・・ 若者が減ってラブホが高齢者の施設に・・・ 『万物流転』世の中は常に変化し続けます 他人を変えることはできない 新入社員の頃はすべてにおいて弱者なので、自分が変わるしか

                                            変わるのは自分 - 人事からみた採用とキャリアアップの実情
                                          • 巨大数論の面白み ―― 現代思想 「巨大数の世界」 - 世界線航跡蔵

                                            現代思想 2019年12月号 特集=巨大数の世界 ―アルキメデスからグーゴロジーまで― 作者:鈴木真治,フィッシュ,小林銅蟲,詩野うら出版社/メーカー: 青土社発売日: 2019/11/28メディア: ムック 『現代思想2019年12月号 特集=巨大数の世界』を読んだ。かのフィッシュ氏による巨大数論解説に始まり、巨大基数や組合せ論や、古代ギリシャ以来もしくは仏教における巨大数、巨大数や数学的実体の存在論、永遠についての時間論、はたまたジンバブエドルなどを網羅している。巨大な概念を愛好する向きにはたまらない一冊である。またそれらのトピックが単に巨大であるという理由で任意に集められたわけではなく一定の相互関係を持っている点は注目に値する。 思想史ないし数学史の延長上における巨大数の位置付けは「情報社会にとって『数』とは何か」という大黒岳彦氏の論で述べられていて、これも大変勉強になった。現代の、

                                              巨大数論の面白み ―― 現代思想 「巨大数の世界」 - 世界線航跡蔵
                                            • イベント採録(前半)「ジェンダー格差、労働環境、日本映画のこれからを考える」:JFP×CLP×TIFF2021|Japanese Film Project

                                              イベント採録(前半)「ジェンダー格差、労働環境、日本映画のこれからを考える」:JFP×CLP×TIFF2021 2021年11月2日、Japanese Film Project、Choose life project、そして東京国際映画祭とのコラボによるオンラインシンポジウム「ジェンダー格差、労働環境、日本映画のこれからを考える」が開かれました。司会は小島慶子さん(エッセイスト)で、荒木啓子さん(PFFディレクター)、石井千晴さん(助監督)、田中東子さん(メディア文化研究者/大妻女子大教授)、西川美和さん(監督)、そしてJFP発起人の歌川達人が登壇しました。イベントの内容を上下に分けて採録します。(以下敬称略) ー 映画界のジェンダー格差と、その弊害小島:今日のテーマは「ジェンダー格差、労働環境、日本映画のこれからを考える」です。 日本映画のジェンダー格差がどのような実態なのか、どういった

                                                イベント採録(前半)「ジェンダー格差、労働環境、日本映画のこれからを考える」:JFP×CLP×TIFF2021|Japanese Film Project
                                              • 美しき日本語の世界。[其の十一] - ioritorei’s blog

                                                其の十一 美しき日本語の世界。 美しき日本語の世界。 海外の人が感嘆する「日本の考え方・言葉」 侘び寂び(わびさび) もったいない 生きがい 改善 和 渋い おもてなし 桜梅桃李(おうばいとうり) 思いやり 木漏れ日 根底にあるのは「察しと思いやり」の文化 海外の人が感嘆する「日本の考え方・言葉」 我々が何気なく使っている日本語の言葉には、海外の人の胸を打つものがあるようだ。 科学ニュースサイトのZMEサイエンスは、日本は最新技術で知られるとともに古くからの哲学を持つ国だと説明している。 また、親日国としても知られるトルコのデイリー・サバ紙は、長寿国・日本の考え方をぜひトルコも取り入れるべきだと説く。 「侘び寂び」は日本固有のコンセプトとして有名だが、意外にも「木漏れ日」などのワードも海外にはない表現となっているようだ。 海外のメディアも注目する日本語には、いったいどんな言葉があるのか注目

                                                  美しき日本語の世界。[其の十一] - ioritorei’s blog
                                                • ノーベル賞、日本人の受賞者まとめ

                                                  ノーベル賞、日本人の各受賞者を紹介湯川秀樹(ゆかわ ひでき)1949年、ノーベル物理学賞を受賞。 功績: 中間子の存在の予想 原子核内部において、陽子や中性子を互いに結合させる強い相互作用の媒介となる中間子の存在を1935年に理論的に予言した。 朝永振一郎(ともなが しんいちろう)1965年、ノーベル物理学賞を受賞。 功績: 量子電気力学分野での基礎的研究 相対論的に共変でなかった場の量子論を超多時間論で共変な形にして場の演算子を形成し、場の量子論を一新した。 超多時間論を基に繰り込み理論の手法を発明、量子電磁力学の発展に寄与した。 川端康成(かわばた やすなり)1968年、ノーベル文学賞を受賞。 功績: 『伊豆の踊子』『雪国』など、日本人の心情の本質を描いた、非常に繊細な表現による叙述の卓越さに対して 江崎玲於奈(えざき れおな)1973年、ノーベル物理学賞を受賞。 功績: 半導体におけ

                                                    ノーベル賞、日本人の受賞者まとめ
                                                  • 「No music No life」とは何か。それはルサンチマンでもある。 - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                                    夏が終わり、今日から9月だね。 今年の夏は、フジロックやサマーソニックといった夏フェスを楽しんだ人も多いだろう。 しかしフジロックは、ターゲットが若者ではなく少し上の世代にフォーカスしているという話もある。 b.hatena.ne.jpZ世代が消費者としてショボすぎて切り捨てられ始めてるんだよな。全てが団塊ジュニアからロスジェネに向けて作られ始めてる。トップガン、ウルトラマンなんてその典型だよ。このCMダセェwってイジる前に「捨てられた世代」になる自覚がないとヤバイ。 だってよ。 ふーん、そうなんだ。 なんか気持ち悪いな。 ただマーケティングのターゲットにされているということ、ただの消費活動、そんな低レベルの行為でZ世代にマウント取るオッサン、俺は個人的にはなりたくないね。 気持ち悪いのはオッサンだけじゃない。 The FUJIROCKER in you🤘🔥#フジロック まであと1ヶ月

                                                      「No music No life」とは何か。それはルサンチマンでもある。 - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                                    • TENETメモ:『TENET』世界から生還するための「あら探し」 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

                                                      ずっと、『TENET』のことを考えている。 私だけではないようだ。日本での公開から3週間ほど経つが、『TENET』についての記事・ブログが書かれ続けている。「難解」と言われるプロットを解説するもの、科学的視点から面白さや矛盾を指摘するもの、ノーランの過去作を引き合いに出した作品論など。これほどみんなが語りたくなる映画が、近年あっただろうか。 『TENET』を語る人はよく、「この映画で○○は本質じゃないんだよ、本質は××にあるんだよ」という話法を使う。○○や××に入るのは、「物理学との矛盾」や「プロットの辻褄」や「映画表現の追究」や「ノーラン監督の宗教観」など。私もまた、自分なりの角度から、『TENET』に深く魅せられた。 私の『TENET』の見方、私への『TENET』の刺さり方は、広い共感を得られるものではないかもしれない。でも、だからこそ書いてみたい。書かずにはいられない。 ネタバレは控

                                                        TENETメモ:『TENET』世界から生還するための「あら探し」 - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
                                                      • 福嶋亮大が語る、平成文学の負債と批評家の責務 「灰から蘇ってくるものも当然ある」

                                                        福嶋亮大氏は昨年9月、『らせん状想像力 平成デモクラシー文学論』を刊行した。「私―異常な主観」、「世界-ディストピア」、「言語-俗語化の浸透」といった傾向のみられた平成30年あまりの文学について考察した内容だ。舞城王太郎、川上弘美、村上春樹、多和田葉子、高橋源一郎、阿部和重、高橋源一郎、村上龍などなど……。ナラティヴ、内向、政治と文学、私小説、犯罪、歴史と虚構などのテーマに沿って多くの作家、作品が論じられている。昭和から平成、そして令和の今に至るまで日本の文学はいかに変わったのか、あらためて著者の見解を聞いた。(円堂都司昭/4月16日取材) 意識のもつ不安定さや空虚さを、平成文学はかたどっていた 福嶋亮大氏 ――『らせん状想像力』は、まず「はじめに」で問題群を提示した後、第一章の「舞城王太郎と平成文学のナラティヴ」に入ります。福嶋さんは2004年に東浩紀氏が発行していたメールマガジン「波状

                                                          福嶋亮大が語る、平成文学の負債と批評家の責務 「灰から蘇ってくるものも当然ある」
                                                        • 「将来を適切に切り分けること ――エーデルマンの再生産的未来主義批判を念頭に」『現代思想』2019年9月号 - tkira26's diary

                                                          本稿は『現代思想』2019年9月号に執筆した論文の転載である(許可済)。掲載時のままであり、修正は行っていない。ただし、ブログの仕様上、ルビの削除など、表記に若干の変更が生じた箇所がある。 1. はじめに:将来は必要か? 私たちは次世代を生み育てなければならないのか。もしかしたらその必要はないのではないか。だとすると、将来世代との規範的関係をめぐる議論はどのように変わるだろうか。本稿はこの問いを念頭に置きながら、いまだ生まれざる将来世代との関係における「世代間正義(intergenerational justice)」論を考察する。 世代間正義論の基本的な問題設定は、私たち現在世代はいまだ存在せざる将来世代(ときにもはや存在しない過去世代)に対し、いかなる正義の関係にありうるか、というものである。地球環境問題が切迫したものとして叫ばれ始めた1960年代以降、この問題は日増しに強まる実践的重

                                                            「将来を適切に切り分けること ――エーデルマンの再生産的未来主義批判を念頭に」『現代思想』2019年9月号 - tkira26's diary
                                                          • 読書メモ:『意志の倫理学:カントに学ぶ善への勇気』 - 道徳的動物日記

                                                            意志の倫理学――カントに学ぶ善への勇気 (シリーズ〈哲学への扉〉) 作者:秋元康隆 発売日: 2020/01/27 メディア: 単行本(ソフトカバー) カント「哲学」の入門書は数あれど、カント「倫理学」の入門書はほとんど存在しないので、この本は実にありがたい。 こっちは「倫理学の本でいつも出てくる"義務論"ってカントの議論に基づいているらしいけれど、具体的にはどういうことなのだろう?」ということを知りたくて入門書を探しているのに、カント「哲学」の入門書だとアンチノミーとか空間論や時間論とか、倫理とあまり関係なさそうな部分の解説がセットでついてきてしまうので、読んでいてまだるっこしかったのだ。 特定の理論に限定しない倫理学全般の入門書ではカント的な義務論が功利主義や徳倫理と並べて紹介されることが多いが、紙幅の都合などから「それぞれの倫理学理論はどのような問題意識を背景にしており、どういう理路

                                                              読書メモ:『意志の倫理学:カントに学ぶ善への勇気』 - 道徳的動物日記
                                                            • 【2019年】本の虫がおすすめ、隠れた名著・名作10冊。 - 生活百花

                                                              おはようございます。今回は「隠れた名著、名作」というテーマで本を紹介して行きたいと思います。 やっぱり読書をしていると「この本、あんまり注目されてないけど、凄いな」と思う事って多々ありますよね。私も読書をしていてそういう本が何冊が出てきたので、今回まとめさせていただいた次第です。 もしかすると「これ隠れてないよ、有名だよ」と思う本もあるかも知れませんが、そこは「もっと注目されてほしいな」という私の願いだったりするので、ご愛嬌いただければなと思います。 目次 1.「意識」とは何だろうか 2.時間はどこで生まれるのか 3.私とは何か 4.知性の限界 5.日本奥地紀行 6.知の構築とその呪縛 7.ぼくらは夜にしか会わなかった 8.スティル・ライフ 9.世界を騙した男 10.命売ります ・まとめ 1.「意識」とは何だろうか それなりに科学や哲学の本を読んで「人間とは結局なんなんだろう」となっている

                                                                【2019年】本の虫がおすすめ、隠れた名著・名作10冊。 - 生活百花
                                                              • 『TENET テネット』徹底解説! “時間の逆行”、登場人物の背景、そしてノーランの哲学まで

                                                                ジャン・コクトーが監督した実験映画『詩人の血』(1930年)は、夢のように幻想的な世界を映し出す、55分の作品である。その冒頭に映し出されるのは、工場の巨大な煙突が崩れ始めるという、唐突な短いカット。そして、映画の終わりには、煙突が崩れ去る瞬間のカットが、再び挿入されている。つまり『詩人の血』の内容は、煙突が崩れ始めてから崩れ去る瞬間に起きた出来事だったということだ。映画は現実に似た虚構であり、時間をどのようにも圧縮し、引き延ばし、逆回転し、操ることができる。その試みは、映画の歴史の初期より行われてきたことだ。 作家としての個性と、娯楽性を兼ね備えた作風で、いまや最も注目される映画監督といえるクリストファー・ノーランは、『メメント』(2000年)や『インセプション』(2010年)に代表されるように、映画における時間の表現や概念を、いまもなお更新し続ける作家だ。そして、彼の新しい挑戦作『TE

                                                                  『TENET テネット』徹底解説! “時間の逆行”、登場人物の背景、そしてノーランの哲学まで
                                                                • ディトランスVSトランスジェンダーを再考する 未来を不均衡に脆弱にする「正常な発達」に抗して

                                                                  p.2691.はじめに ディトランジショナー、性別のトランジション(移行)を止めた人たちは、いまや英語圏において、トランスジェンダー[1]への医療的身体介入の禁止や高い制限を設ける必要性を主張する際に使われる象徴となっている。例えば、医療的トランジションを後悔している原告の主張に従って、2020年12月イギリスでの通称ベル対タヴィストックの司法審査(R and A v Tavistock and Portman NHS Trust, and others [2020] EWHC 3274)は、トランスの若者たちの医療アクセスを著しく制限する判決を下した。トランスへの医療を肯定する立場とその危険性を象徴するディトランジショナーという対立構造が、顕著に打ち出されたのである。 では、ディトランジショナーとはだれなのか、どんな理由でトランジションを中止し、どんなディトランジションの道筋を辿るのだろ

                                                                    ディトランスVSトランスジェンダーを再考する 未来を不均衡に脆弱にする「正常な発達」に抗して
                                                                  • 読書メモ:『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』 - 道徳的動物日記

                                                                    幸福はなぜ哲学の問題になるのか (homo viator) 作者: 青山拓央 出版社/メーカー: 太田出版 発売日: 2016/09/14 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (6件) を見る 幸福論系の哲学をまとめて読んでいた時期があったのだが、その中でもこの本はかなり良かった。思想家の名前はちらほら出てくるが思想史は重要視されておらず、幸福についての哲学的な考察と(後半はかなり抽象的な分析哲学的思考も含まれている)、人生論に近い具体的な幸福論がバランスよく収まっている感じだ*1。 ・抽象的な議論ももちろん良いのだが、記憶に残るのは人生訓の部分の方だ。人生における選択の失敗やサンクコストに引きづられてしまう「物語的完全主義」への対処法、成功者の助言や年長者の助言との向き合い方、お金や健康などの「ゆとり」が幸福に占める役割、などなど。著者が分析哲学の中でも時間論を専門にしているだけあ

                                                                      読書メモ:『幸福はなぜ哲学の問題になるのか』 - 道徳的動物日記
                                                                    • 鎌倉時代、禅僧・道元が「最新物理学の結論」にたどり着いていた!(吉田 伸夫)

                                                                      私たちが毎日意識していて、でも本当の姿をまるで知らないもの──それが「時間」。 物理学の観点から「時間」について考える『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』の著者・吉田伸夫さんが注目するのは、鎌倉時代の禅僧・仏教思想家の「道元」。 「時間に関する道元の主張は現代科学と矛盾しない」と吉田さん。永い「時間」を経てなお色褪せない、道元思想を語ります。 道元の思想に見る「時間」 この1月に時間に関する著書『時間はどこから来て、なぜ流れるのか?』(講談社ブルーバックス)を上梓したが、その執筆中、しばしば道元に思いを馳せた。厳格な仏教思想を流麗に表現する達人だった道元は、『正法眼蔵』「有時(うじ)」の巻で時間論を展開している。 人は、自分という人間が時間から独立した実体で、この実体が時間の流れとともにさまざまな体験をすると考えがちである。しかし、仏教は、こうした見方を我執だと切り捨てる。 自分は実体

                                                                        鎌倉時代、禅僧・道元が「最新物理学の結論」にたどり着いていた!(吉田 伸夫)
                                                                      • 今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)

                                                                        今年も最後の月になりました。この1年間、『労働新聞』に月1回連載してきた書評も12回分溜まりましたので、例によってまとめておきます。 グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』 『労働新聞』に月イチで連載している書評コラムですが、今年からまたタイトルが変わり、「書方箋 この本、効キマス」となりました。 その第1回目に私が取り上げたのは、グレゴワール・シャマユー『統治不能社会』(明石書店 )です。 https://www.rodo.co.jp/column/143561/ 半世紀前の1975年に、日米欧三極委員会は『民主主義の統治能力』(サイマル出版会)という報告書を刊行した。ガバナビリティとは統治のしやすさ、裏返せばしにくさ(アンガバナビリティ)が問題だった。何しろ、企業の中では労働者たちがまるでいうことを聞かないし、企業の外からは環境や人権問題の市民運動家たちがこれでもかと責め立ててくる。

                                                                          今年1年間の『労働新聞』書評たち - hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳)
                                                                        • 一目均衡表 | トレンド分析 | マネックス証券

                                                                          一目均衡表は、昭和初期に細田悟一氏(ペンネーム:一目山人、都新聞社の商況部部長)が約2,000人のスタッフと7年をかけて完成させ、「相場は買い方と売り方の均衡が崩れた時に大きく動くので、どちらが優勢かが分かればよく、それを一目で知ることができる」という由来による相場分析手法です。 日本ではもちろん、海外のファンドマネージャーにも支持され、個人投資家の中でも最も人気の高いテクニカル指標の一つです。 一目均衡表は、転換線・基準線・先行スパン(2本)・遅行スパンの5本線を使い、時間論・波動論・値幅観測論の3つの理論から構成されています。 活用法 基準線と転換線を使った活用法 基準線が重要で、基本的には移動平均線と同様の使い方になります。 ① 基準線が上向きなら上昇トレンド、下向きなら下降トレンド ② ローソク足が基準線の上側にあれば強い相場、下側にあれば弱い相場と判断します。 ③ 基準線が上向き

                                                                            一目均衡表 | トレンド分析 | マネックス証券
                                                                          • 読書メモ:The Physicist & the Philosopher (by Jimena Canales)…アインシュタインとベルクソンは時間をめぐって何を争ったのか - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)

                                                                            The Physicist & the Philosopher: Einstein, Bergson, and the Debate That Changed Our Understanding of Time 作者:Jimena Canales 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr 発売日: 2015/05/26 メディア: ハードカバー 科学史家ヒメナ・カナレス(Jimena Canales) による2015年の著作The Physicist & the Philosopherを取り上げます。20世紀前半にアルバート・アインシュタインとアンリ・ベルクソンが戦わせた論争について、その背景や余波を幅広い視点からまとめた一冊。その論争のテーマとは、「時間」です。 繰り返される論争への、科学史からのアプローチ ブログ筆者が腰を据えて本書を読んでみようと思ったきっかけは、今年刊

                                                                              読書メモ:The Physicist & the Philosopher (by Jimena Canales)…アインシュタインとベルクソンは時間をめぐって何を争ったのか - 重ね描き日記(rmaruy_blogあらため)
                                                                            • 【しらなみのかげ】 頭でっかちな「世間知らず」達の暴走 #23|雁琳の『晦暝手帖』

                                                                              いつの日からか、私はジャパニーズ・ヒップホップが大好きになった。特に、ギャングスター・ラップが大好きになった。 元々音楽好きで、あらゆるジャンルを摘み食いしながら聴いてきたつもりだが、このジャンルが取り分け好きになっていった時期があった。 昼は大学で授業を受けたり研究に勤しんだりし、週の内二、三日は夜の街で働いて日銭を稼ぐ生活を長く続けていた最後の頃だったと思う。大学の籍が無くなって奨学金を借りられなくなった三、四年前から、前者が見る見る内に出来なくなり、後者ばかりがそのまま生活になっていったら、益々好きになっていった。 その時期は丁度、フリースタイルバトルが全盛を迎えていたということもある。それは余りに面白く、YouTubeで延々とその動画を見続けていた時期もあった。巧妙で心地良い韻も、華麗なフローも興味深いのだが、自らの「生き様」を言葉にしてビートに乗せていくその様が何とも素晴らしいの

                                                                                【しらなみのかげ】 頭でっかちな「世間知らず」達の暴走 #23|雁琳の『晦暝手帖』
                                                                              • 録音複製技術は音楽をどう変えたのか、あるいは『』について - 👼と♨️のᎩuКꂅოuᏒᎥ լᕱც

                                                                                菊地成孔・大谷能生『憂鬱と官能を教えた学校』 ♨️ さて、表題にあるとおり今回は録音複製技術が音楽にもたらしたものって一体なんなんだろう?みたいなことを考える回にしていこうと思います。 👼あのう、なんかものすごく主語がでかいんですけど大丈夫でしょうか... ♨️いやまじで大きすぎるんでこーゆうときは名著に頼ろう。ということで、最初のとっかかりにしたいのがこちらの書籍です。 www.kawade.co.jp 👼おお〜、これは菊地成孔・大谷能生コンビのいわずと知れた名作ですね。 ♨️以下に紹介文をそのまま載せておきます。 20世紀中盤に登場し、ポピュラー音楽家たちのあいだに爆発的に広まった音楽理論「バークリー・メソッド」とはいったい何か―日本を代表するミュージシャン兼批評家=菊地成孔+大谷能生の名コンビが知的興奮に満ちた伝説の講義を展開。上巻は「調律・調性および旋律・和声」として、メロディ

                                                                                  録音複製技術は音楽をどう変えたのか、あるいは『』について - 👼と♨️のᎩuКꂅოuᏒᎥ լᕱც
                                                                                • 青土社 ||現代思想:現代思想2021年8月号 特集=自由意志

                                                                                  ‟自由な決定”は希望か、それとも幻想か? 「人間は自由に意志決定しうるか」というのは古くからある問いである。しかし近年の脳神経科学をはじめとする自然科学の発展により議論は多様化し、「自由意志は存在しない」という意見も無視できないものになりつつある。本特集では新たな時代を迎えた自由意志をめぐる問題系、その再編と進化の途上を一望する。 【目次】 特集*自由意志――脳と心をめぐるアポリア​ 【討議】 幻想を超えて世界のありかたを語るために / 青山拓央+岡ノ谷一夫 【自由意志を哲学する】 自由意志の有無について考える前に考えるべきこと / 古田徹也 「決定論」のヒストリー / 木島泰三 媒介された自由――媒介論的現象学の観点から  / 田口茂 【ハードプロブレムの正体】 この私に自由意志があると信じる(信じたい)理由  / 須藤靖 自由意志問題の建設的な取り組み方 / 谷村省吾 圏論的人工知能と