好著である。まず、題名がうまい。「そうか、君は課長になったのか」というタイトルからは、課長というマネジメント職の仕事の心得を書いた本、というメッセージが自然に伝わってくる。おまけに、この口ぶりは上から目線だから、書いた人は会社社長か、少なくとも経営層の一員であることが分かる。それも、大企業のだ。 なぜ、大企業か。それは、君(たぶんかつての部下)が課長になったことを、著者が知らずにいて、気付かされたことを示すからだ。それは大きな会社でないと起こり得ない。経営者が部課長の顔と名前まで、すべてそらんじているような会社は、(売上や上場にかかわらず)中小企業と呼ぶべきなのである。著者は、大企業の経営層にいる。これが、読者に無意識な信頼度を与える。 本書は、「石田君」という架空の相手に向かって、アドバイスを送る形式になっている。文体は、「ですます調」だ。これも好ましい。ていねいな文体、漢字とかなの比率