現代の女性がほとんど使っていないにも関わらず、映画やテレビドラマ、小説といったフィクションの中に根強く残る「女ことば」。 前回は女ことば研究の第一人者・中村桃子教授に、女ことばを現代まで守り伝えてきた者の正体について、続く第2回は女ことばと類似する「おネエことば」について訊いた。 最後の第3回は、思春期に入り一人称が「僕」になる女児や、「僕」から「俺」に一人称が移り変わる男児の内面にフォーカスして、言葉の選択の可能性について考える。 一人称が「僕」の女の子たち ――「女ことば」を使う女性がほとんど見られないのに反して、一人称が「僕」の女性は身近にいたという人が少なくないと思います。特に思春期の頃に。 小学校高学年とか、中学に上がる頃ですね。 私が調査したときには、「”女”から逃げたかった」といった言葉を複数人から聞きました。身体が女性として発達していくことへの戸惑いや、社会的に女性性とされ