いくら巨匠ミケランジェロの作品と言えども、何百年もの月日を経れば、汚れや染みを免れることはできない。しかも、その大理石の棺の中には人間の遺体が内臓ごと収められているのであれば、なおさらだろう。だが、それらの傑作が極秘のプロジェクトによって蘇った。数世紀分の汚れに「もぐもぐ」と対処したのは、バクテリアの精鋭部隊である。 イタリア・フィレンツェに佇む優美な礼拝堂は、ミケランジェロがメディチ家の墓所として制作したものだが、作られて間もない1595年にはすでに、石棺に染みや退色があったとする記述が残されている。墓の上にあるミケランジェロの彫刻作品は、それからの数世紀の間で頻繁に複製が作られ、そのときに残った石膏のせいで退色が進んだ。凝った彫刻が施された白い壁もくすんでしまった。 10年近くにわたる修復作業によって表面の染みはおおかた取り除かれたが、墓にこびりついた汚れや頑固な染みには、特別な処置が