懸念された通り、法制審議会の刑事法部会は、2月8日に、殺人罪などの公訴時効を廃止し、それ以外は現行の時効期間を2倍に延ばす要綱骨子案を賛成多数で決定したと報じられました。しかも、この改正案が通れば、現在進行中の事件にもさかのぼって適用することになるというのです。いずれも多数決ですが、時効の廃止と延長については11:3であるのに対して、遡及適用については10:4という評決の微妙な差に注目しなければなりません(2月8日読売)。 実は、法務省の要綱案に終始反対したのは、弁護士会推薦の委員の3名だけで、それ以外の裁判所、検察庁、警察庁関係者および専門の刑事法学者委員は、時効の廃止と延長には全員が賛成し、遡及適用については、1人だけ(おそらく学者委員)が反対票を投じたものと思われます。勇気のある1票といえるでしょう。 ここで注意を要するのは、公訴時効期間を延長した平成16年の改正の際には、さかのぼっ