ドレイクの人気曲“パッションフルート”には、ムーディーマンのMCがサンプリングされている。けだるく、Fワード連発のなかば酩酊したその声は、ブラック・ミュージックとしてのハウスという点において、そしてまたはアンダーグラウンドの生々しい猥雑さを伝える意味において極めて重要な意味を持っている。 ラナ・デル・レイの“ボーン・トゥ・ダイ”をハウスの部屋に強引に連れ込み、煙ともどもドアを閉めてしまったデトロイトのDJには、彼自身にしかできない“型”というものを持っている。つまり、かつてカール・クレイグがムーディーマンについて説明したように、リアルな話ソウルにはアグリーな側面もあり、が、アグリーさはとくにアメリカにおいては隠蔽されるがちだ。たとえばインディ・シーンなんかを見ていると、アメリカ人はみんなスマートであるかのような錯覚を覚えてしまう。流行の服に流行の髪型。実際に行けばわかることだが、まったくそ