コミュニケーション的行為(読み)こみゅにけーしょんてきこうい(英語表記)kommunikatives Handeln(独) 現代ドイツの社会哲学者ハーバーマスの用語。権力や貨幣といった何かの力によって相手の意思決定に影響を及ぼそうとする「戦略的行為」とは異なり、自分が表明する考えや意思の内容自体に対して、相手の自由な納得と承認を求める行為のことをいう。例えば「水をもってきてください」と教授が学生に頼むとき、それが権力関係にもとづく脅しでなくコミュニケーション的行為であるとする。その際には、「水が近くにあるはずだ」(真理性)、「私の発言は命令ではなくお願いであるから、不当な行為ではない」(規範の正当性)、「私は正直な気持ちを語っていて、そこにウソはない」(主観の誠実性)という3つの点について、暗々裏にその正しさを主張し相手の納得を求めているといえる。だから相手は、そのどれかに納得できないとき