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ブックマーク / kaikaji.hatenablog.com (36)

  • リスク社会論と中国 - 梶ピエールのブログ

    このところ、リアルもネットも震災と原発をめぐる問題が多くの人の関心を占めていて、中国への関心は二の次だったというのが正直なところだろう。だが、この数ヶ月の間に、中国の社会では非常に重大で根的な動きがいくつも生じているし、個人的にそれらの現象と日の3.11以降の状況とは、どこかで深くつながっているような気がしてならない。 その「つながり」を考える際の一つのキーワードになるのが、「リスク社会」ではないだろうか。いうまでもなく、「リスク社会(危険社会)」とは、ドイツの社会学社ウルリヒ・ベックによって提唱された、「産業社会」に対比される、後期近代における社会のあり方を象徴する概念である。前近代社会並びに産業社会においては、人間の生活に訪れる脅威・恐怖は災害や感染症といった自然に起因するものであり、前近代においてはそれを宗教や伝統的な慣習によって、産業社会においては科学やテクノロジーによって「克

    リスク社会論と中国 - 梶ピエールのブログ
    rajendra
    rajendra 2011/07/22
    "いまだに富の分配の問題に敏感である中国社会において「奴らは外国勢力の手先になって美味い汁を吸っている」というのは、一定程度の市民の共感を確実に得られる攻撃の仕方なのだ。"
  • 大きな政府/小さな政府の対立を超えて - 梶ピエールのブログ

    実践 行動経済学 作者: リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン,遠藤真美出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2009/07/09メディア: 単行購入: 8人 クリック: 365回この商品を含むブログ (97件) を見る 邦訳のタイトルはミスリーディングだと思う。確かに前半は行動経済学の説明であるが、むしろそれはツールとしての必要からなされていて、主眼は著者の政治的立場である「リバタリアン・パターナリズム」の内容とその実践に関する説明の方にある。そしてそこにこそ、小さな政府と大きな政府という古典的な対立では捉えられない、現代社会の変化をとらえた書の重要な問題提起があると思う。 例えば、金融危機の後、もっとも必要なのは適切な金融市場の規制であり、ケインズ的な、すなわち裁量的な財政金融政策を安易に復活させるのは誤りだ、という主張が「小さい政府」の支持者から唱えられた。しかし、僕は

    大きな政府/小さな政府の対立を超えて - 梶ピエールのブログ
    rajendra
    rajendra 2009/09/09
    "どのような選択アーキテクチャーを採用するか、によってこれまでの「大きな政府」と「小さな政府」の対立が、ある程度リバタリアン・パターナリズムの内部の差異に解消されてしまう"
  • 忌野清志郎と「公共性」に関する試論 - 梶ピエールのブログ

    批評家の吉隆明は、1980年代から忌野清志郎をしなやかな感性を持ったアーチストとして高く評価をしていたが、1988年に発売されたRCサクセションの反原発ソング「サマータイム・ブルース」(アルバム『COVERS』に収録)の歌詞を、個人発行していた雑誌『試行』誌上で紹介し、「聞きしにまさるハレンチな歌詞」であるとして厳しく批判した。 ここで、吉の反原発批判の是非はひとまず置いておき、なぜ、吉隆明は忌野の反原発ソングをこき下ろしたのか、を考えてみたい。このことにこだわることは、むしろ忌野の偉大さ、およびそのパフォーマンスが持つ意味を、改めて浮き彫りにすることになるはずだからである。 まず最初に、社会学などでよく使われるらしい、「生活世界」と「システム」という二分法が便利なので、これを援用して論じてみよう。 忌野清志郎は、初期のころから一方で「システムの介在なしに魂が直接触れあえる世界」を高

    忌野清志郎と「公共性」に関する試論 - 梶ピエールのブログ
    rajendra
    rajendra 2009/05/19
    "たとえば「このパンクバージョンの君が代こそが尊皇精神を体現したものである、と「システム」が認めることによって、メッセージの意味が逆転される危険性を常にはらんでいる。"
  • 確かにバラマキですが、それが何か? - 梶ピエールのブログ

    春節明けの中国が各地ですごいことになっているらしい。産経新聞の報道より。 【上海=河崎真澄】定額給付金問題で揺れる日を尻目に、中国浙江省の景勝地として知られる杭州市は、国内旅行客の呼び込みのために「消費券」の配布を発表するなど、あの手この手の給付金作戦を展開している。 杭州市は13日、総額約800万元(約1億700万円)分の消費券を近く、上海市内のショッピングセンターなどで通行人に無料配布する異例の作戦を明らかにした。杭州市内の飲店や商店、観光地などで使用できる100元(約1340円)分のクーポンだ。 杭州市は上海市内から高速道路で2時間ほどの距離にあり、中間層の多い上海から観光客を招き寄せる“呼び水”にする。上海以外でも江蘇省の都市部でクーポンのばらまきを検討している。 さらに杭州市では、市職員幹部を対象に給与の5〜10%を消費券で支給する構想や、市職員が語学などの能力を伸ばすための

    確かにバラマキですが、それが何か? - 梶ピエールのブログ
    rajendra
    rajendra 2009/02/15
    日本も大いに参考にすればいいんだけど、知らない人のが多そう。
  • 汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。

    先日NHKBSで放送されたソリウス・サムラ氏によるケニア社会のドキュメンタリーは、物の「賄賂社会」というものがどういうものか余すところなく伝えていた。一言でいうと、ケニアではスラムのようなただでさえ貧しい人々が住むような地域であっても(というか、そういう地域だからこそ)、ほとんどの公共サービス(電気・水道・ビジネスの認可、建築の許可・・)が役人への賄賂なしでは受けることができないのだ。その賄賂の負担の重さは、スラムの住人の生活をますます苦しいものにしている。 また、来はそういった貧しい人たちのためのものであるはずの政府補助金の分配も、やはり賄賂によって左右される。活動実態のない「地域住民組織」やNGOが多数作られ、役人を買収することで正式な認可を受け、補助金を受け取ることが横行しているためだ。このことは、海外からの資金援助もこのようにして不正に着服されてしまう可能性が大いにある、という

    汚職・成長・法 - 梶ピエールの備忘録。
    rajendra
    rajendra 2008/06/08
    "賄賂の横行は明らかに社会の公正さと効率性を損なうが、それは「賄賂さえ払えばなんとか事は運ぶ」状況を意味するとも考えられる"
  • アダム・スミスと「公共性」について - 梶ピエールのブログ

    アダム・スミス―『道徳感情論』と『国富論』の世界 (中公新書) 作者: 堂目卓生出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2008/03/01メディア: 新書購入: 8人 クリック: 169回この商品を含むブログ (114件) を見る 『国富論』や『道徳感情論』を翻訳ですらまともに読んだことない無教養な人間にとってはとてもためになるだった。内容については、 ここで描かれたスミスは、個人の利益追求絶対者でもなく、急進的規制緩和論者でもなく、市場原理主義者でもなく、経済成長論者でもなく、富国論者でもない。人類の存続と繁栄を希求し,時々の政策課題に真摯に対応し、現状にたいして熱狂も絶望もしない等身大の人間に幸福の境地を見たスミスといってもいい。 という赤間道夫氏の評が簡にして要を得ていよう。 特に印象だったのは、「富」を目指す「弱い人(小人・俗物)」と「徳」を目指す「賢人(君子)」との二元論に

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  • 『盲山』 - 梶ピエールのブログ

    この作品は、先月中国に行ったときにDVDではなくてVCDを書店で買ってきたものである。このことからも分かるように、この作品は中国国内で上映された、れっきとした当局の検閲済みの作品である。しかしその衝撃度は上映禁止になった作品に勝るとも劣らない。監督の李楊(リー・ヤン)についてはこちらを参照。 中国における人身売買といえば、昨年明らかになったレンガ工場での児童労働が有名だが、若い女性が誘拐されて風俗店や農村などで働かされるケースも多いといわれている。これは「いい働き口がある」と騙されて誘拐され、ある農村に「嫁」として売られてきた女子大生についての映画である。 この作品は綿密な取材に基づいてつくられているというだけあって、その描写はリアルである。最も衝撃的なのは、それまでの映像における農村のイメージを徹底的に覆している点だろう。それまで中国映画で描かれる農村というと、『初恋の来た道』とか『山の

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    rajendra
    rajendra 2008/04/19
    「野蛮」は文化の問題だが、監禁や虐待は中国の国内法的にもアウトのはずだから迷わず批判すべき。
  • ニンニクの衝撃 - 梶ピエールのブログ

    久しぶりに近所のスーパーでニンニクを買おうと思って野菜売り場を見渡したら、いつも3個ネット入り100円で売っていた中国産のニンニクがとうとう店頭から消えていた。国産のものは1個280円と10倍近くする。葱やシイタケはかなり前から見かけないようになっていたし、冷凍品がしばらく姿を消すのはしょうがないとして、ニンニクだけは国内産に需要がシフトすることはないだろうと思っていたのでちょっとショックだった。まあ業務用や加工品はしばらくは切り替えられないだろうけど。それにしても、これだけ価格差があれば、心では(僕のように)中国産を買いたいという消費者も少なくないと思うのだが・・・ 大学で中国経済を教え始めたころはスーパーで買ってきた国内産と中国産の野菜を実際に見せて「価格あてクイズ」みたいなことをやっていたこともあるのだが、今では遠い思い出のようだ。5年かそこらでこうも状況が激変するとは思っても

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  • 毒餃子事件と日本のデフレ - 梶ピエールのブログ

    http://d.hatena.ne.jp/kaikaji/20070821 以前厨先生に取り上げていただきましたが、こういう事態だからこそ再掲しておきたいと思います。 Baatarism 『かつて中国から安い商品が入ってきたからデフレになったのだという意見がありましたが、実はこれは因果関係が逆で、日がデフレになったから中国から安い商品が入るようになったのだと思います。 日中国製品の安さ故のリスクが大きな問題となっているのも、日のデフレが和らいだ(脱出したとはまだ言えませんが)のと関係あるのかもしれませんね。』 kaikaji 『Baatarismさん、 >それは日が長期のデフレ不況に陥り、消費者が安さを第一に考えざるを得ず、販売側もそれに対応せざるを得なかったからでしょう。 中国からの野菜の輸入が格化する90年代末は中国自体がかなり深刻なデフレ状態だったことも大きかったと思い

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  • ハンガリー事件と日本の左翼 - 梶ピエールのブログ

    ハンガリー事件と日―一九五六年・思想史的考察 作者: 小島亮出版社/メーカー: 現代思潮新社発売日: 2003/05メディア: 単行購入: 2人 クリック: 6回この商品を含むブログ (6件) を見る 「君の涙、ドナウに流れ」に触発されてすぐに注文したこのが年末にとどいたのですぐに読んだが、日思想史としてもナショナリズム論としても非常に重要な問題提起をしていることに驚いた。再版されてからも既に数年が経過しているので、いまさら取り上げるのも不勉強をさらすようなものだが、これも年末から正月にかけて読んだ大澤真幸『ナショナリズムの由来』から読み取れる論点とも重要なかかわりを持っているように感じたので、とりあえずこのについて簡単に触れておきたい。 著者は講座派マルクス主義の強い影響下に思想を形成したと後書きで触れているのだが、そこから抜け出ようという苦闘の表れか、講座派知識人のハンガリー

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  • 中国の都市非正規就業について - 梶ピエールの備忘録。

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071222-00000001-rcdc-cn 2007年12月21日、上海の復旦大学発行の「2006中国非正規就業者発展報告:労働力市場の再観察」によると、中国の都市部の非正規就業者の数は1億3000万人にのぼるという。上海市の「新聞晩報」と「解放網」が伝えた。 非正規就業とは、正規の職場での正式な社員契約を結んだ就労ではない、個人経営者や屋台、露店での販売員、家庭内手工業や企業の臨時契約社員などを指す。 復旦大学文科科研所の任遠(レン・ユエン)教授は、この報告書の数字は各企業からの統計によるもので完璧なものではないと説明。実際にはさらに多くの非正規就業者が存在すると指摘している。 ↓元ネタ http://www.shanghai.gov.cn/shanghai/node2314/node2315/node4411/

    中国の都市非正規就業について - 梶ピエールの備忘録。
    rajendra
    rajendra 2007/12/24
    "都市に住む過半数の人が非正規就労者、という過剰に流動性の高い状況においてどのような労働政策が有効であるのか"
  • 「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」 - 梶ピエールのブログ

    担当している「中国経済論」授業でちょうど台湾経済のところまできたのだけど、改めて考えると台湾歴史や中台関係について、その背景がコンパクトに説明された映像作品というとありそうでない。かといって『悲情城市』を学生にいきなり見せるのは無茶だ。それで内田樹氏のようにとんでもない勘違いをされても困るし。 そんな中、先日NHK-BSで放送された過去の山形ドキュメンタリー映画祭上映作品シリーズの中の一つ、「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」は、第二次大戦末期に海軍少年工として日で働いていた台湾人老人達へのインタヴューを中心に構成され地味な作品だが、戦前からの台湾中国・日との関係の複雑さが凝縮された佳作であり、上に書いたような意味での教材としても十分使えそうだ。 番組によると、1943年から44年にかけて、皇民化教育を受けた世代に当たる8千人ほどの台湾少年工たちが「お国のために働きながら勉強できる」

    「緑の海平線〜台湾少年工の物語〜」 - 梶ピエールのブログ
  • 2007-11-05

    先週、担当している授業で、例の『激流中国』の「富人と農民工」のビデオを学生に見せた。中国のネット界で大きな反響を呼んだ、という点をとりあえず置いて改めて見直してみると、やはりいろいろなことを考えさせられる。 続きを読む 知る人ぞ知る、昨年中国全土で大ヒットした劇映画。一応香港版のDVDを買って観たことは観たのだが、台詞が重慶訛りでほとんど聞き取れず、また寝る前だったので字幕をしっかり追う気力もなく、ということで半分も理解できない体たらくだったので、このたびシネ・ヌーヴォなどで開催されている大阪アジアン映画祭で上映されるのを知り早速観にいったのだった。で、日語の字幕つきで改めて観てみると・・いや、むちゃくちゃオモロイではないの。映画を観てこんなに笑ったのは久しぶり。個人的には『少林サッカー』よりずっと面白い!のだけど、ロードショーにならないのはやっぱり現代中国社会に関するマニアックな知識が

    2007-11-05
  • 「ナイトの不確実性」と中国 - 梶ピエールの備忘録。

    1997年――世界を変えた金融危機 (朝日新書 74) 作者: 竹森俊平出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/10/12メディア: 新書購入: 11人 クリック: 177回この商品を含むブログ (85件) を見る すでにあちこちで話題にされているこの、通貨危機前後のアジア諸国の具体的な経済状況についてほとんど触れていないにもかかわらず、なぜこんなに質を突いた議論ができるのか、という意味で私も目からうろこが何枚も落ちたわけですが。 ただ一介の中国屋としては、若干補足的なことを述べてみたい誘惑にどうしても駆られてしまう。 例えば書では中国はアジア通貨危機をほとんど無傷で乗り切ったと理解されているが、恐らくそれは正しくない。実際には危機後の98年から99年にかけてベースマネーの成長率はマイナスになり、経済は深刻なデフレに見舞われ、失業者は街にあふれた*1。国際収支の「誤差脱漏」

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  • 梶ピエールの備忘録。 - ガンバレ、とにかくガンバレNHK。

    tomojiroさんに教えていただいくまで全く知らなかったのだが、中国の「いま」に鋭く切り込んだNHKスペシャルのシリーズ『激流中国』の内容に対する中国当局の「厳重注意」が記された「秘密文書」がネット上に漏れて公開され、話題になっているようだ。 http://www.danwei.org/internet/secrets_out_in_the_open.php(中文版は、こちら) 中でも問題とされたのがプロローグの「富人と農民工」 と第一回の「ある雑誌編集部60日の攻防」であり、いずれも「貧富の格差」「政府の報道規制」といった「負の面を強調しすぎており」「客観的ではなく」「視聴者に誤解を与える」としてNHKに報道姿勢の反省を促す内容となっている。 その背景には、どうもこの番組(批判を浴びた回)が中文字幕つきでYouTubeなどを通じてネット配信され、中国のネットユーザーの間で大きな話題にな

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  • 梶ピエールの備忘録。 - 消費者運動が強める多国籍企業の影響力

    では、企業の勝手にさせとくととかく汚いことをして金を稼ごうとするので、「正義」を実現するにはお上が適度に規制したほうがよい、という観念がまだ強い、ような気がする。 しかし、多くの発展途上国では、多少とも名の通った多国籍企業の方が腐敗しきった政府よりよっぽど「倫理的」であるというのがもはや常識となりつつある。もちろん、労働CSR(従業員の労働条件や人権に関する企業の社会的責任)という概念の普及がその背景にある。 労働CSR入門 (講談社現代新書) 作者: 吾郷眞一出版社/メーカー: 講談社発売日: 2007/08/17メディア: 新書 クリック: 2回この商品を含むブログ (10件) を見る このは、一般にはまだあまりなじみのない労働CSRとはどんな性格のもので、グローバル経済の中でどんな意味を持つのか、ということについて分かりやすく解説してくれている好著だ。企業が遵守しなければならな

  • 食の安全とグローバリゼーション - 梶ピエールのブログ

    NHK『クローズアップ現代』でここ2日間ほど中国品の安全性やコピー商品という今「旬」の話題をテーマに取り上げていたが、さすがにしっかりしたつくりの番組だった。中国性の品に問題のあるものが多いことはもはや誰でも知っていることで、そのことをことさら騒ぎ立てても情報量としてはゼロである。今ジャーナリズムが当に明らかにすべき問題は、前から品質が劣悪だったのに最近になって騒がれだしたのか、それとも最近になって品質が急速に悪化しだしたのか、まただとしたらその原因は何か、ということであるはずだ。 『クローズアップ現代』では、中国のうなぎの養殖業者の取材を通じて、高騰する生産コストと上昇しない買い付け価格という近年の中国側業者をとりまく厳しい状況が、これらの業者に不正な手段でコストダウンを行う強いインセンティヴをもたらしているという構図を浮き彫りにしていた。もともと中国産の野菜が日の市場に入って

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    rajendra
    rajendra 2007/08/22
    "そのような幅広い基盤をもった先進国における消費者運動は常に「正義」だというわけではなく、時に途上国の人々の生活を直撃する「暴力」ともなりうる。"
  • 梶ピエールの備忘録。 - 荻原重秀と張之洞

    今年に入って、日の貨幣・金融政策史をテーマにした優れた啓蒙書がいくつか出版されている。 勘定奉行 荻原重秀の生涯 ―新井白石が嫉妬した天才経済官僚 (集英社新書) 作者: 村井淳志出版社/メーカー: 集英社発売日: 2007/03/16メディア: 新書購入: 2人 クリック: 22回この商品を含むブログ (22件) を見る 歴史が教えるマネーの理論 作者: 飯田泰之出版社/メーカー: ダイヤモンド社発売日: 2007/07/27メディア: 単行購入: 12人 クリック: 95回この商品を含むブログ (36件) を見る これらのを読むにつけ、江戸時代において、貨幣の改鋳がそのまま全国的な金融政策として波及していったという事実に改めて驚きを感じる。貨幣の品質を落とすとインフレが起こる。一見至極当たり前の現象に思われるかも知れないが、このような「金融政策」が実現するには「法定通貨」に対する

  • 北京の一元コイン - 梶ピエールのブログ

    北京と上海をそれぞれ何度か訪れたことのあるものなら誰しも気付くことであるが、この両メガポリスではコインの流通の度合いが全く異なる。北京では一元(約16円)以下の小額でもコインを使わず、ぼろぼろに磨り減った紙幣を使うことが一般的だ。特に一元硬貨は上海周辺では普通に流通しているのに、北京では店でもレストランでもつり銭などでもらうことはめったにない。これは10年前に留学していた頃からそうで、僕なんかも上海に出かけたときにたまった一元コインを北京に持って返って大事にとっておいたものだ。 田舎ではいまだに一元コイン自体を見たことがない人間が多くて出しても受け取ってもらえないことがある、というのは10年ほど前にはフォークロアとしてよく耳にしたが、もちろん現在の北京ではそのようなことはなく、店でコインをはらえばきちんと受領してもらえる。しかし、それにしてはこれだけ流通量に差があるのはやはり不可思議である

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    rajendra
    rajendra 2007/08/17
    これは興味深い。
  • 梶ピエールの備忘録。 - 小林英夫『日中戦争』講談社現代新書

    さて、前に加藤陽子さんのを紹介してから随分間が開いてしまったが、また日中戦争がらみで。といってもこちらは一応満州事変からの動きもフォローされているものの、その焦点はどちらかといえば開戦から戦線が次第に泥沼化していく過程に当てられている。加藤さんのが新書とはいえ3回頭から読み直さないと頭に入らなかったのに対し、こちらは帰りの電車の中の30分でサクッと読めた。この違いは何を意味するのか? というわけで感想もサクッと。 ・宣戦布告もないままに始められ、そのままずるずると長期化・泥沼化していく日中戦争質を、あくまで「殲滅戦」を戦おうとした日と、初めからこれは「消耗戦」であるという認識を持っていた中国という対比から明らかにしようとする書の記述はとにかく分かりやすい。特に、汪兆銘政権の位置づけについてここまで分かりやすく説明した啓蒙書は今までなかったのではないだろうか。 ・書ではさらにそ

    梶ピエールの備忘録。 - 小林英夫『日中戦争』講談社現代新書