タグ

2021年1月25日のブックマーク (123件)

  • 「ズーム疲れ」は脳に大きな負担、なぜ?

    パンデミックをきっかけにさまざまなビデオ会議ツールが使われるようになり、思いがけない社会実験がスタートしている。(PHOTOGRAPH BY BENJAMIN RASMUSSEN) 4月15日、米リーハイ大学の宗教学教授、ジョディ・アイクラー=レヴァイン氏はズーム(Zoom)での講義を終えると、そのまま仕事場として使っている客用寝室で眠りに落ちた。以前から講義は疲れるものではあったが、こんな「昏倒」するように寝入ってしまったのは初めてだという。 つい最近まで、アイクラー=レヴァイン氏は、実際の教室で大勢の学生を相手に講義を行っていた。そこでは、学生たちがどう感じているかを容易に把握できた。だが、新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミック(世界的大流行)によって、その環境は一変した。 世界の人たちと同じように、彼女の生活はバーチャル空間に追いやられた。リモート講義のほかにも、週に

    「ズーム疲れ」は脳に大きな負担、なぜ?
  • 緊急事態解除後のオフィスはどう変わる?

    米B+Hアーキテクツ社のシアトルオフィス。デスクは「ベンチング」と呼ばれるスタイルで、横に並べられている。 (PHOTOGRAPH BY RUTH FREMSON, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX) 新型コロナウイルスの影響で閉鎖となった職場をどのように再開させるか、様々な議論がなされているが、これを機にオープンなオフィスレイアウトが時代遅れになるかもしれない。間仕切りのない空間に人がひしめき合うオープンオフィスでは、気が散る、煩わしい、などの不満に加えて、今や健康被害への危険性が高まっているからだ。 「(新型コロナウイルスのアウトブレイク)以前にも、おしゃべりな同僚から少し離れたくて、角のデスクへの移動を申請したことがあります」。そう話すのは、米テキサス州の保険代理店に勤めるエイラ・ラリック氏だ。テキサス州で不要不急ビジネスの再開が可能となるのに伴い、5月1日か

    緊急事態解除後のオフィスはどう変わる?
  • 「ウイルスが中国の研究所で作られたという科学的根拠はない」

    米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)の所長を40年近く務めるアンソニー・ファウチ氏は、エイズを含む数十件のアウトブレイクに対処してきた。そんな彼も、新型コロナウイルスの性質を異様に感じているという。(PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は、米国の新型コロナ対策の「顔」と言える科学者だ。ファウチ氏は今回、ナショナル ジオグラフィックの独占インタビューに答えて、新型ウイルスが中国の研究所で作られたと考える科学的根拠はないと断言した。 ファウチ氏は、「コウモリから見つかったウイルスと、現在猛威をふるっているウイルスの進化を見れば、これらが人為的な操作や意図的な操作を受けていないことがわかります」と言う。このウイルスは時間とともに自然界で段階的に進化し、種の壁

    「ウイルスが中国の研究所で作られたという科学的根拠はない」
  • 世界各国の新型コロナ対策、明暗分かれた原因は?

    2020年4月21日火曜日のドイツ、ベルリン中心部にあるアレクサンダー広場。新型コロナウイルスのパンデミックで、ほとんど人がいない。(PHOTOGRAPH BY EMILE DUCKE, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX) 世界各地の感染症情報を伝えるメーリングリスト「ProMED-mail」に、4カ月前「中国の武漢で原因不明の肺炎が発生」という情報が流れた。新型コロナウイルスの大流行が始まることをしらせる最初の警告だ。現在、COVID-19は6大陸に広がり数十万人の死者を出し、世界的な経済危機も引き起こしている。 英インペリアル・カレッジ・ロンドンなどの世界中の研究グループは、各国における感染速度の抑制方法に劇的な違いがあること、そしてどの対策が全体として最も効果的だったかをデータで明らかにした。感染拡大の抑制に関して、他よりはるかにうまくやった国や州、都市もわか

    世界各国の新型コロナ対策、明暗分かれた原因は?
  • 新型コロナ、韓国はいかに感染爆発を食い止めているのか

    2020年4月14日、ソウルのH+ヤンジ病院のウォークインクリニックで患者の鼻と口から検体を採取する医療従事者。採取には1分とかからない。ブースを使った検査が始まった3月10日から4月22日までに、同病院は2700人を検査し、4人の感染を確認した。検査結果は、4~6時間で人に知らされる。(PHOTOGRAPH BY JUN MICHAEL PARK, NATIONAL GEOGRAPHIC) 韓国ソウル市にあるH+(エイチ・プラス)ヤンジ病院の駐車場に設置された新型コロナウイルス臨時検査場は、外から見ると普通のプレハブ住宅とあまり変わらない。 だが、そのなかには真新しい透明のプラスチック板に囲まれたブースが4つ置かれ、危険な病原体を扱う研究室にあるように、プラスチック板に開けられた穴にゴム手袋が取り付けられている。患者はブースに入ると、プラスチック板の反対側にいる医師とインターコムを通じ

    新型コロナ、韓国はいかに感染爆発を食い止めているのか
  • すでに数千人が発症か、中国の新型肺炎、疫学者らが発表

    閉鎖された海鮮市場に立つ、防護服姿の作業員。中国、武漢の海鮮市場は、新型コロナウイルス流行の発生地と考えられている。(DARLEY SHEN, REUTERS) 歴史は繰り返す。 20年ほど前、中国南部の野生動物市場に、あるウイルスが現れた。それは、以前に知られていたどのウイルスとも異なっていた。2003年の冬、ウイルスに感染した患者は、発熱、悪寒、頭痛、痰が出ない乾いた咳を訴えた。いずれも風邪やインフルエンザの季節には珍しくない症状だ。 しかしこの病は、肺にハチの巣状の穴を開け、患者の4分の1に重度の呼吸不全を起こす致命的な肺炎をもたらした。多くの感染症では、1人の感染者が新たに感染を広げる人数は3人までとされるが、一部の患者はいわゆる「スーパー・スプレッダー(感染拡大に拍車をかける人)」になり、数十人に感染を広げた者もいた。7カ月後に終息するまでに、重症急性呼吸器症候群(SARS)は3

    すでに数千人が発症か、中国の新型肺炎、疫学者らが発表
  • 新型肺炎、封鎖された武漢で一体何が起きているのか

    2020年2月3日、中国武漢市内の人気のない大通りを横断する男性。武漢から流行した新型コロナウイルスの感染による中国での死者数は2月10日の時点で900人を超えた。米国、カナダ、オーストラリア、日韓国、インド、英国、ドイツ、フランスなどでも感染者が報告されている。(PHOTOGRAPH BY GETTY IMAGES) 発汗と悪寒は旧正月とともにやってきた。 ワン・ジェン氏は33歳、湖北大学で哲学の講師をしている。1月25日の夕方、武漢郊外の自宅でと2人の子どもと両親と一緒に旧正月を祝うテレビ番組を観ていたとき、ふと息苦しさを感じた。胸の違和感は時間とともに大きくなり、やがて座っていられなくなった。 「最初に思ったのは、家族にうつしてはいけないということでした。まだうつしていなければの話ですが」と振り返る。 ワン氏は小さなバッグに荷物を詰めて、冷たい霧雨の中、市内にあった大学のアパー

    新型肺炎、封鎖された武漢で一体何が起きているのか
  • 新型コロナ感染症は「不平等のリトマス紙」なのか

    2020年3月11日水曜日、防護服と保護マスクに身を包んでシアトル近郊の街カークランドのライフケア・センターに入り、清掃と消毒を行うサーブプロ社(災害後の清掃や修復を手掛ける企業)の作業員。この介護施設は、ワシントン州の新型コロナウイルス集団発生の中心地となった。(PHOTOGRAPH BY TED S. WARREN, AP IMAGES) 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が日々報じられる中、感染率をいかに低く抑えるかが大きな関心事となっている。 人間は、体内でウイルスを増殖させる宿主であると同時に、ウイルスを拡散させる存在でもある。誰かが触る物をもし感染者がウイルスで汚染してしまったら、その表面を消毒したり、触った手を洗ったりして、ウイルスの拡散を防ぐ必要が出てくる。 そうした予防措置を講じたうえでなお、糖尿病などの基礎疾患をもつ人々や高齢者は、一層の注意を払うよう推

    新型コロナ感染症は「不平等のリトマス紙」なのか
  • 新型コロナ、WHOがパンデミックと宣言、制御は可能?

    ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史 ささいなきっかけで、ある日、爆発的に広がる。伝染病はどのように世界に広がり、いかに人類を蹂躙したのか。地図と図版とともにやさしく解き明かす。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 定価:2,860円(税込) amazon 楽天ブックス

    新型コロナ、WHOがパンデミックと宣言、制御は可能?
  • 中国の野生動物取引はどうなる?「なんでも食べる中国人」は神話

    ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史 ささいなきっかけで、ある日、爆発的に広がる。伝染病はどのように世界に広がり、いかに人類を蹂躙したのか。地図と図版とともにやさしく解き明かす。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 定価:2,860円(税込) amazon 楽天ブックス

    中国の野生動物取引はどうなる?「なんでも食べる中国人」は神話
  • 感染の原因、私たちはなぜ知らない人と握手するのか?

    紀元前9世紀、バビロニア人と握手をするアッシリア王シャルマネセル3世をかたどったレリーフ。握手は古代の美術品にたびたび登場するモチーフだ。(PHOTOGRAPH BY DEAGOSTINI, GETTY) 私たちははるか昔から、友情を示したり、商取引を成立させる際に、握手やキス、ハグをしてきた。ただし、他人に触れるという行為は、不適切なものも相手に伝えてしまう。 新型コロナウイルスの感染者が増えるなか、フランスでは国民的な習慣となっている頬へのキスを当面控えるようにとの警告が発せられた。世界中のビジネスの場では、握手のかわりにひじをぶつけ合う挨拶が採用されている。 知らない人と触れ合うこうした習慣は、いつどのように始まったのだろうか? かつての感染症の流行の際に変化はあったのだろうか? 握手の起源として有力な説は、平和の意思表示として始まったというものだ。互いの手を握るという行為は、武器を

    感染の原因、私たちはなぜ知らない人と握手するのか?
  • アマゾン孤立部族に新型コロナの死者、その危険性

    ブラジルのアマゾン西部奥深くを蛇行して流れるイタクアイ川。この先には世界で最も外界から隔絶された先住民の居住地が広がる。彼らが新型コロナウイルスにさらされれば、集落が全滅するかもしれないと健康保健の専門家や人権運動家らは懸念する。(Photograph by Nicolas Reynard, Nat Geo Image Collection) アマゾン川流域に孤立して暮らす先住民に、新型コロナウイルスによる死者が確認された。彼らは感染症への抵抗力がきわめて弱い。ブラジルの政府高官や人権擁護活動家は、惨事が間近に迫っていると警告する。 ブラジル北部ロライマ州の医療従事者は、4月9日、先住民ヤノマミの少年が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)により死亡したと発表した。少年は最初に症状が現れてから3週間の間に、友だちや近くに住む数十人に病気を拡散させた可能性があるという。少年の行動範囲に

    アマゾン孤立部族に新型コロナの死者、その危険性
  • アフリカの大都市、ナイロビの新型コロナ対策 外出禁止令で格差が浮き彫りに

    新型コロナの出現で、ケニアの首都ナイロビには、隣り合いながらも隔たれた世界が出来上がった。 ムサイガ地区やカレン地区といった住宅地はひっそりと静まり返り、通りには人影はない。この地区に暮らす住人たちは、広々とした邸宅の中で料品や日用品をたっぷり携えて引きこもっている。一方、町の繁華街から数キロ南西にあるキベラ地区に目を向けると状況は一変する。ここは、25万人がブリキでつくった屋根の下で身を寄せ合うようにして暮らす、いわゆるスラム街。一日数ドルの賃金でいつなぐのがやっとという人ばかりだ。ナイロビには、自然発生的に生まれたスラムが100以上存在するが、キベラはそのなかでも最大だ。

    アフリカの大都市、ナイロビの新型コロナ対策 外出禁止令で格差が浮き彫りに
  • 新型コロナ、渦中に放り込まれた米国の新米医師たち

    ビッキー・ジョウ氏は、2019年の大みそかを救急治療室で過ごした。と言っても、患者としてではない。27歳のジョウ氏は、医師になって1年目の研修医として、米ペンシルベニア州フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学病院の救急治療室に勤務していた。いつものように8時間のシフトを終えると、真夜中に打ち上げられる年越しの花火を見るため、友人の家へ急いだ。 「ぎりぎりで間に合いました」というジョウ氏が、友人宅の屋上で高層ビルと花火の眺めを楽しんでいたとき、中国の武漢では全く新しいウイルスが静かに活動を始めていた。そして新しい年、新型コロナウイルスの年が幕を開けた。

    新型コロナ、渦中に放り込まれた米国の新米医師たち
  • 元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓

    アイルランド出身の料理人メアリー・マローン。腸チフスが集団発生した際、初めて保菌者と特定された人物だ。メディアはマローンを「腸チフスのメアリー」と呼び、マローンの裁判と強制隔離は世間の注目を集めた。1909年ごろに公開されたこのイラストでは、マローンが頭蓋骨を割ってフライパンに入れている。(CHRONICLE, ALAMY) ジョージ・ソーパーはいわゆる探偵ではなかった。彼は土木技師だったが、公衆衛生の専門家のような存在になっていた。そのため1906年、米国ニューヨーク州ロングアイランドの家主が腸チフスの発生源の追跡に苦労していたとき、ソーパーに声がかかった。その夏、家主はある銀行家の家族と使用人にロングアイランドの家を貸していた。8月後半までに、この家に暮らす11人のうち6人が腸チフスに感染したのだ。 ソーパーは以前、ニューヨーク州の職員として感染症の調査を行っていた。「『エピデミック・

    元祖スーパースプレッダー「腸チフスのメアリー」が残した教訓
  • 新型コロナと闘うイタリア、ベネチアで今何が起きている?

    ベネチアのリアルト橋を消毒する作業員。20年3月10日、イタリアのコンテ首相は新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるため、イタリア全土に移動制限を適用するという先例のない措置を宣言した。(PHOTOGRAPH BY STEFANO MAZZOLA, AWAKENING/GETTY IMAGES) アドリア海に現れた蜃気楼のような奇跡の都市、イタリアのベネチア。つい最近まで、ベネチア住民の「厄介者」と言えば、年間2300万人以上も押し寄せる観光客だった。 けれども今、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)という当の厄介者のせいで、サン・マルコ広場、サン・マルコ寺院、ドージェ宮殿などの観光名所はがらんとしている。イタリア全土に感染が拡大する中で、かつて「ラ・セレニッシマ(最も落ち着いた場所)」と呼ばれたベネチアが、激しく動揺している。WHO(世界保健機関)によると、2020年3月16日の

    新型コロナと闘うイタリア、ベネチアで今何が起きている?
  • 手洗いの大切さ、発見したが報われなかった不遇の天才医師

    ドイツの医院で医師たちが手術前に手を洗う。手洗いは、19世紀後半になるまで一般的ではなかった。(PHOTOGRAPH BY JOKER, DAVID AUSSERHOFER/ULLSTEIN BILD/GETTY) インフルエンザや新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ最も効果的な方法のひとつは、手を洗うことだ。これに異論を唱える人はほとんどいないだろう。米疾病対策センター(CDC)は、せっけんを使って20秒間手を洗い、流水ですすぐよう推奨している。(参考記事:「新型コロナウイルスに感染するとこうなる」) だがこうしたアドバイスは、いつの時代も常識だったわけではない。19世紀においては、むしろ非常識ですらあった。 1840年代のヨーロッパでは、子どもを産んだばかりの母親が、産褥(さんじょく)熱と呼ばれる病気で亡くなるケースが多かった。最良の医療を受けられた女性たちでさえ、そうだった。ハンガリー

    手洗いの大切さ、発見したが報われなかった不遇の天才医師
  • 新型コロナ、ことごとくパニックに陥る理由と対策

    米バージニア州のスーパーマーケット「ターゲット」の商品棚。いつもならウェットティッシュや消毒液、トイレットペーパーが隙間なく並べられているが、新型コロナウイルスの影響で人々が買い占めに走ったため、今は空になっている。「パニック買い」を引き起こすものとは何か。心理学者たちは、強いストレスのある状況下で、自分で事態をコントロールしたいという欲求が根底にあるという。(PHOTOGRAPH BY WIN MCNAMEE, GETTY IMAGES) 新型コロナウイルスが世界に広がり始めると、トイレットペーパー、消毒液、マスクを求め、各地で客が店に殺到した。感染者の数が増え、各国の政府や自治体は大規模な集会を自粛させ、店を閉めさせて、他人と一定の「社会的距離」を保つよう促している。それが人々の不安をあおっていわゆる「パニック買い」を助長し、店の棚はあっという間に空になってしまった。 昔から人間は、予

    新型コロナ、ことごとくパニックに陥る理由と対策
  • 新型コロナがもたらす食料不安、米国の混乱

    新型コロナ危機のさなかで品などを数百人の人々に手渡すボランティア。2020年3月20日、マサチューセッツ州エバレットにて。(PHOTOGRAPH BY JOSEPH PREZIOSO, AFP/GETTY) 米国では毎年、品の40%が廃棄されている。重さにすると約6300万トンだ。だが、新型コロナ問題に端を発する品の買いだめやレストランの休業によって、この廃棄率は高まると、品ロスの専門家は言う。(参考記事:「インタビュー:世界の料の3分の1が廃棄されている理由」) 米国で最も多く品を廃棄しているのは一般家庭だ。冷蔵庫の品は日が経つにつれ鮮度が下がり、残り物は隅に追いやられ、やがて廃棄される。不安になって買いだめした消費者も、やがてべきれないほど買ってしまったことに気づくかもしれない。 サンフランシスコで廃棄物処理を行う企業「Recology」のロバート・リード氏は、「家で料

    新型コロナがもたらす食料不安、米国の混乱
  • ギャラリー:ウイルスとの闘いで一時停止した世界で写真家が撮った日常 14点

    イタリア、ミラノ 「イタリアは今、制御不能な悲しい状況にあり、わたしは嵐の中心であるロンバルディ州にいます」と、写真家のルカ・ロカテッリ氏は言う。「ウイルスに対して特に脆弱なのは、わたしの母のような高齢者です。82歳の母は、頑固でタフで愛らしいイタリアのおばあちゃんです。母は、だれも自分に触れることができない状況を作っている、この目に見えない津波のことを理解できません。母を甥にも会わせず、抱きしめることもせず、マスクを着けるよう説得するのは悲しいことです。わたしはべものとカメラを持って母のところへ行きます。10日が経過した今、これがわたしたちの儀式であり、現実となりました」(PHOTOGRAPH BY LUCA LOCATELLI) マレーシア、クアラルンプール 「2020年3月21日の午後7時頃。プサット・バンダル・ダマンサラ駅(うちからいちばん近い駅)から、ラッシュアワーの列車が出て

    ギャラリー:ウイルスとの闘いで一時停止した世界で写真家が撮った日常 14点
  • トイレットペーパーがない時代、人々はどうやって尻を拭いたのか?

    トイレットペーパーの大量生産は米国では1857年に始まったが、古代より様々な方法が世界中で用いられてきた。(PHOTOGRAPH BY HANNAH WHITAKER) 新型コロナによるパニックで、トイレットペーパーの買い占めが起きている。スーパーや薬局へ買いに走る時、あなたは何を思うだろうか。いつでも買えたあの頃を思い出すかもしれないし、トイレットペーパーがなかった時代に人々は何を使ってお尻を拭いていたのだろうと思いをはせるかもしれない。 現在、世界の何億人かは、トイレットペーパーがないからといって困ることはない。紙を使う代わりに、水で洗うからだ。しかし、昔から世界の人々は様々な方法で尻を拭い、考古学者や人類学者はその歴史を解き明かしてきた。世界の「尻拭い」の例を紹介しよう。 古代ローマのスポンジ棒 古代ローマの公衆トイレでは「テルソリウム」を使って尻を拭いていた可能性がある。この古代の

    トイレットペーパーがない時代、人々はどうやって尻を拭いたのか?
  • 続報・新型コロナ、最前線で闘うナースの2カ月間 写真22点

    ナショナル ジオグラフィック・エクスプローラーの助成金を受ける写真家のローゼム・モートン氏は、米国メリーランド州ボルティモアの病院で働く現役の看護師でもある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者が増え続けるなか、最前線で闘う医療従事者として、日々経験したことを記録している。未知のウイルスを前に手探り状態だった初めの頃とは違って、今は新たな日常が定着しつつある。(ローゼム・モートン氏による最初の8日間の記録はこちら:「新型コロナ、最前線で闘うナースの8日間 写真10点」)

    続報・新型コロナ、最前線で闘うナースの2カ月間 写真22点
  • 新型コロナ、最前線で闘うナースの8日間 写真10点

    新型コロナウイルスが勢いを増すなか、病院では医師や看護師、医療助手らが過酷かつ勇敢な仕事に取り組んでいる。米メリーランド州ボルティモアの看護師で、ナショナル ジオグラフィック・エクスプローラーの助成金を受ける写真家でもあるローゼム・モートン氏が、病院での8日間を記録した。 出勤1日目:2020年3月17日(火) メリーランド州で最初のコロナウイルス症例が確認されてから:12日目 勤務先の病院に最初のコロナウイルス患者が入院してから:6日目 使い捨ての手術用キャップにこぼれた髪をたくし込むモートン氏。以前は布製のキャップを使っていたが、洗濯のために家に持ち帰ることでコロナウイルスを広げるリスクがあるためやめた。(PHOTOGRAPH BY ROSEM MORTON)

    新型コロナ、最前線で闘うナースの8日間 写真10点
  • 新型コロナ、マスク自作に際し知っておきたいこと

    新型コロナウイルスの世界的拡散が加速するなか、マスクをはじめ不足する道具を自作しようとの動きが増えている。 米ボストン小児病院は、病院スタッフ向けのマスクを自作する方法を動画で公開した。新型コロナ対策に推奨されているN95マスクを模したもので、病院に常備してある材料だけで作成できる。外科研修医ブリアナ・スラトニク氏と同僚たちが開発したこのマスクは、材料コストが3ドル未満、手作り感に溢れているものの効果はあると言う。(参考:「ボストン小児病院が提案する自作マスク」(外部サイトへリンクします)) 動画の中でスラトニク氏は、麻酔用マスクと一般的なフィルターを組み合わせたものにゴムバンドを取り付け、出来上がったものを顔に取り付けている。このマスクは米国立労働安全衛生研究所の認可をまだ受けておらず、また同病院には今のところN95マスクの在庫があるため、新たな装置を患者の近くで利用してはいない。 「ウ

    新型コロナ、マスク自作に際し知っておきたいこと
  • ルビコン川を渡る、禁を犯したカエサルの決断

    逆境に直面した時、人々は歴史を変えるほど大きな決断を下し、劇的な大逆転を遂げてきた。そんな物語47篇を収録したナショナル ジオグラフィックの書籍『逆境だらけの人類史』から、今こそ読みたい5人の決断を紹介する。 「ルビコン川を渡る」という表現は、後戻りのきかない道へと歩み出す、その決断を下すことを意味する。 「一線を越える」とか「背水の陣を敷く」などともいう。ルビコン自体は、大した障害ではない。アペニン山脈に水源を発して東に流れ下るイタリアの小さな川で、リミニとチェゼーナの間を通ってアドリア海に注ぐ。渡るのは簡単で、それは紀元前49年1月10日も同じだった。そのとき、ユリウス・カエサルは配下の一個軍団を従えてこの川の北岸に立ち、次の一手を決めあぐねているように見えた。

    ルビコン川を渡る、禁を犯したカエサルの決断
  • どん底の世界恐慌に立ち向かった、大統領ルーズベルトの決断

    逆境だらけの人類史 英雄たちのあっぱれな決断 窮地に陥ったり、不遇や失敗にまみれたりした人たちが、劇的な逆転を遂げるに至る決断を47例集めた、歴史読み物。 定価:2,860円(税込) amazon 楽天ブックス

    どん底の世界恐慌に立ち向かった、大統領ルーズベルトの決断
  • ポスト・コロナ時代 通勤や交通は変わるのか

    カリフォルニア州の高速道路とベイエリア高速鉄道(BART)ロックリッジ駅の高架下を走る自転車。3月31日撮影。BARTの乗客数が激減した影響で、駐車場も空きが目立つようになり、自転車やスケートボードで通過しやすくなっている。(PHOTOGRAPH BY JAMES TENSUAN) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが沈静化しつつある国では、経済活動が再開し始めている。列車やバスも再び走り始めた。ただ、以前とは様子が違う。人々は乗車賃を払うのに接触を避け、車両には仕切りが設置され、座席には間隔を空けて座る。車の運転席の窓は開いていて、運転手と乗客は透明なビニールカーテンで分離されている。 列車やバスの混雑緩和には、スマートフォンのアプリが一役買っている。自転車通勤や徒歩通勤、在宅勤務を選ぶ人が増え、米国では満員列車はパンデミック以前の伝説になった。 未来を見通すこと

    ポスト・コロナ時代 通勤や交通は変わるのか
  • 新型コロナウイルスに感染するとこうなる

    2020年2月3日、封鎖されている武漢の病院で、回診中に肺のCTスキャン画像を見る医師。(PHOTOGRAPH BY STR/AFP VIA GETTY IMAGES) 中国で猛威を振るっている新型コロナウイルスについては、まだ知られていないことが多い。しかしひとつだけ確実なのは、このウイルスに感染すると、体中に異変が起きるということだ。(参考記事:「新型コロナ、インフルやエボラと比べた危険度は」) SARS(重症急性呼吸器症候群)やMERS(中東呼吸器症候群)のように動物から人間へ感染した過去のコロナウイルスは、通常の風邪ウイルスとは違い、多くの臓器に広がって様々な症状を引き起こした。今回の新型ウイルスも例外ではない。(参考記事:「MERSワクチン、開発が進まない理由」) わずか1カ月あまりで2000人以上の死者を出したのはそのせいだ。致死率はSARSの5分の1程度のようだが、死者数は既

    新型コロナウイルスに感染するとこうなる
  • 新型コロナ患者の「奇妙な症状」、各専門医が解説

    2020年4月1日水曜日、ベルギー、ブリュッセルの救急医療スタッフによって、満床になった病院から別の病院に転院していく新型コロナウイルス感染症の患者。新型コロナウイルスに感染しても多くの人は軽症から中等症ですむが、特に高齢者や基礎疾患のある人は、重症化したり死に至る割合が高い。(PHOTOGRAPH BY FRANCISCO SECO, AP PHOTO) 感染症はあの手この手で体に深刻なダメージを与えるが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、そのほとんどを引き起こしているかのようだ。このウイルス(SARS-CoV-2)はまず肺を攻撃して肺炎や呼吸不全を引き起こし、その約5人に1人が多臓器不全に陥る。 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が続く中、多数の微小血栓や、若者の脳卒中、さらには、「コロナのつま先」と呼ばれる謎の炎症反応や子どもの全身の発疹など、新型コ

    新型コロナ患者の「奇妙な症状」、各専門医が解説
  • 出稼ぎ労働者が一斉に失業したインド、貧困が農村を襲う 写真16点

    ある春の日の朝、インド北部ウッタル・プラデーシュ州の州都ラクナウの郊外で、2人の男性が手足を折り曲げて眠っていた。1人は使い古しの毛布の上で、もう1人はどこかで拾ってきたらしい白い麻袋の上で寝ている。そばには荷物をくくりつけた自転車が置いてあった。 少し離れたところにも、同じような支度の男性が3人寝ていた。彼らの服や髪は砂まみれで、旅の汚れや汗が肌にこびりついていた。 インドのモディ首相が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのロックダウン(都市封鎖)を5月3日まで延長すると発表した翌日の4月15日、5人は自転車に乗ってラージャスターン州の州都ジャイプールを出発した。目的地は約1000km離れたビハール州のゴパルガンジだ。

    出稼ぎ労働者が一斉に失業したインド、貧困が農村を襲う 写真16点
  • 今年の夏は泳げる? シーズン到来、気になる遊泳 

    オリンピック米国代表のマイケル・アンドリュー選手は、カリフォルニア州サンディエゴにある自宅のプールで、父親の指導を受けながら訓練を続けている。今年は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックにより、トップアスリートから、純粋に水泳を楽しみたい一般人まで、これまでとは全く違う夏を迎えようとしている。(PHOTOGRAPH BY SEAN M. HAFFEY, GETTY IMAGES) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第1波が鎮静化する中、さまざまなスポーツの楽しみ方に制限がつけられそうだ。今年は泳げるのか? と気になる人もいるだろう。米国各地では、どのような対策がとられているのか、現状を見てみよう。 米国では、感染症対策に関して遊泳施設に適用される全国共通のルールがないため、プールや湖畔、ビーチでの対策は、州や自治体によって様々だ。夏をすぐ目の前にして、多くの州がプールや海開き

    今年の夏は泳げる? シーズン到来、気になる遊泳 
  • ギャラリー:新型コロナ患者で溢れる病院よりも自宅出産を選ぶ女性たち、写真15点

    出産して疲れきったキンバリー・ボンシニョールさんが、自宅の居間に設置した出産用プールで横になる。新型コロナウイルスのパンデミックを受け、ボンシニョール夫は予定していた病院での出産に代え、自宅で第二子を迎えることにした。(Photograph by Jackie Molloy) 午後3時35分 「ドゥーラ」と呼ばれる出産援助者であるアンジェリーク・クラークさんのサポートを受けつつ、激しい陣痛に耐えるボンシニョールさん。2歳の娘、サティヴァちゃんは、母親が痛みで叫び声をあげると、父親のアルさんと祖母のルイーズさんの元に駆け寄った。(Photograph by Jackie Molloy) 午後3時56分 ドゥーラであるアンジェリーク・クラークさんが出産用プールに熱湯を注ぐ。初めは流し台につないだホースを使っていたが、ボンシニョールさん宅のお湯が切れてしまったため、鍋に湯を沸かした。(Phot

    ギャラリー:新型コロナ患者で溢れる病院よりも自宅出産を選ぶ女性たち、写真15点
  • コロナと闘う女性ヘルスワーカー、350万人が劣悪な状況、インド

    インドの町ラクナウで、女性からコロナウイルス検査用の検体を採取する検査技師。医療従事者たちは、コロナ感染症のホットスポットとして封鎖された地域へ入り、症状がある人や貧困者に検査を行っている。(PHOTOGRAPH BY SAUMYA KHANDELWAL) 新型コロナウイルスの警戒地域に指定されたインド、ニューデリーの衛星都市ノイダで、地域衛生員のビジャヤラクシュミ・シャルマさんは、アパートを一軒一軒回り、住人の健康状態を調査している。 シャルマさんが働く「アンガンワディ・センター」は、貧困女性と子どもの栄養不良問題に取り組むために、1975年にインド政府が立ち上げた施設。現在は全国に130万カ所以上ある。ところが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が流行し始めてからは、地域における保健所の役割を担うことになった。同センターで働く270万人は、通常の仕事に加えて、料の配給や調理

    コロナと闘う女性ヘルスワーカー、350万人が劣悪な状況、インド
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    日本も医療従事者に対して同じような扱いだ
  • COVID-19死者数3位のブラジル サンパウロ、わずか10分間の葬儀

    ブラジル、サンパウロ──ビラ・フォルモサ共同墓地の従業員が、マノエル・ジョアキン・ダ・シウバ氏を埋葬したとき、消毒液の鼻をつくにおいが漂ってきた。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が疑われる死は「バイオハザード」(生物災害)と見なされ、79歳で生涯を終えたダ・シウバ氏の書類には、「D3」というスタンプが押されている。このスタンプは、墓地の従業員は霊柩車の到着前に、緑色の分厚いゴム手袋、N95マスク、フードが付いた白のビニール製スーツという完全装備の防護服を着用する必要があることを意味するものだ。

    COVID-19死者数3位のブラジル サンパウロ、わずか10分間の葬儀
  • 新型コロナウイルスはいつまで体内に残るのか

    新型コロナウイルスにより損傷した肺の3次元CT画像。2020年5月22日にモスクワの国立病院で撮影されたもの。(PHOTOGRAPH BY SEFA KARACAN, ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES) 3月13日の金曜日は、26歳のフィオナ・ローレンスタインさんにとって不運な日だった。週末にかけて高熱が出て、咳が始まり、やがて息切れがして話しづらくなった。病院に行って検査を受けると、新型コロナウイルスに感染していることがわかったので、入院して酸素吸入が施された。2日後には退院できるほどに回復したが、症状はそれで終わらなかった。 やがて激しい下痢が始まり、嗅覚を失い、喉の痛みと蕁麻疹(じんましん)に悩まされた。なかでも厄介だったのは、最初の症状が出てから約1カ月後に現れた、強い疲労感と激しい頭痛だった。言葉が出にくくなり、集中力を失い、話している途中で何を言お

    新型コロナウイルスはいつまで体内に残るのか
  • 「コロナに効くお茶」が危険な理由、専門家が警鐘

    1866年、インドのシッキム州の政府のプランテーションで栽培されていたアカキナノキ。キナノキの原産地は南米だが、その抽出物がマラリアに有効であることを知ったヨーロッパの植民地開拓者がインドのプランテーションで栽培するようになった。(PHOTOGRAPH BY ROYAL GEOGRAPHICAL SOCIETY VIA GETTY IMAGES) 3月30日、Facebookに1の動画が投稿された。1人の男性が「キナ茶」と書いてある小さなビニール袋を手に持っていて、それをひっくり返してみせる。出てきたのはキナと呼ばれる木の樹皮を削った破片だ。彼はフォロワーに樹皮を使ったお茶の作り方を教え、キナ茶は「体の免疫力を高め、新型コロナウイルスと戦えるようにしてくれる」と説明する。 男性は、キナ茶はこれから大人気になるので、動画を見た人はすぐに購入するといいと呼びかける。このように考える人は彼だけ

    「コロナに効くお茶」が危険な理由、専門家が警鐘
  • 7500年前のイベリア女性の顔を復元、アナトリアのDNAが90%

    ジブラルタルは、スペインの南、イベリア半島の南端に位置する英領だ。1996年、ここで考古学者らが調査を行い、洞窟の中から頭蓋骨を含む人骨の埋葬地を発見した。 この埋葬地が非常に古いことはすぐにわかった。動物の骨や石器が堆積した層の下で見つかったからだ。頭蓋骨は損傷を受けていたが、ジブラルタル博物館に収蔵された。 この頭蓋骨がいつの時代のものかは謎のままだったが、2019年、DNA分析によって7500年前の女性のものと判明した。ジブラルタルで見つかった現生人類の女性としては、最古のものだ。 さらに、頭蓋骨の持ち主の祖先はイベリア半島のはるか東から来たことも判明した。農耕がヨーロッパに広がっていった時期に、古代人類がどのように移動していったのかを知る新たな手がかりとなる。 ジブラルタル博物館の研究チームは、彼女の顔を法医学的・解剖学的に復元することに取り組んだ。破損した骨をコンピュータースキャ

    7500年前のイベリア女性の顔を復元、アナトリアのDNAが90%
  • 人種差別抗議デモ、人種を超えて広がる人々の思いと闘い

    6月6日土曜日にワシントンD.C.で行われた抗議活動の最中、リンカーン記念館で演説をする、抗議団体「フリーダム・ファイターズDC」のメンバー、フィロミナ・ウォンケンジさん。「われわれが要求したのは、通りの名前を黒人にちなんだものに変えることではない。われわれが求めたのは警察への予算打ち切りだ。若者を甘く見てはいけない。われわれは無視できない力を持っている」(PHOTOGRAPH BY DELPHINE DIALLO, NATIONAL GEOGRAPHIC) COVID-19死者数3位のブラジル サンパウロ、わずか10分間の葬儀 「コロナにおびえている暇はない」アフリカ最大級のスラム街は今 写真15点

    人種差別抗議デモ、人種を超えて広がる人々の思いと闘い
  • 第二次世界大戦が生んだ「オオカミの子どもたち」苦難の人生 写真12点

    第二次世界大戦終結後、親を失った多くの子どもたちが、戦後の混乱期を自力で生き抜かなければならなかった。かつてナチス・ドイツが支配していた東プロイセンでも、親と離れ離れになったドイツ人の子どもたちが、社会から見捨てられ、まるで腹を空かせたオオカミのようにさまよい、森のなかで生き延びていた。彼らはやがて「オオカミの子どもたち」と呼ばれるようになった。(参考記事:「ナチスによる原爆開発はこうして阻止された」) 米ウィスコンシン大学の歴史学教授ミシェル・モウトン博士は、終戦直後の地政学的政策決定に関して、英国労働党が1944年に発表した声明文を引用し、次のように説明する。声明文のなかで労働党は「終戦直後、被占領国においてはドイツ人に対する根深い憎悪」が懸念されるため、ドイツ人は「移住するか大量虐殺されるか」のいずれかの選択を迫られるだろう、との考えを明らかにしていた。少なくとも建前上は「連合国側は

    第二次世界大戦が生んだ「オオカミの子どもたち」苦難の人生 写真12点
  • 世界「人の影響が及んでいない土地」マップ、科学者が公開

    地上で最も「手つかず」の土地を示した地図を、科学者が作成した。すなわち人間の影響が最も及んでいない土地を示した地図だ。6月5日付の科学誌「グローバル・チェンジ・バイオロジー」に論文が発表された。 「農業やインフラ整備、開拓などによって変化させられていない土地は、世界のどこにあるのか。この地図に答えがあります」と、論文の共著者の一人である米メリーランド大学ボルチモアカウンティ校の地球生態学者、アール・エリス氏は言う。「そうした土地については見解がほぼ一致しています」 4つのモデルは、どれも人口や市街地、耕作地といったデータを用いている点は同じだが、そこから先はモデルごとに特徴がある。 第1のモデル「Global Human Footprint index(人間のフットプリント)」では、道路や鉄道の線路、船の航路、夜間照明、牧草地なども利用して、人間のほぼいない場所を特定する。 「Anthro

    世界「人の影響が及んでいない土地」マップ、科学者が公開
  • 認知症患者と家族の辛すぎる現実、コロナで長引く面会禁止

    写真家ポール・ベイフィールド氏が前頭側頭型認知症を患う母ジャニスさんの暮らしを記録するために3年前に始めたプロジェクト「Keeping Mum」の写真より。プロジェクトでは、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まる前、その最中、さらにその後の彼女の姿を見ることができる。(Photograph by Paul Bayfield) 「コロナにおびえている暇はない」アフリカ最大級のスラム街は今 写真15点 世にも奇妙な場所 火山のクレーター氷河にできた氷の洞窟を探検 55歳の退役海軍大佐トーマス・ショーさんが60歳のリンさんに面会に行くときには、2人でイヤホンをして1台のiPodから音楽を聴いて楽しむのが常だった。競技ダンサーをしていたリンさんは若年性アルツハイマー病を発症して、昨年から米サンディエゴの認知症患者のための介護施設で生活している。病は彼女の記憶の多くを奪ったが、音楽への愛は残

    認知症患者と家族の辛すぎる現実、コロナで長引く面会禁止
  • 愛されたゴリラのボス、密猟者に殺される

    マウンテンゴリラのラフィキは、2008年以来17頭の群れを率いてきた。(PHOTOGRAPH BY ALLAN CARLSON, WWF) 名を知られたマウンテンゴリラが密猟者に殺害された。絶滅の一歩手前まで行った彼らを救おうとの長年の努力に水が差された形となった。 ウガンダ当局は、2008年以来、同国西部のブウィンディ原生国立公園で17頭の群れを率いてきた25歳のシルバーバック(群れのボス)、ラフィキを殺した疑いで、4人の男を逮捕した。ウガンダ野生生物局が6月12日に発表した。 検死報告によれば、観光客にも人気だったラフィキは、密猟者に腹部を槍で刺され内臓まで達した傷がもとで死亡した。前回マウンテンゴリラが人間の手で殺されたのは、2011年のことだ。 ラフィキの群れは国立公園の境界の外でも採しており、人間との「共存という観点からシンボルとなっていました」と、国際ゴリラ保全計画のディレク

    愛されたゴリラのボス、密猟者に殺される
  • アマゾン先住民の「大量虐殺」の声も、ブラジルのコロナ政策

    Invisible Peoples 世界の少数民族 急速に均質化する世界で、なおも伝統を保つ少数民族の貴重な記録。今後、伝統が失われたり変容したりする前に、現在の姿を写真と文章で記録した。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 定価:4,620円(税込) amazon 楽天ブックス

    アマゾン先住民の「大量虐殺」の声も、ブラジルのコロナ政策
  • コロナ・失業・猛暑、「三重苦の夏」がやってくる

    ビジュアル パンデミック・マップ 伝染病の起源・拡大・根絶の歴史 ささいなきっかけで、ある日、爆発的に広がる。伝染病はどのように世界に広がり、いかに人類を蹂躙したのか。地図と図版とともにやさしく解き明かす。 〔全国学校図書館協議会選定図書〕 定価:2,860円(税込) amazon 楽天ブックス

    コロナ・失業・猛暑、「三重苦の夏」がやってくる
  • 「我々は傷ついている」 黒人拘束死、悲しみと怒りのミネアポリス 写真18点

    米ミネソタ州ミネアポリス市、5月28日夜。 抗議デモによって車両が横転させられ、警察官がゴム弾や催涙ガスを発射し、警察署には火の手が上がる中、写真家デビッド・グッテンフェルダー氏は誰かがこう叫ぶのを聞いた。「私たちは傷ついている。私たちは傷ついている」 言葉は混乱の中を突き抜けていくようだった。 抗議デモは26日の夜から続いている。アフリカ系米国人のジョージ・フロイドさんが、ミネアポリス市警察の警察官に膝で9分近くも首を押さえ付けられ亡くなった日の翌日からだ。 フロイドさんを逮捕し、死に追いやった4人の元警察官が働いていた警察署の外には、人種や年齢を問わず、多くの人々が抗議のために集まった。平和的な人もいれば、そうでない人もいた。誰もが怒り、悲しみ、何よりも傷ついていた。

    「我々は傷ついている」 黒人拘束死、悲しみと怒りのミネアポリス 写真18点
  • 21歳妊婦の残酷すぎる死、白人至上主義の狂気

    この一連の記事には、一部に暴力的な写真が含まれています。文に述べられている残虐な事件の数々を物語る歴史的資料として、リンチによって殺害されたルービン・ステイシーの写真を掲載することは重要であると考えます。黒人に対する残虐なリンチを撮影した写真は、かつて白人至上主義を永続させるために使われていました。 人種差別の遺産を広く知らせるために活動している非営利団体「公正な裁きのイニシアティブ」は2018年、全米で初めて、リンチの犠牲者のための「平和と正義の国立記念碑」をアラバマ州モンゴメリーに建立した。 記念碑を構成する801の柱は、それぞれ高さ180センチ、さび色の鉄でできている。一が、リンチのあった801の郡を象徴し、そこで犠牲となった人々の名が刻まれている。天井の梁から下げられたそれらの柱は、首に縄をくくり付けられて木から吊るされた黒人男性、女性、子どもたちの体を連想させる。193

    21歳妊婦の残酷すぎる死、白人至上主義の狂気
  • トイレの水流でエアロゾルが発生、コロナ感染リスクも、研究

    ドイツ、ベルリンの「ホテル・アドロン・ケンピンスキー」にて、従業員が客室のトイレにマスクを置く。2020年5月26日、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)のさなか、制限が緩和され、観光客向けの営業が再開された翌日のこと。(PHOTOGRAPH BY TOBIAS SCHWARZ, AFP VIA GETTY IMAGES) お酒の席やディナー、あるいは長距離ドライブなどの間、一度もトイレへ行かずに済む人は少ないだろう。しかし、飲店や公共施設などが次々と営業を再開しつつある昨今、新たな疑問が湧き上がっている。公共トイレの利用は、新型コロナウイルスの感染リスクを高めるのだろうか? そうした心配を抱かせる研究結果が今週、中国の研究者たちによって発表された。6月16日付けで学術誌「Physics of Fluids」に掲載された論文では、トイレの水を流すときにできる水の渦によ

    トイレの水流でエアロゾルが発生、コロナ感染リスクも、研究
  • 朝鮮戦争勃発から70年、米国に残った悪しき前例

    1950年8月10日、朝鮮戦争の最前線で部隊を指揮する韓国の歩兵部隊の将校。この夏、北朝鮮韓国に侵攻し、紛争が勃発した。戦闘は3年間続き、平和条約が締結されることはなかった。(PHOTOGRAPH BY THE AP) 1950年6月25日、北朝鮮韓国を突然攻撃し、朝鮮戦争の火ぶたが切って落とされた。半島の支配をめぐる共産主義と資主義の争いは、1950年から53年までに数百万人の死者を出し、今に続く両国の分断を生んだ。 米国は参戦したものの、国内では注目されず「忘れられた戦争」とも呼ばれている。同時にこの戦争は、議会の承認を得ずに参戦するという悪しき前例を米国に残した。 朝鮮戦争歴史は、日統治時代(1910~45年)に端を発する。第二次世界大戦が終わると、連合国は大日帝国の解体を始めた。その際、朝鮮の運命は、米ソ間の交渉のチップになった。ともに元連合国だったが相互に不信感を抱い

    朝鮮戦争勃発から70年、米国に残った悪しき前例
  • ギャラリー:朝鮮戦争は終わっていない 写真5点

    1950年8月10日、朝鮮戦争の最前線で部隊を指揮する韓国の歩兵部隊の将校。この夏、北朝鮮韓国に侵攻し、朝鮮戦争が勃発した。戦闘は3年間続き、平和条約が締結されることはなかった。(PHOTOGRAPH BY THE AP) 北朝鮮人捕虜を営倉に連行する韓国軍の憲兵。1950年7月21日、韓国で撮影。捕虜の扱いは、朝鮮戦争の停戦交渉が行き詰まった大きな要因となった。(PHOTOGRAPH BY AP) くすぶる廃墟でタバコの火を分け合う米兵。1950年9月、韓国のソウルで撮影。朝鮮戦争は、米大統領が連邦議会の宣戦布告なしに大規模な他国の紛争に派兵した、初の事例となった。(PHOTOGRAPH BY MAX DESFOR, AP)

    ギャラリー:朝鮮戦争は終わっていない 写真5点
  • フィレンツェの伝統スポーツ コロナで2020年は開催の危機

    フィレンツェのフットボール「カルチョ・ストーリコ」は、15世紀から続く伝統スポーツだが、今年はパンデミックのため延期になった。町の人々は、試合の存続に不安を抱いている。(PHOTOGRAPH BY FILIPPO MONTEFORTE, AFP/GETTY IMAGES) イタリアの歴史的な都市の一つフィレンツェには、「カルチョ・ストーリコ」という伝統的な競技がある。イタリア語で「歴史的フットボール」を意味するこの競技は、フィレンツェの歴史的な町を4つの地区に分け、それぞれの地区を代表する4チームが、毎年数千人の観客の前で優勝をかけて戦うトーナメント式のイベントだ。ラグビーにやや似ているが、こちらは古代広場に設置された巨大な砂地のフィールドの中で、時代衣装を身に着けた選手たちが素手で殴り合い、大乱闘を繰り広げる様は、かなり独特だ。 (参考記事:「サッカーの祖先、イタリア伝統の喧嘩フットボー

    フィレンツェの伝統スポーツ コロナで2020年は開催の危機
  • 困窮するソマリランド、女性たちを追い詰める性暴力と人身売買

    「まるで毒を盛られたかのようでした」と、ソマリランドに暮らす女性ラーマ・ハッサン・マフムードさんは言う。 彼女は家畜のヤギとヒツジ300頭、ラクダ20頭をいっぺんに失った。最後のラクダが死んだ後、ラーマさんの家族は、隣人からミルクをもらってしのいでいたが、やがてほかの家の家畜も死んでいき、じきに皆で分け合うこともできなくなった。 村の人たちは、お金を出し合ってトラックを借りた。50人がトラックに乗り込み、ひと晩かけて、ソマリランド中央部にあるブラオの街へとたどり着いた。道中では、廃材やビニールシートで作った小屋が立ち並ぶ、急ごしらえの集落をいくつも通り過ぎた。

    困窮するソマリランド、女性たちを追い詰める性暴力と人身売買
  • 子どもたちを救い パンデミックをせき止めた偉大な科学者

    ウイルス学者モーリス・ヒルマンとその研究チーム。1957年、ウォルター・リード陸軍医療研究所で撮影。この年、ヒルマンらは香港から伝播したインフルエンザウイルスを特定して、4000万のワクチンを製造した。(PHOTOGRAPH BY ED CLARK, THE LIFE PICTURE COLLECTION/GETTY) 1957年、香港で未知の病気が流行していた。「ガラス玉のような瞳で見つめる」多くの子どもたちの話や、町の人口の10%以上が感染したというニュースが伝えられた。科学界は沈黙したままだったが、米国人のウイルス学者モーリス・ヒルマンは脅威を察知した。世界的な流行、つまり「パンデミック(世界的大流行)」が始まろうとしているのだと。 香港の未知の病気は、全世界に広がる恐れのある新しい型のインフルエンザだとヒルマンは考えた。1957年秋、ウイルスは米国へ到達したが、ヒルマンが完成させ

    子どもたちを救い パンデミックをせき止めた偉大な科学者
  • なぜ人は密にならずにいられないのか、その進化的な理由

    2020年6月13日、米ニューヨーク州イーストハンプトン。ニュータウン通りの両側にレストランのテーブルが並び、客が事を楽しむ。(PHOTOGRAPH BY KARSTEN MORAN, THE NEW YORK TIMES VIA REDUX) 6月、ジョディアンさんと婚約者は「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大切)」の抗議活動に参加するため、米ウィスコンシン州ミルウォーキーに向かった。途中、通りがかった屋外カフェは事を楽しむ客でいっぱい、ミルウォーキーの街も、警察の暴力に声を上げる人々であふれていた。みな、他人との接触で自ら健康を害する危険を冒していたことになる。 ジョディアンさんら参加者は、自分たちの行為にリスクを負うだけの価値があると判断したのだろう。しかし、新型コロナウイルスがいまだに世界を席巻し、連日何万人と感染者が増加する中では、デモ行進にせよ、会やその他の

    なぜ人は密にならずにいられないのか、その進化的な理由
  • 私たちはどうなる?米国で暮らすインド移民の不安

    筆者のアイシュワリャ・クマール氏(右端)が、2018年11月にインドのチェンナイを旅行中、両親のLK・クマールとブワナ・クマール、妹のプージャ・クマールと一緒に撮った自撮り写真。昔から、親戚一同がチェンナイの祖母宅に集まり、共に料理事をし、歌い、ヒンドゥー哲学について語り合う。(PHOTOGRAPH BY AISHWARYA KUMAR) トランプ米大統領が、米国の移民受け入れを一時的に停止する計画をツイッターで発表したのは2020年4月、隔離が始まってから5週目のことだった。私、アイシュワリャ・クマールはインドからの合法移民で、米コネティカット州ハートフォードに住んでいる。 このツイートは、私や現在米国で暮らす数百万の合法移民にとって、何を意味するのか? 私は、米ニューヨーク・タイムズ紙のウェブサイトを何度も更新した。最新の情報に飢えていた。 情報は、断片的に入ってきた。「米国にいる

    私たちはどうなる?米国で暮らすインド移民の不安
  • 実は独立記念日でなかった「カナダの日」 その誕生の歴史

    1867年7月1日、英国の3つの植民地が統一され、カナダが誕生した。この新しい国は自治権を持っていたが、厳密には、その後数十年もの間、英国の統治下に置かれていた。

    実は独立記念日でなかった「カナダの日」 その誕生の歴史
  • 現代カナダに今も息づく「ヌーベルフランス」の文化

    1534年以降、フランスの探検家ジャック・カルティエは3回にわたって、後にヌーベルフランスと呼ばれる土地を探検し、セントローレンス川沿いの内陸を初めて正確な地図に表した。この絵は、現在のケベックシティがあるスタダコナの村に十字架を建てるジャック・カルティエ。(PHOTOGRAPH BY DEAGOSTINI, GETTY) かつて「ヌーベルフランス(新フランス)」と呼ばれる土地が、北米にあった。北は現カナダのハドソン湾から南はメキシコ湾に至るまで、5つの領土から成る広大なフランスの植民地だ。毛皮商人や兵士、フランス国王が送った花嫁たちが入植して新たな生活を築いたが、そこは昔から先住民が暮らす土地でもあった。 ヌーベルフランスの歴史は1608年から1763年までと短いが、そこで生まれた独特の言語、文化歴史は、今もカナダ国民のなかに深く根付いている。 ヌーベルフランスの誕生 フランスの探検家

    現代カナダに今も息づく「ヌーベルフランス」の文化
  • ウクライナの伝統 豪華な花の冠の人気が復活した理由

    ポーランドとウクライナ出身のメンバーで構成されたバンド「ダガダナ」のダガ・グレゴロウィッツ氏とダナ・ヴィンニツカ氏。花の冠の製作者はドミニカ・ダイカ氏。(PHOTOGRAPH BY DOMINIKA DYKA) 花、鳥の羽、麻糸、貝殻、ビーズ、時には箔やワックスまで用いて、ウクライナの芸術家ドミニカ・ダイカ氏が作るのは、「ヴィノク」と呼ばれるウクライナの伝統的な花の冠だ。 純潔と多産の象徴として、ウクライナでは昔から少女や若い女性が祭りや結婚式で頭に花の冠を載せた。その起源は、10世紀に東欧のスラブ世界にキリスト教が伝わる以前の異教の伝統にあるとされている。ウクライナでは今、この花の冠を含め、伝統的な文化を見直す動きが高まっている。誇りある民族の歴史を反映し、明るい未来への希望を込めて現代風にアレンジされた民族衣装は、今では日常生活の中にも溶け込んでいる。 (参考記事:「ウクライナ正教会、

    ウクライナの伝統 豪華な花の冠の人気が復活した理由
  • ギャラリー:100年前の写真で見る世界の民族衣装、帽子をかぶる人々 写真45点

    フランス、レ・サーブル=ドロンヌの女性。白い布でバラをかたどった背の高い帽子をかぶっている。(PHOTOGRAPH BY JULES GERVAIS COURTELLEMONT, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) オランダ、ゼーラント州の伝統衣装を着た二人の女性と娘たち。プロテスタントの女性たちはこの写真のような白い貝形の帽子を、またローマ・カトリックの女性たちは四角い帽子をかぶることになっていた。(PHOTOGRAPH BY WILHELM TOBEIN, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 羽根、花、金色の飾り房がついた帽子を頭に乗せたオーストリア、ツィラタールの男性。(PHOTOGRAPH BY HANS HILDEBRAND, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 1900年代初頭に撮影された、フランス、ソーヌ

    ギャラリー:100年前の写真で見る世界の民族衣装、帽子をかぶる人々 写真45点
  • Black Lives Matter運動、創始者に聞く女性の力

    Women ここにいる私 あらゆる場所の女性たちの、思いもかけない生き方 130年におよぶ時代・場所・境遇を横断して、驚くほど多様な女性像を描きだす。〔日版25周年記念出版〕 定価:3,960円(税込) amazon 楽天ブックス

    Black Lives Matter運動、創始者に聞く女性の力
  • 「米国紙幣初の黒人女性」はどんな人?

    奴隷制廃止論者であり、北軍のスパイでもあったハリエット・タブマン。アンドリュー・ジャクソン大統領に代わり、米国の20ドル紙幣の顔となる。新たなデザインは2020年に発表される予定だ。(PHOTOGRAPH BY MPI, GETTY IMAGES) 1863年、ハリエット・タブマンはジェームス・モンゴメリー大佐と共に兵を率い、サウスカロライナ州コンバヒー川沿いの稲作プランテーションを襲撃した。建物に火を放ち、橋を壊し、プランテーションにいた奴隷の多くを逃がした。 タブマンが米国北部諸州の黒人兵士と共に船でやってくるのを見た奴隷たちは、奴隷監視人の制止もむなしく、船を目指して走り出した。ある奴隷監視人は、「キューバへ行ってしまえ!」と叫んだと伝えられている(南部連合は当時、北部諸州は逃亡奴隷をキューバへ運び、砂糖プランテーションで働かせるつもりだといううわさを流そうとしていた)。(参考記事:

    「米国紙幣初の黒人女性」はどんな人?
  • なぜ卒業式で四角い帽子をかぶるのか?

    米国オレゴン州、ガウンをまとい、四角い帽子をかぶった卒業生代表のエマ・オルソンさんが高校の卒業式に臨む。社会的距離を保つため、ドライブインシアターで実施された。(PHOTOGRAPH BY GREG LEHMAN, WALLA WALLA UNION-BULLETIN/AP) 今年の米国の卒業式は、新型コロナの影響で例年とだいぶ様子が違っているようだ。学生たちは自宅から式に参加し、ズームの画面越しにバーチャル卒業証書を受け取っている。 しかし、そのような状況下でも変わらぬ伝統が1つだけある。四角い卒業帽だ。左官職人がモルタル(しっくい)を塗る際に使用する、四角いトレーに似ていることから、モルタルボードハットとも呼ばれる。 今では卒業式というと、房の付いたあの黒い角帽が思い浮かぶが、昔からずっと使われてきたわけではない。それどころか、一時はずんぐりしたコック帽のようなものが主流になりかけたこ

    なぜ卒業式で四角い帽子をかぶるのか?
  • チャールズ皇太子が感染、英国王室と感染症の歴史

    2017年、マレーシアの野生動物リハビリセンターを訪れた時のチャールズ皇太子。新型コロナウイルス感染症COVID-19の検査で陽性反応が出たと発表された。過去にも、感染症の世界的流行に巻き込まれた英国の王族は多く、チャールズ皇太子もその1人に加わった。(PHOTOGRAPH BY CHRIS JACKSON, GETTY) 英国の王位継承者であるウェールズ公チャールズ皇太子が、新型コロナウイルスの検査で陽性となった。英国王室の発表によると、チャールズ皇太子は軽症で、現在スコットランドのバルモラル城でのカミラ夫人と共に隔離された生活を送っているという。夫人は検査で陰性だった。 英国王室で新型コロナの陽性反応が出たのは、チャールズ皇太子が初めてだ。しかし、歴史を振り返ると、数多くの王族がパンデミック(世界的な大流行)に巻き込まれてきた。14世紀の黒死病から20世紀のスペインかぜまで、命に関わ

    チャールズ皇太子が感染、英国王室と感染症の歴史
  • ネルソン・マンデラの生涯、終わりなき人種差別との闘い

    逆境だらけの人類史 英雄たちのあっぱれな決断 窮地に陥ったり、不遇や失敗にまみれたりした人たちが、劇的な逆転を遂げるに至る決断を47例集めた、歴史読み物。 定価:2,860円(税込) amazon 楽天ブックス

    ネルソン・マンデラの生涯、終わりなき人種差別との闘い
  • ギャラリー:世界を一変させた自転車の歴史 写真8点

    1890年代、自転車は、自立して進歩的で政治的発言力を求める女性、いわゆる「新しい女」の象徴になった。当時の女性月刊誌「Godey's」には、こう書かれている。「自転車の所有は、19世紀の娘にとって、独立宣言を公布するようなものだ」(PHOTOGRAPH BY UNIVERSAL HISTORY ARCHIVE, UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY) 1903年7月に開催された第1回ツール・ド・フランス。参加した60人のうち、過酷な2400キロのコースを完走したのは、21人だけだった。主催者のアンリ・デグランジュがこう語った話は有名だ。「理想的なツール・ド・フランスとは、あまりに過酷なため、1人しか完走できないものだろう」(PHOTOGRAPH BY THE PICTURE ART COLLECTION, ALAMY) 1940年代、英バーミンガムにあるHercule

    ギャラリー:世界を一変させた自転車の歴史 写真8点
  • フランスの現在、第一波を越えて迎える静かな夏

    7月23日のフランス、パリ。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック対策としてソーシャルディスタンスを確保するため、カフェの外に木製パレットで即席のテラスがつくられている。(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHE ARCHAMBAULT, AFP, GETTY IMAGES) 4月のある朝、「ディストピア(ユートピアの反対)」のような体験をしたパリの友人から電話がかかってきた。自宅から3キロほど散歩して、広大な森林公園バンセンヌの森に入ろうとしたとき、頭上にドローンがやって来たという。ドローンは命令した。「自宅に戻ってください」。友人は走って帰宅した。 2020年、新型コロナウイルス危機が到来し、ごく普通の生活が奪われた。フランスはウイルスの蔓延を抑えるために厳格なロックダウンを実施し、国民の社会生活を制限した。それから数カ月。フランスは不安に打ち勝つ方法を見つ

    フランスの現在、第一波を越えて迎える静かな夏
  • 新型コロナ、なぜこんなに嗅覚障害が多いのか、回復の見込みは?

    2020年5月24日、アルゼンチンのラプラタ市近くのアルトス・デ・サン・ロレンソ地区で、住民の嗅覚障害をモニターするために嗅覚検査を実施する医療従事者。(PHOTOGRAPH BY ALEJANDRO PAGNI, AFP VIA GETTY IMAGES) 3月初旬のある晩、悪寒と微熱を感じていたピーター・クアッギさんが夕を準備しようと生の鶏肉を切っていると、肉の匂いがしなかった。そのときは「なんの匂いもしないなんて、ずいぶん新鮮な肉なんだな」と思ったという。 けれども翌朝、シャワーを浴びると石鹸の香りがせず、掃除に使った漂白剤の臭いもしなかった。漂白剤が劣化したのかと思った彼は、ボトルに顔をつっこんで、思いきり匂いを嗅いでみた。目と鼻がひりひりしたが、なんの匂いもしなかった。 嗅覚障害は、最近、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の一般的な症状として注目されるようになった。ク

    新型コロナ、なぜこんなに嗅覚障害が多いのか、回復の見込みは?
  • ナチスの「ユダヤ人絶滅計画」最初の移送者は999人の女性たちだった、生存者が語る過酷な体験

    1936年頃、スロバキアの町フメンネーで撮影された写真。ここに写る5人の少女のうち2人が、1942年3月25日に、ポーランドのアウシュビッツへ送られた。アナ・ヘルスコビッチさん(左から2人目)とレア・フリードマンさん(左から4番目)は、いずれも収容所から生きて帰ることはなかった。(PHOTOGRAPH COURTESY THE GROSMAN AND GROSS FAMILIES) スペースX宇宙船が有人で初の帰還、写真で見る宇宙の旅 写真11点 北極圏にすむシロハヤブサ 気候変動、不可避の脅威に直面 ヨーロッパ、スロバキアの美しい町に、今も残るソビエト時代のホテル。そのなかの一室で、私(筆者のヘザー・デューン・マカダム氏)は95歳のイディスさんに対面した。窓の外に目をやると、遠くの方に雪をいただくタトラ山脈の峰が連なっている。「アウシュビッツを開いたのも私たち、閉鎖したのも私たちでした」

    ナチスの「ユダヤ人絶滅計画」最初の移送者は999人の女性たちだった、生存者が語る過酷な体験
  • なぜ人は残虐な行為と知りながら従ってしまうのか

    ナチス・ドイツの強制収容所での残忍な行為は、人が人に対してどれほど非道なことが行えるかという例のひとつです。そこまでではないにしても、普通の人の集団が、残虐な行為に手を貸してしまうという犯罪を耳にすることがあります。なぜこうしたことが起こるのでしょうか。 『教養大事典』の心理学の項では、ある実験を例に挙げ、「権威の存在が人の反応や他人についての意見に影響を及ぼす」と書いています。具体的に見ていきましょう。 ブーヘンヴァルト強制収容所の監視塔。(Jürgen Ludwig /Allgemeiner Deutscher Nachrichtendienst - Zentralbild (Bild 183)/Wikipedia) その実験は、ナチス・ドイツによる惨劇をきっかけに、1960年代の米国で行われました。人はどれほど他人の命令に従ってしまうのかを調べる、ミルグラム実験と言います。 実験の手

    なぜ人は残虐な行為と知りながら従ってしまうのか
  • 約90年ぶり54.4℃、地球はどこまで暑くなるのか?

    熱波が襲った米国カリフォルニア。エディー・ロペス氏と息子のエディー・ジュニア君がサンガブリエル川ではしゃぐ。 (PHOTOGRAPH BY ROBERT GAUTHIER, LOS ANGELES TIMES/GETTY IMAGES) 8月16日、米国西部を熱波が襲い、カリフォルニア州デスバレーの気温は54.4℃に達した。これは1931年以来の最高記録で、世界の観測史上で3番目に高い。 だが、地球の歴史をさかのぼれば、もっと暑い時代はあった。そして将来、再びそういう時代がくるだろう。その暑い時代は「温室期(ホットハウス・ピリオド)」と呼ばれる。現在の南極にあるような氷床が地球になかった時代で、大気中に温室効果ガスが過剰に供給され、地球の気温は現在よりもはるかに高かった。 今のところそこまでは達していないが、人間が排出する炭素は地球の気候を変え、熱波はその頻度と激しさを増している。つまり、

    約90年ぶり54.4℃、地球はどこまで暑くなるのか?
  • レバノン爆発事故、尽きぬ人々の嘆きと「彼ら」への怒り、写真17点

    消防士ラルフ・メレーへさんとの最後の別れを惜しむ人々。8月4日、ベイルート港で小規模な火災が発生し、彼を含む10人の消防隊が現場に駆けつけた。その後、数千トンの硝酸アンモニウムを貯蔵する倉庫が爆発し、10人全員が死亡した。 北極圏にすむシロハヤブサ 気候変動、不可避の脅威に直面 町全体がまるで博物館、崩落を続けるイタリアの「死にゆく町」チビタ

    レバノン爆発事故、尽きぬ人々の嘆きと「彼ら」への怒り、写真17点
  • 屋根から落ちて骨が砕けた男性を回復させる、驚きの最新医療

    あの濡れた金属の屋根から「まるですべり台のように」落ちたんですと指を差すブレント・バウアー氏。両足首と片方の手首が骨折していたため、彼は携帯電話のところまで6メートル以上這っていき、助けを呼ばなければならなかった。バウアー氏は、米ワシントン州シアトルのハーバービュー医療センターの集中治療室(右)で5日間を過ごした。(PHOTOGRAPHS BY SARAH BARTOLAC) 2019年6月のある晴れた土曜日、56歳のブレント・バウアー氏は、米国シアトル沖サンファン島にある別荘の屋根に上って掃除をしていた。手の届かないところを洗おうと水圧洗浄機のスイッチを入れた瞬間のこと。勢いよく飛び出した水の反動で、バウアー氏はバランスを崩し、屋根からすべり落ちた。 コンクリートの地面までおよそ25フィート(7.6メートル)。激突するまでの間、バウアー氏の頭には「もうおしまいだ」と「これではバカみたいだ

    屋根から落ちて骨が砕けた男性を回復させる、驚きの最新医療
  • コロナとの闘いはどう終息するのか、なぜこうも難しいのか

    感染症の専門家、マイケル・キャラハン氏は、1月初旬に新型コロナウイルス感染症の発生が世界に報じられる前から、パンデミックとの闘いに加わっていた。(PHOTOGRAPH BY MATT NAGER, NATIONAL GEOGRAPHIC) 2020年1月初旬、中国の武漢市で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が大流行しているという漠然とした第一報がもたらされたとき、その前からこの病について記録していた米国人医師がいた。感染症の専門家であるマイケル・キャラハン氏だ。 氏は、長年にわたり鳥インフルエンザウイルスの共同研究を行っていた中国人の同僚たちから、昨年11月に奇妙な新手のウイルスが現れたことを知らされた。同じ謎の病原体による症状を示している患者がシンガポールで発生すると、キャラハン氏はすぐに現地へ飛んだ。 現在57歳のキャラハン氏は、この20年間、SARS、エボラ出血熱、ジカ熱な

    コロナとの闘いはどう終息するのか、なぜこうも難しいのか
  • 動物の“処女懐胎”、なぜできる? ヒトではなぜ無理なのか

    孵化したばかりのコモドオオトカゲが木に登る。インドネシア、コモド国立公園で撮影。コモドオオトカゲは、単為生殖による「処女懐胎」が可能な数少ない脊椎動物の1つ。(PHOTOGRAPH BY STEFANO UNTERTHINER, NAT GEO IMAGE COLLECTION) 大半の動物は、オスとメスが交配して繁殖する。だが、一部の動物はその有性生殖に際し、メスだけでも子を残せる。いわば処女懐胎だ。これは「単為生殖」と呼ばれ、ミツバチからガラガラヘビまで様々な生物で例がある。 例えば2016年、オーストラリアのリーフHQ水族館で飼われているトラフザメの「レオニー」が飼育員を驚かせた。数年間オスとの接触がなく、他のメスと一緒に飼われていたにもかかわらず、産んだ卵から3匹の子サメが誕生したからだ。(参考記事:「トラフザメが“処女懐胎”、3匹の子サメが誕生」、「“処女懐胎”のトラフザメ、過去

    動物の“処女懐胎”、なぜできる? ヒトではなぜ無理なのか
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    「メスとオスが交配しなければ子は生まれない」というのが、人間社会中心の思い込みかもしれない。交配を介さない生殖を「処女懐胎」というセンスもどうかと思う。
  • 体の右半分がオス、左半分がメスの鳥が見つかる

    9月、米パウダーミル自然保護区で捕獲されたムネアカイカル。黄色い側はメス、赤い側はオス。「雌雄モザイク」と呼ばれる現象だ。(PHOTOGRAPH BY ANNIE LINDSAY) 米ペンシルベニア州パウダーミル自然保護区で鳥の個体数調査をしていた研究者たちは、9月24日、奇妙なムネアカイカル(Pheucticus ludovicianus)に出会って驚いた。体の片側にはオスに特有の鮮やかな赤い羽、反対側にはメスに見られる黄色の羽が生えていたのだ。 くっきり2つに分かれた配色が、オスとメスの特徴をあわせもつ「雌雄モザイク」と呼ばれる現象を意味することは明らかだった。 「疑問の余地はありませんでした」。パウダーミルの鳥類標識調査を率いるアニー・リンゼイ氏はそう話す。計測すると、この個体の右の翼は左の翼よりもわずかに長かった。ちょうどムネアカイカルの平均的な雌雄差と同じくらいだ。 雌雄モザイク

    体の右半分がオス、左半分がメスの鳥が見つかる
  • トラ虐待と殺人依頼の罪で22年の刑に、米国の“タイガーキング”

    「G・Wエキゾチック・アニマル園」の敷地から掘り出された、5つのトラの頭骨のうちの1つを手にする米魚類野生生物局の特別捜査官。これらの骨は、ジョー・エキゾチックのトラの殺害、販売、不正取引、2件の殺人依頼についての裁判の証拠に使われた。(PHOTOGRAPH BY STEVE WINTER) 「ジョー・エキゾチック」の通称で知られるジョゼフ・マルドナド=パッセージ氏が先日、オクラホマシティの連邦裁判所で判決を言い渡された。2018年9月に逮捕されるまで、彼は米国最大級のトラの繁殖施設を運営し、観光客に赤ちゃんトラを触らせたり、一緒に写真を撮らせたりしていた。自分自身がラスベガスの芸人のような格好をして、ショーを開くこともあった。(参考記事:「米国で飼育されるトラ、その痛ましい現状とは」) かつて“タイガーキング”と呼ばれたこの男はしかし、今ではすっかり憔悴し切っている。2019年の春に行わ

    トラ虐待と殺人依頼の罪で22年の刑に、米国の“タイガーキング”
  • ハロウィンの「カボチャ」ジャック・オ・ランタンの歴史

    「ゴースト・ターニプ(おばけカブ)」の名で知られる、1900年代初頭のジャック・オ・ランタンの石こう像。アイルランドのカスルバー近郊にある「アイルランド国立博物館カントリーライフ館」の収蔵品。(PHOTOGRAPH BY NATIONAL MUSEUM OF IRELAND) 明かりをともしたジャック・オ・ランタン(かぼちゃのランタン)は、陽気で不気味なハロウィン定番の装飾だ。米国では、カボチャを彫ってジャック・オ・ランタンを作ることが秋の伝統になっている。 ジャック・オ・ランタンはどのようにしてハロウィンの装飾になったのか? 彫られるようになったきっかけは? 事実とフィクション、儀式や民話が絡み合うジャック・オ・ランタンの誕生秘話を紹介しよう。 ケルト人の儀式 丸い果物や野菜で人の顔を表現するという発想は、数千年前のヨーロッパ、ケルト文化に端を発する。アイルランドの首都ダブリンにあるEP

    ハロウィンの「カボチャ」ジャック・オ・ランタンの歴史
  • コロナ「誤情報」はなぜ、どこからどのように広まるのか? 研究

    2020年5月1日、米国カリフォルニア州ハンティントンビーチで開かれた集会で、「新型コロナはでっちあげ」と書いた紙をマスクに貼ってロックダウンに抗議する人。(PHOTOGRAPH BY JAMIE LEE CURTIS TATE) 人々が何かを正しく理解することに、誤った情報がどれほど影響を与えるかをいちばんよく知っている人々といえば、気候科学者だろう。彼らは長年、地球の温暖化を示す科学的な知見を伝えようと努力する一方で、誤った解釈やフェイクニュースとも闘ってきた。コロナ禍の今、これと同様のインフォデミック(正しい情報と誤った情報の両方が氾濫している状態)が世界を揺るがせている。 近年、インターネットを使って簡単に学術論文を入手できるようになったおかげで、誰もが新型コロナや気候変動のにわか専門家になれるようになった。しかしこうした人々は、自分に都合のよいデータを選び出して、もっともらしいこ

    コロナ「誤情報」はなぜ、どこからどのように広まるのか? 研究
  • グレタさん語る「ポスト真実の社会」の危機を生き抜くこと

    「グレタ」と題されたポートレート。(PHOTOGRAPH BY SHANE BALKOWITSCH, NOSTALGIC GLASS WET PLATE STUDIO) 2年余り前に、スウェーデンの国会議事堂の前で初めての座り込みをして以来、グレタ・トゥンベリさんの基的なメッセージは明確かつ不変だ。 「気候危機は人類の存続にとって最大の脅威であり、我々は相応の対処をする必要がある」というそのメッセージは、何百万人もの若い活動家たちに、変化を求める抗議行動へと駆り立て、トゥンベリさんは一躍世界的な有名人となった。(参考記事:「2020年4月号 地球を守ろうと闘う若者たち」) しかし、新型コロナウイルスのパンデミックのさなかにある現在、17歳の活動家トゥンベリさんは、スウェーデンに戻り学校に通っている。ナショナル ジオグラフィックはZoomを介してトゥンベリさんにインタビューを行い、この1年

    グレタさん語る「ポスト真実の社会」の危機を生き抜くこと
  • ギャラリー:写真で振り返る2020年米大統領選、最後の数日の有権者たち 20点

    集会にやって来るトランプ氏を待つ支持者。投票日を翌日に控えた11月2日、ペンシルベニア州のウィルクスバリ/スクラントン国際空港で撮影。(PHOTOGRAPH BY NATALIE KEYSSAR, NATIONAL GEOGRAPHIC) フロリダ州オーランド郊外のウィンターパークに暮らすエリザベス・テイラーさん。近くのロングウッドで開催されたトランプ氏の息子エリック・トランプ氏の集会にて。(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHER GREGORY-RIVERA, NATIONAL GEOGRAPHIC) 投票日の3日前に開催されたエリック・トランプ氏の集会で販売されていたトランプ陣営のグッズ。(PHOTOGRAPH BY CHRISTOPHER GREGORY-RIVERA, NATIONAL GEOGRAPHIC) バイデン氏と副大統領候補カマラ・ハリス氏の名前を並べた「バイ

    ギャラリー:写真で振り返る2020年米大統領選、最後の数日の有権者たち 20点
  • 9000年前に女性ハンター、「男は狩り、女は採集」覆す発見

    9000年前の南米アンデス山脈における狩りの様子を描いた想像画。この時代の墓を分析したところ埋葬されたハンターが女性だったことは考古学者たちを驚かせた。(MATTHEW VERDOLIVO, UC DAVIS IET ACADEMIC TECHNOLOGY SERVICES) 2018年のある日。米カリフォルニア大学デービス校の考古学者ランダル・ハース氏の研究チームは、ペルーのアンデス山脈で発掘された約9000年前の墓の周りに集まった。墓の中には成人のものと思われる骨とともに、多種多様で見事な狩猟用の石器があった。大きな獲物を倒し、その皮をはぐ作業までの道具がそろっていた。 「彼はきっと優れたハンターで、集団の中でとても重要な人物だったにちがいない」。当時、ハース氏とチームのメンバーたちはそう考えていた。 だが、その後の分析によって意外な事実が明らかになった。石器のそばで見つかった人骨は、

    9000年前に女性ハンター、「男は狩り、女は採集」覆す発見
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    “今の社会には、男女の役割に極端な格差が存在し続けています。もしそれらが生物学的な違いに基づいていると見なせるのなら、極端な格差を正当化できてしまうでしょう”
  • 女学校の掃除の時間

    デッキブラシで学校の通路を磨くセーラー服姿の女の子たち。ここは名古屋の私立の女学校で、ホースを持っている男性は教師だ。1938(昭和13)年1月号の特集「日の働く女性たち」に掲載された。 授業が終わった後、生徒が机を後ろに下げて教室の床を掃いたり、廊下を拭いたりする校内清掃は、日人には見慣れた風景だ。しかし、写真の説明には「授業を終えると、生徒は用務員になる」とある。米国の学校では、用務員が掃除するのが普通だからだろう。特集の筆者メアリー・A・ナースが何人かの生徒に掃除は好きかと尋ねると、みな口をそろえて「学校の規則ですから」と答えた。 学校を卒業した女子のなかにはデパートで働く者も多いと、ナースは書いている。たいていは洋風の制服に身を包み、婦人服や子供服、日用品など、さまざまな売り場で働く。東京のYMCAでは、デパートの店員たちが英語のクラスを受講していた。1940年に開催が予定され

    女学校の掃除の時間
  • ギャラリー:いつか訪れたい! カリブ海の絶景 24選

    ベリーズ沖にある深さ125メートルのグレート・ブルー・ホールは、魅力的な地形と海洋生物で知られる世界有数のダイビングスポットだ。(PHOTOGRAPH BY YANN ARTHUS-BERTRAND, GETTY IMAGES) カリブ海とラテンアメリカの雰囲気が融合したコロンビアののメッカ、カルタヘナの街並み。(PHOTOGRAPH BY DANIEL GARZON, VWPICS/REDUX

    ギャラリー:いつか訪れたい! カリブ海の絶景 24選
  • 2020年科学の10大ニュース、コロナ以外から紹介

    チキウイテ洞窟で動植物の遺伝的痕跡を探す研究者たち。発掘エリアの汚染を防ぐために防護服を着用している。(PHOTOGRAPH BY DEVLIN GANDY) 新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の陰に隠れてあまり目立たなかったが、今年も大きな科学的発見がたくさんあった。2020年が終わろうとしている今、あなたが見逃していたかもしれない重要な発見を振り返ってみよう。 地球最古の物質を発見、なんと太陽誕生より古かった 太陽が誕生する何十億年も前、瀕死の恒星が宇宙にダスト(微粒子)を放出した。ダストの一部はほかの岩石に取り込まれて宇宙を漂い、1969年9月に明るく輝きながら地球に落下した。落下地点がオーストラリアのマーチソン村だったため、マーチソン隕石と呼ばれている。 隕石の中から見つかった非常に古い大きな粒子は、年老いて爆発した星から飛んできたダストだった可能性がある。写真

    2020年科学の10大ニュース、コロナ以外から紹介
  • 人種問題を議論する拠点に、米国グリーンウッド歴史地区

    米国オクラホマ州タルサ市のグリーンウッド歴史地区はかつて米国史上最も残虐な人種差別暴力の現場となった場所ですが、歴史を伝え、人種差別撤廃に向けた取り組みを始めている。

    人種問題を議論する拠点に、米国グリーンウッド歴史地区
  • 古代エジプト、平和な黄金時代を築いた稀代のロイヤルカップル

    「青い王冠」として知られるケプレシュを被る、若き日のアメンホテプ3世(左)。エジプト、カイロのエジプト考古学博物館所蔵。ティイの像(右)は、夫が亡くなり、息子が王位を継承した後に作られた。ドイツ、ベルリンのエジプト博物館所蔵。 (LEFT: ARALDO DE LUCA; RIGHT: BPK/SCALA, FLORENCE) アメンホテプ3世と「偉大なる王妃」ティイによる長き治世は、エジプトの黄金時代だったと言える。紀元前1391年から1353年の38年間にわたり、彼らは広大で豊かな国を共に治めた。エジプト第18王朝のこの時代には、ヌビアやレバントからもたらされた富で巨大な建造物が造られ、新しい芸術表現が花開いた。ヌビアは現在のエジプトからスーダンにかけた地域、レバントはシリアからヨルダンにかけた東部地中海沿岸地域にあたる。 アメンホテプ3世の治世は、古代エジプト史において最も多く記録が

    古代エジプト、平和な黄金時代を築いた稀代のロイヤルカップル
  • 米議会乱入事件、政治家たちが発した19の言葉

    1月6日水曜日、ドナルド・トランプ大統領の支持者たちが米連邦議会議事堂の外に集まった。議員たちが2020年の大統領選の結果を認定しようという時、反乱者たちが建物を襲撃した。(PHOTOGRAPH BY TAYFUN COSKUN/ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES) 米国で起きた前代未聞の議会乱入事件。インターネット上には様々な感情が吹き荒れ、騒然となった。ツイッターはトランプ米大統領のアカウントを停止、その中には選挙を「盗まれた」とし、米連邦議会議事堂を襲撃した暴徒たちを「特別な人々(special people)」と呼んだ動画も含まれていた。 米国時間の1月6日午後、反乱者たちが建物に侵入した。バイデン氏の勝利を認定する審議を中断させ、議員らを一時避難に追い込み、幾人もの死者が出た。政界からは非難の声が噴出し、民主党議員だけでなく多くの共和党議員からも、自身

    米議会乱入事件、政治家たちが発した19の言葉
  • 夏の不調、夏バテではなく「夏季うつ」かも

    夏の季節性感情障害(SAD)は、高温、多湿、さらには花粉の多さなど、複数の環境要因が引き金になりうる。(PHOTOGRAPH BY LI HUI) 米バージニア州南部に住む高校教師のクリスティーナ・フローレスさんは、去年の夏、2週間かけて米国中西部をドライブする計画を立てた。オハイオ州の湖岸に沿って車を走らせ、アイオワ州の平原に入り、その先をめざすのだ。 フローレスさんには全米50州すべてを見て回るという長期的な目標があり、このドライブでその達成にまた1歩近づくはずだった。けれども出発の前日になって突然旅行をキャンセルした。気分の落ち込みが激しく、家を出られなかったのだ。宿の予約金は没収された。 これほどひどいことはめったにないが、フローレスさんにとってははじめての経験ではない。彼女には年間を通して軽い抑うつ症状があり、夏になると悪化する。 現在43歳の彼女は2010年の夏に季節性感情障害

    夏の不調、夏バテではなく「夏季うつ」かも
  • コロナ時代の歯医者について知っておきたいこと

    適切な対策をとれば、患者が歯医者で新型コロナウイルスに感染するリスクを最小限に抑えられると歯科医は主張する。それよりも、定期検診とクリーニングを先延ばしにすることで健康に悪影響が出ることの方がよほど危険であるという。(PHOTOGRAPH BY LUCA SANTINI/CONTRASTO/REDUX) もう何カ月も他人との接触を避けてきたが、先日右の奥歯が欠けてしまったので、勇気を奮い起こして歯医者に予約を入れた。 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が全米で猛威を振るうなか、バージニア州アレキサンドリアにある歯医者に足を踏み入れると、中は前回訪れた時とはまるで様子が変わっていた。受付にはアクリル板が置かれ、2個並んだペン立てには「消毒済み」と「使用済み」と書かれていた。そして、私を含め全員がマスクをしていた。 感染症が流行しているときの歯科治療には、特殊な危険が伴う。歯科医は、

    コロナ時代の歯医者について知っておきたいこと
  • 新型コロナで再燃、米国でのアジア人差別(前編)

    米国ワシントン州シアトル郊外に住む33歳の医療助手ダニー・サトウさんが、近所を散歩した後、自宅に向かって歩いていると、何か重たいものが胸にぶつかった。猛スピードで走り去る車から、中国人に対する人種差別的な言葉を叫ぶ声が聞こえた。 車は交通の流れの中に紛れ、ダニーさんはさっき自分に当たった1リットル入りのペットボトルを拾おうと身をかがめた。鎖骨に痛みが走ったが、ダニーさんは自分にこう言い聞かせた。こんなことくらいなんでもない、大丈夫だ。歩道にじっと立ったまま、彼女は祖母に思いを馳せた。 米国ワシントン州で医療助手として働くダニー・サトウさん。第二次世界大戦で日系人部隊にいた彼女の祖父と、戦時中カリフォルニアの日系人収容所に収監されていた祖母と一緒に。(PHOTOGRAPH BY KILIII YUYAN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 祖父のエイサク・"エース"・ヒロムラさんは、

    新型コロナで再燃、米国でのアジア人差別(前編)
  • ギャラリー:イタリアで「死にゆく町」と呼ばれるチビタにくらす人、訪れる人 写真15点

    イタリアのチビタ・ディ・バーニョレージョは、消えつつある集落だ。街がたつ台地は毎年7センチずつ峡谷へと崩れ、現在、生活する人はわずか7人だ。その一方で、2019年には100万人の観光客がこの村を訪れた。(PHOTOGRAPH BY CAMILLA FERRARI)

    ギャラリー:イタリアで「死にゆく町」と呼ばれるチビタにくらす人、訪れる人 写真15点
  • 20世紀まで残った決闘 中心地だったフランス、紳士の事情

    フランス、パリのポンヌフで行われた決闘の様子。当事者2人が剣を交え、それぞれの介添人が激励する傍らで、行商人は仕事を続ける。パリのカルナバレ美術館に収蔵されている17世紀の作者不明の絵画より。(PHOTOGRAPH BY BRIDGEMAN/ACI) 1627年5月12日午後2時ごろ、フランス、パリのとある広場で、ブートビル伯爵とブーブロン侯爵が対面した。名誉を守るという明確な目的があった。27歳のブートビル伯爵は決闘の強者で、決闘した相手の半数以上を殺した剣術の名手だ。こうした犠牲者の1人にブーブロン侯爵の親類がいた。ブーブロン侯爵は決闘による報復のため、数カ月を費やし準備してきたのだ。 2人はコートを脱ぎ、決闘を開始した。最初は剣と短剣で、その後は短剣のみで戦った。2人は互いをつかみ、喉元に短剣を突き立てる。それでも、決闘した当人同士は2人とも命を落とさなかった。でも、見守っていた友人

    20世紀まで残った決闘 中心地だったフランス、紳士の事情
  • 米国伝統の犬レースが消滅へ、背景にドーピング、不正な殺処分の歴史

    8月の夜、米国フロリダの空を背景に「グレーハウンドレース」という赤いネオンサインが輝く。かつては数千人が詰めかけたこのドッグレース場の観客席に、今は300人ほどが散り散りに座っている。スピーカーからはロカビリーミュージックが響く。 レースドッグの入場とともに、場内は静まり返る。 TNTシャーロック、テイルスピン……。アナウンサーが8匹の犬の名を読み上げる中、調教師たちは犬たちをゲートの中に入れる。模型のウサギが猛スピードで動き出し、ゲートが開くとスタートだ。犬たちはウサギを追って飛び出し、砂を蹴り上げながらおよそ30秒でトラックを駆け抜ける。そのスピードは時速72キロメートル。チーターに次ぐとされる速さだ。

    米国伝統の犬レースが消滅へ、背景にドーピング、不正な殺処分の歴史
  • 飛沫の「スーパー排出者」、コロナ感染拡大源の可能性

    2020年10月6日、韓国のソウルで新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、防護服を着て道路に消毒剤を散布する作業員。韓国では、新規陽性者が6日連続で100人を下回ったが、秋夕の連休中に多くのクラスターが報告されたことから、陽性者数が今後増加するとみられている。(PHOTOGRAPH BY CHUNG SUN-JUN, GETTY IMAGES) 2003年、SARS(重症急性呼吸器症候群)の感染拡大に世界が注目していたころ、オーストラリアにあるクイーンズランド工科大学の物理学者リディア・モラウスカ氏は、大気を汚染する微粒子を吸引すると人体にどのような影響が出るかについて研究していた。そのモラウスカ氏のもとへ、世界保健機関(WHO)から、SARSを発症させるコロナウイルスの感染メカニズムを調べている香港の研究チームに参加してほしいとの要請があった。 モラウスカ氏は、従来のアプローチとは対

    飛沫の「スーパー排出者」、コロナ感染拡大源の可能性
  • 19世紀フランスでは違法、男装の女性考古学者デュラフォイの生涯

    100年前の条例に逆らい、ズボンを履いたジェーン・デュラフォイ。1800年11月以降、パリで女性がズボンを着用することは違法だった。この規則は「自由、平等、博愛」や、男性と同じ仕事をする権利、男性の服を着る権利などを女性たちが求めたことに対して、それを阻止するための方策だったと、歴史家は考えている。(ENSBA/RMN-GRAND PALAIS) 19世紀末のフランスの考古学者であり、探検家、作家でもあったジェーン・デュラフォイは、その生涯において政府から破格の栄誉と特権を与えられた。フランスで民間人に贈られる最高の賞であるレジオン・ドヌール勲章と、公共の場で男性の衣服を着用する特別な法的許可だ。 1851年フランス南部の都市トゥールーズに生まれたジェーン・マグレは、伝統的な家庭で育ち、その社会的・宗教的価値観を受け継いだ。彼女は、離婚に反対する敬虔なカトリック教徒であり、母国のために戦お

    19世紀フランスでは違法、男装の女性考古学者デュラフォイの生涯
  • 古代の歯石から判明、聖書に登場するペリシテ人の食事はアジアン

    古代メギドの市場の想像図。交易商の店先には、地中海東部全域で育つ小麦、キビ、ナツメヤシのほか、南アジアで採れるゴマ油の入ったビンや、ターメリックが盛られた器が並ぶ。(ILLUSTRATION BY NIKOLA NEVENOV) 新約聖書にある東方の三賢者の物語は、古代の中東において長距離貿易が盛んだったことを示している。このことは学者の間でも定説となっており、ローマ時代には、アラビア海やそれよりも東の地域から、めずらしい油や樹脂が地中海一帯に持ち込まれていた。 そして今回、学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された新たな研究で、現在のイスラエルがある土地に住んでいた人々は、アジア産の果物やスパイスを3500年も前から口にしていたことがわかった。(参考記事:「ダビデの敵ゴリアテも、ペリシテ人のルーツを解明」) 研究では、青銅器時代中期から鉄器時代初期(紀元前1500年~110

    古代の歯石から判明、聖書に登場するペリシテ人の食事はアジアン
  • ブームに沸いた民謡酒場

    料理やお酒を楽しむ大勢の客の前で、扇子を手に踊る女性たち。よく見ると、大広間で料理を運んだり接客したりしている女性も同じ格好だ。「踊り子たちはウェートレスの仕事もする」と、1964(昭和39)年10月号の特集「東京」に書かれている。 この店はどこにあったのだろうか。写真の説明に書かれた名前は「シチゴサン・カフェ」。場所は東京の浅草だという。それを手がかりに調べてみると、かつて浅草新吉原揚屋町と呼ばれていた地区(現在の千束4丁目)に、「民謡茶屋七五三」という店があったことがわかった。民謡や三味線の演奏、踊りを楽しみながら一杯やれる民謡酒場だ。 当時は民謡ブームの真っただ中。雑誌『キネマ旬報』の1964年9月上旬号には、七五三を取材したルポが3ページにわたって掲載されている。その記事によると、300人を収容できる百畳敷の大広間は「つねに満員」だった。女性たちは舞台を終えるとお酌をしてくれるが

    ブームに沸いた民謡酒場
  • フランス革命はいかにしてメートル法を生んだか

    新しく定められたメートル法を用いるフランスの一般市民。1795年の版画。パリのカルナヴァレ美術館所蔵。(BRIDGEMAN/ACI) 数学者であり作家でもあったフランスのコンドルセ侯爵(1743-1794年)は、貴族でありながら初期のフランス革命に対して寛容だった。ルイ16世の処刑に反対した彼は、恐怖政治下で身を隠すことになるが、その間に科学と理性が導く未来を描いた『人間精神進歩の歴史』を著している。逮捕されると、侯爵は死刑を待たずに獄中で自殺した。 コンドルセの精神はしかし、今も世界中で採用されている計測方法の中に生きている。メートル法(メトリック法)だ。「人々が真に平等であるため、また真に自由であるため」には、普遍的で統一された基準によって人々が自らの利益を計算できるようになることが必要だと彼は考えた。 乱立しすぎた単位 1789年のフランス革命当時、パリは世界における科学の中心地だっ

    フランス革命はいかにしてメートル法を生んだか
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    メートル法が制定されるまでは、北極から赤道までの距離等を、どのように表記していたのか。
  • 致死率30%超、スーパー耐性菌がコロナの陰で流行拡大の恐れ

    カンジダ・アウリスのCGイラスト。単細胞真菌であるカンジダ・アウリス(Candida auris)は、2009年に初めて報告された。強い薬剤耐性があり、院内感染で広がりやすく、死亡率が高い。血液、皮膚、耳に感染症を引き起こすほか、呼吸器や尿の検体からも分離されている。(ILLUSTRATION BY SCIENCE PHOTO LIBRARY / ALAMY STOCK PHOTO) 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るうなか、あらゆる薬剤に耐性を持つこともあるスーパー(超多剤)耐性菌カンジダ・アウリス(Candida auris、カンジダ・オーリスとも)の感染が一部で拡大していると、医師たちが警鐘を鳴らしている。カンジダ・アウリスは特に院内感染で広がりやすく、今年はコロナ患者であふれる医療現場に大きな負担がかかっているためだ。 カンジダ・アウリスは、シーツ、ベ

    致死率30%超、スーパー耐性菌がコロナの陰で流行拡大の恐れ
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    薬剤耐性こわい
  • 米国で武器を買う人が急増、コロナ不安がもたらす変化

    米国カンザス州にある元核ミサイル格納庫を改修した終末用シェルター。同様の高級シェルターは、米国の富裕層の間で人気が高まっている。(PHOTOGRAPH BY CHET STRANGE, THE NEW YORK TIMES/REDUX) この世界は、いつかゾンビの集団に襲われて滅亡する。米国には、そんな話をするのが好きな「プレッパー」と呼ばれる人々がいる。プレッパーとは、英語で「備える人」という意味で、最悪の事態に備えて非常や日用品、武器などを備蓄する人々のことを指す。そして、その準備をする行為を「プレッピング」という。 「当にゾンビに襲われるつもりで準備をしておけば、たいていのことには対応できます」と、そんなプレッパーのひとり、ローマン・ズラチェフスキー氏は話す。 ズラチェフスキー氏は、チェルノブイリ原発事故の数カ月後に、ロシアで生まれた。子どもの頃、家では夕の席でしばしば事故のこ

    米国で武器を買う人が急増、コロナ不安がもたらす変化
  • 新型コロナで先住民の希少言語が消滅の危機、ブラジル

    ブラジルの先住民グアラニ・ムビャ族の子ども、マヌエラ・ヴィダールさん。これまでは公立学校で自分たちの言語と文化を学んできたが、今はパンデミックのため学校が閉鎖されている。(PHOTOGRAPH BY RAFAEL VILELA) ブラジルの先住民、プルボラ族の長老であるエリエゼル・プルボラさんが今年、新型コロナウイルス感染症のため92歳で亡くなった。プルボラさんのように、子どもの頃プルボラ語を話して育った人はもはやわずかだ。彼の死によって、消滅の危機に瀕しているプルボラ語は、またひとり語り手を失った。 ブラジル先住民の言語は、ヨーロッパ人の到来以降、常に脅威にさらされてきた。かつてブラジルには1500の言語が存在していたが、今も使用されているのは181言語のみ。そのほとんどは、使用人口がそれぞれ1000人にも満たない。グアラニ・ムビャ族など、人口が多い先住民はかろうじて母語を維持しているが

    新型コロナで先住民の希少言語が消滅の危機、ブラジル
  • ギャラリー:アマゾン、森の先住民の知られざる日常 写真20点

    ブラジル、アマゾンの先住民アワの女性たち。水浴びをしながらペットのカメを洗っている。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC) ブラジルの密林の中の開けた場所に、アマゾン先住民の住まいがある。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC) 家から2時間ほどの距離にある狩猟用キャンプで子どもたちと一緒に過ごす女性。男性たちは弓矢を用意すると、暗くなってから狩りに出かけた。朝、彼らはワニ、ヤマアラシ、パカ(中南米産のげっ歯類)を携えて狩りから戻り、グループの一人ひとりに肉を配った。(PHOTOGRAPH BY CHARLIE HAMILTON JAMES, NATIONAL GEOGRAPHIC)

    ギャラリー:アマゾン、森の先住民の知られざる日常 写真20点
  • 新型コロナで精神医療がますます逼迫している、米国

    新型コロナウイルス感染症の仮設検査場で働く州兵。2020年11月12日、米ユタ州ソルトレークシティーで撮影。メンタル・ヘルス・アメリカの2021年の報告書によれば、ユタ州は成人のメンタルヘルスケアの受けやすさで全米最下位にランクされた。(PHOTOGRAPH BY RICK BOWMER, AP) プレストン・カドレック氏は疲れ果てていたが、自宅には帰れなかった。2020年11月中旬のことだ。34歳のセラピストであるカドレック氏はノースイースタン・カウンセリング・センターの日勤を終えたものの、救急チームの仕事に移るところだった。 センターがあるユタ州のルーズベルトは人口約7000人の小さな町だが、カドレック氏を含め、セラピスト8人だけでメンタルヘルス(こころの健康)の救急対応を担っている。誰かを家から町の病院まで運ぶため、車で65キロ以上移動することも珍しくない。11月中旬のあの夜、カドレ

    新型コロナで精神医療がますます逼迫している、米国
  • パンデミックの大波かぶる観光業、世界遺産マチュピチュやクスコにもたらした問題、写真12点

    フアン・ユパンキ氏は、1年前に購入し、まだビニールにくるまれたままのマットレスの山をじっと見つめた。そして「これらが役に立つ日は来るのだろうか」と思わずつぶやいた。 マットレスが積まれているのは、ユパンキ氏が2020年、自分の農園に建てたわらぶき屋根のゲストハウスの中だ。彼のゲストハウスはペルー南東部、世界遺産の都市クスコからほど近いパタカンチャ村にある。小さな窓があり、素朴な家具が置かれたゲストハウスは、ユパンキ氏が家族で経営する体験型ツーリズムビジネスを、さらに盛り上げてくれるはずだった。でも、今はそれもかなわない。 客の数は、2019年になってようやく増え始めていた。ユパンキ氏はそれまで、何年もかけて施設を整えてきた。平均でひと月に5組ほどのグループがやってきて、アルパカの世話、村のトレードマークになっている赤いポンチョの織り方、地元の踊りなどを習いながら、1〜2日ほど滞在していった

    パンデミックの大波かぶる観光業、世界遺産マチュピチュやクスコにもたらした問題、写真12点
  • 世界第2の高峰K2への冬季登頂に成功、エベレストより困難

    2021年1月16日のK2登頂後に、成功を祝うニルマル・プルジャ氏とネパールの登山隊。カラコルム山脈の最高峰は、14の世界最高峰のうち、唯一冬季登頂が成し遂げられていなかった。(Photograph published with permission of Nirmal Purja) 1月16日、ネパールの登山家10人によるチームが世界第2の高峰K2(標高8611メートル)の山頂に到達したと、複数のソーシャルメディアが報じた。登山の歴史に輝かしい新たな1ページが加わった。 カラコルム山脈のパキスタン側に位置するK2は、世界に14ある標高8000メートルを超える山のなかで、唯一これまで冬季登頂が達成されていなかった。高度な技術を要することから、群を抜いて困難かつ危険と考えられている。 「人類の歴史、ネパールの歴史だ!」と、“ニムズ”ことニルマル・プルジャ氏は、パキスタンの現地時間午後5時40

    世界第2の高峰K2への冬季登頂に成功、エベレストより困難
  • コロナ禍でメタノール中毒死が急増、過去最多ペース

    最も危険なのはメタノールの経口摂取だが、メタノールが混入した手指消毒液の使用は、吐き気、嘔吐、視覚障害を引き起こす恐れがある。(PHOTOGRAPH BY NICK OXFORD, REUTERS) 昏睡状態に陥る人もいれば、意識があっても吐き気や嘔吐を催す人、腎不全や視覚障害になる人もいた。彼らの視界は、受信状態の悪いテレビ画面のようになり、やがて完全に視力を失った——。 2月下旬、イラン各地の病院にこうした患者がぽつぽつと現れ始めた。首都テヘランにあるログマン・ハキム病院の臨床中毒学者ホセイン・ハッサニアン=モハダム氏は、この症状を以前にも見たことがあった。メタノール中毒である。新型コロナウイルスがイラン全土で猛威を振るうなか、この第2の病は、3月中旬までには国中にまん延した。 理由は「度数の高いアルコールを飲めば、体内のウイルスが死滅する」というデマが広まったことだ。家族を守ろうと、

    コロナ禍でメタノール中毒死が急増、過去最多ペース
  • 「私には夢がある」キング牧師演説と同じ日、正義求める行進再び

    ノースカロライナ州シャーロットから2020年の集会に参加したアレーナ・バトルさんと息子のタマジ・ブロック君。1963年のワシントン大行進から57年後の今年開催された記念集会では、警察と刑事司法改革でまだ多くの問題が残されていることが強調された。(PHOTOGRAPH BY JOSHUA RASHAAD MCFADDEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 1963年8月28日に行われた大規模な人種差別撤廃デモ「ワシントン大行進」から57年後の2020年8月28日、米国の首都ワシントンDCの同じ場所で記念集会が催された。 その日、米国にとって、長く、息をつく間もない夏が終わろうとしていた。5月25日のジョージ・フロイドさん殺害事件に始まり、8月23日にウィスコンシン州ケノーシャで背後から銃で7発撃たれたジェイコブ・ブレイクさんまで、今年は警官による黒人への暴行事件が相次いで発生した。

    「私には夢がある」キング牧師演説と同じ日、正義求める行進再び
  • 新型コロナワクチン、社会的弱者を優先すべき理由

    このほど発表された全米医学アカデミーの報告書は、新型コロナウイルスワクチンの優先的な接種対象に、緊急対応要員だけでなく社会的弱者も含めるよう歴史上初めて提言している。(PHOTOGRAPH BY STEPHEN FERRY, REDUX) 新しいワクチンが承認されるたびに、保健当局は、最初に誰に接種するべきかという難しい問題を考えなければならない。通常は医療従事者が優先されるが、2009年に新型インフルエンザ(H1N1型)が流行したときには、重症化リスクの高い人々も優先された。 世界中の人々が待ち望む新型コロナウイルスワクチンについては、新たに考慮しなければならない要素がある。公平性だ。 全米医学アカデミーは10月2日、米国立衛生研究所(NIH)と米疾病対策センター(CDC)からの委託で作成した237ページにおよぶ報告書の中で、新型コロナワクチンの配布に関する提言を明らかにした。 報告書は

    新型コロナワクチン、社会的弱者を優先すべき理由
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    科学技術には、人文科学の知見も必要だということがわかる。
  • パンデミック続く2020年末 米国では6人に1人が飢餓の懸念

    2020年11月半ばのある朝、米テキサス州に拠点を置くノース・テキサス・フードバンクのトリシャ・カニングハム会長は早い時間から、ダラス南部の大きなイベント広場にやってきた。4列の車列が、会場入り口からダラス中心部の超高層ビル群のほうまで、数キロにわたって延びている。前の晩からやってきて、車で夜を明かした人たちもいる。サンクスギビング(11月末の感謝祭)をしのぐための料配布を待っているのだ。 米国最大の料支援団体である「フィーディング・アメリカ」によれば、20年末までに5000万以上の人々が料不足に陥るおそれがある。これは、米国人の6人に1人、子どもの4人に1人に当たる。2019年に比べて50パーセント近くの増加だ。米ノースウェスタン大学が6月に行った調査によれば、料不足は全米で倍増し、子どものいる世帯では3倍に拡大している。 「失業した」が大半に フィーディング・アメリカのフードバ

    パンデミック続く2020年末 米国では6人に1人が飢餓の懸念
  • なぜ冬にコロナは広がりやすいのか? 理由は「密閉」の他にも

    季節の変化は、ウイルスのふるまいを変え、病気に対する人間の自然な抵抗力をも変化させる。寒く、乾燥し、日光の量も少ない冬の間は、新型コロナウイルスをはじめとする呼吸器疾患への抵抗力が下がるという。(PHOTOGRAPH BY MUSTAFA OZTURK, ANADOLU AGENCY VIA GETTY IMAGES) 「冬の訪れが夏の病をいやし、夏の訪れが冬の病をいやす」と書いたのは、古代ギリシャの医師であり哲学者のヒポクラテスだった。インフルエンザの季節性を最初に記録したとされるその言葉から2400年の時が過ぎても、なぜ季節によって増えたり減ったりする病があるのかは、はっきりとは解明されていない。 だがこれまでの研究で、季節の変化がウイルスのふるまいを変え、感染症に対する人間の体の抵抗力にも影響を与えることがわかっている。特に冬になると、寒さ、乾燥した空気、日照不足といった要因で、イン

    なぜ冬にコロナは広がりやすいのか? 理由は「密閉」の他にも
  • 黒人のための旅行ガイド「グリーンブック」はなぜ必要だったのか

    黒人の旅行者市場は、グリーンブックの時代から大きく成長した。ある調査によると、パンデミックの前、アフリカ系米国人は年間630億ドル(約6兆5700億円)を旅行に費やしていた。(ILLUSTRATION BY DIANA EJAITA) 黒人は旅行をする。子どもの頃から、私(著者のGlynn Pogue氏)にとってそれは当たり前のことだった。両親がニューヨーク州で経営していた小さなホテルの堂には、米国だけでなく世界中から来た黒人の旅行者が、入れ代わり立ち代わり訪れた。伝統的な南部風の朝を取りながら、宿泊客はその日どの美術展に行こうかと計画を立てたり、前日にブロードウェーで観たショーの感想を語り合ったりしていた。 けれど、ホテルで過ごした時間はどんな名所にも勝る旅の思い出だったと、誰もが口をそろえて言っていたのを覚えている。黒人が経営する宿で、自分と似たような人々とともに滞在することで、身

    黒人のための旅行ガイド「グリーンブック」はなぜ必要だったのか
  • 米議会乱入、暴徒のタトゥーや旗は何を意味するのか

    1月6日、トランプ支持者が米議会議事堂の前に組み立てた絞首台。暴力と白人至上主義のシンボルのなかには、誰が見てもそうとわかるものもあれば、一般の人には意味が通じないものもある。(PHOTOGRAPH BY SHAY HORSE, NURPHOTO/GETTY IMAGES) 2021年1月6日、米連邦議会議事堂へ乱入した暴徒たちは、さまざまなシンボルを携えていた。 その中には、テレビでこの異様な光景を見ていた人々にも一目で意味がわかるシンボルもあった。赤地に青いX印、その中に白い星が並ぶ旗は、南北戦争時代に奴隷制維持を支持して合衆国からの独立を図った南部連合の旗で、今も奴隷制や白人至上主義の象徴になっている。絞首台と首のしめ縄も同様に、人種隔離政策であるジム・クロウ法時代の黒人リンチや、西部開拓時代の無法地帯を思い起こさせる。(参考記事:「リンチ殺人が横行した米国、暗黒の歴史」) だがその

    米議会乱入、暴徒のタトゥーや旗は何を意味するのか
  • 新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは

    それでは、COVID-19の基的な特徴を見ていく。潜伏期間や、致命割合といった、その病気の厄介さや、怖さにかかわる特徴だ。 「潜伏期をはじめ疫学的な特徴については、北海道大学の西浦博さんのチームの研究を含めていくつかの論文が出ています。まず、潜伏期の中央値は5日と長いんです(※1)。インフルエンザなら2日ですから、この長さがCOVID-19のひとつの特徴です。また、西浦さんたちのチームの別の論文(※2)の分析では、発症間隔の中央値が4日と潜伏期よりも短いことが分かりました」 ここで、えっと思う人もいると思う。潜伏期間よりも、発症間隔が短いというのはどういういうことか、と。発症間隔とは、「発症した患者から感染した次の感染者が発症するまでの期間」だから、それが潜伏期間よりも短いというのは、よくよく考えてみると、つまり、潜伏期間にある感染者からも感染が起きているということを意味する。西浦さんは

    新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは
  • 「コロナ禍」はいつまで続く?:2022年終息説ほかいくつかのシナリオ

    COVID-19による緊急事態宣言下の自粛要請はいずれ終わる。その出口は、早いか遅いかの違いで必ずやってくる。 稿をまとめている2020年5月なかばにおいては、日の39県ですでに緊急事態宣言が解除されており、残りの8都道府県でのみ継続中だ。遠からず感染の収束が確認されたら、すべての都道府県で解除されることになるだろう。 しかし自粛要請が終わったからといって、すぐにかつての日常が戻ってくるわけではない。当面、ぼくたちは、行動を変容させた「新しい日常」の中で、「コロナ禍」と付き合っていくことになる。 では、それはいつまでだろう。 答えは、多くの人が気づいているように、「最短でも1年以上」だ。 「ワクチンか画期的な治療薬が開発されて、広く使われるようになれば、究極的な解決、といえるかもしれません。でも、それには最短でも1年半から2年かかります。それに、ワクチンができない感染症も多いので、CO

    「コロナ禍」はいつまで続く?:2022年終息説ほかいくつかのシナリオ
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    オリパラは無理だし、収束までは経済より人命と生活を優先するべき。人が生きてて、生活が保障されていれば、収束後に経済が戻る。本当に財政が厳しいなら、マスクだのGoToだのに無駄遣いすんなって話だし。
  • 「早さ」と「徹底」が対策の鍵だった、スペインかぜの事例【感染症、歴史の教訓】(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース

    新型コロナウイルス感染症は依然として収まる気配がなく、日でも再び緊急事態宣言が発出された。感染力が高い変異なども報告され、今後何が起きるかは不透明だ。これまでの対応は成功しているのか、それとも失敗なのか。そして、その理由はどこにあるのかを評価するのはまだ難しいだろう。 ギャラリー:腸チフスのメアリーから不遇の天才医師まで【感染症、歴史の教訓】画像20点 とはいえ、参考になる事例はある。近代史上最悪のパンデミックとなったインフルエンザ、いわゆる「スペインかぜ」だ。その大流行は1918年から2年ほど続いた。およそ1年におよぶ新型コロナウイルスへの対応をあらためて考えるべく、米国の各地で講じられたスペインかぜの感染防止対策とその結末を振り返ってみたい。 流行が目前だったにもかかわらず… スペインかぜの症例が米国で最初に報告されたのは1918年3月、場所はカンザス州の陸軍基地だった。ここから第一

    「早さ」と「徹底」が対策の鍵だった、スペインかぜの事例【感染症、歴史の教訓】(ナショナル ジオグラフィック日本版) - Yahoo!ニュース
  • 「市にうそつきと思われショック」児童扶養手当、突然の打ち切り 元夫の意外な行動 | 毎日新聞

    児童扶養手当の受給を続けるため区役所に提出した「現況届」のコピーを手にする女性=福岡市内で2020年12月10日午後5時17分、青木絵美撮影 福岡市で18歳の長女を育てる女性(54)が昨年8月、低所得のひとり親家庭に支給される月額4万3160円の「児童扶養手当」を突然打ち切られた。20年以上前に別れた元夫が、知らないうちに女性が住むアパートの部屋に住民登録していたからだった。事実婚を疑った市は手当を打ち切り、住民登録後に支給した分の返納も求めている。なぜこんなことが起きたのか。 女性は元夫との間に成人した息子3人、2011年に病死した前夫との間に長女(18)がいる。現在はアルバイトで働く次男(24)と高等専修学校に通う長女の3人で家賃約7万円のアパートに暮らす。弁当店で働いて得る13万円ほどの給料と長女の養育に対する児童扶養手当でやりくりしているが、生活はぎりぎりだ。12年前に今のアパート

    「市にうそつきと思われショック」児童扶養手当、突然の打ち切り 元夫の意外な行動 | 毎日新聞
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    役所の対応に関しては「庶民への再分配は基本的に不正利用だと思え」という政治の指針が、こんなクソ運用させてるんだよな。何でサインしたのか、って余裕のあるところからは皆そう言えるんだよ。
  • 近視の進行予防と治療|眼の病気|医療法人社団 医新会

    ホーム > 眼の病気 > 近視の進行予防と治療 近視の進行予防と治療 近視について 急速に増加している近視 小学生の約7割、中学生の約9割以上が近視 近年、小中学生で視力1.0未満の割合が年々増加し、低年齢化しています。 2019年8月に発表された慶應大学の研究で「東京都内約1400人の小中学生を調査したところ、小学生の約76.5%、中学生の94.9%が近視であること」が判明しました。 特に中国、香港、台湾韓国、シンガポール、日を含む東アジアにおける近視人口の増加は著しく、高校卒業までに80~90%は近視、10~20%は強度近視に至ることが報告されています。 パソコン・タブレット・スマートフォンの普及でさらに加速 近視の発症には「遺伝的要因」と「環境要因」の両方が関与すると考えられていますが、環境要因として近見作業の増加、屋外作業の減少が報告されています。 特に近年は、パソコン・タブレ

  • 報道は「密」を演出したのか カメラマンから見た「圧縮効果」批判と撮る側の悩み | 毎日新聞

    同じ地点から焦点距離28ミリの広角レンズで撮影した写真(左)と焦点距離300ミリの望遠レンズで撮影した写真(右)。左は人々の間に空間があるのが分かる。右は圧縮効果で遠近感が弱まり、通行人同士の距離が分かりにくいが、マスクの着用率や表情はよく見える=東京・原宿で2021年1月21日午後2時49分、丸山博撮影 新型コロナウイルス感染拡大後、人混みの写真が報じられるたびに「圧縮効果」という単語が飛び交うようになった。大勢の人を遠くから望遠レンズで撮影すると、近くで撮った時より密集しているように見える効果のことだ。中には「演出」「捏造(ねつぞう)」などの批判もある。写っているものは厳然たる事実だが、同じ被写体でも撮り方で見え方は違ってくる。コロナ禍で人の密集度をどう表現するか、カメラマンの私はいつも悩みながら撮影している。報道写真が伝える事実とは何かを考えたい。【丸山博/統合デジタル取材センター】

    報道は「密」を演出したのか カメラマンから見た「圧縮効果」批判と撮る側の悩み | 毎日新聞
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    本題とは関係ないが、カメラって面白そうな趣味だと思った。
  • 「Go Toトラベル」感染者増加に影響か 京都大学のグループ発表 | NHKニュース

    政府の観光需要の喚起策「Go Toトラベル」が始まった去年7月、旅行に関連した新型コロナウイルスの感染者が増えていて、キャンペーンが当初の段階で影響した可能性があるとする研究論文を京都大学のグループが発表しました。 これは京都大学の西浦博教授らのグループが国際的な医学雑誌「ジャーナルオブクリニカルメディシン」に発表しました。 グループは、去年5月から8月にかけて24の県から報告された新型コロナウイルスの感染者およそ4000人を分析し、およそ20%が、発症前に旅行していたり旅行者と接触したりするなど旅行関連とみられる感染者だったということです。 そして、期間ごとの発生率を比較する手法で詳しく分析した結果、「Go Toトラベル」が始まった去年7月22日からの5日間では旅行に関連した感染者は127人で、発生率は前の週の5日間と比べて1.44倍に高くなっていたことが分かったということです。 さらに

    「Go Toトラベル」感染者増加に影響か 京都大学のグループ発表 | NHKニュース
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    ですよねー。さすがにGoTo再開は無いと信じたいが、この政府だからなぁ…
  • なぜお笑い芸人の多くは、批評を嫌う傾向があるか|伊藤聡

    お笑いと批評の関係性私は以前から、お笑い芸人さんの多くが自分の漫才やコントを批評されることに拒否反応を示す傾向があるのではないか、という印象を持っていました。そのことについてSNSに投稿をしてみたところ、いくつか反応をいただいたので、今回この疑問についてもう少し深く考えてみます。なお私は、芸人さんのラジオは好きで、わりと聞いていますが、賞レースやテレビのお笑い番組を軽く見るていどで、お笑いファンとしてはかなり薄い部類です。一応ライターをしていますが、お笑い批評をやってみたいという気持ちはないです(お笑い芸人さんの書評は、仕事で一度したことがあります)。 お笑い芸人さんの多くは、批評されるのを嫌う傾向がありますよね。映画批評、文芸批評などは創作と相互補完的で、作者からもおおむね歓迎され、不可欠になっているのに、なぜお笑い批評は当事者から(ほとんど生理的な嫌悪感をともなって)拒否されるのか

    なぜお笑い芸人の多くは、批評を嫌う傾向があるか|伊藤聡
  • 脳に埋め込んだ電極で「うつ状態」から「喜びに満ちた状態」へ感情を移行させることに成功 - ナゾロジー

    感情を強制起動する脳のツボ脳に電気刺激を与えてうつ病を治す技術が大幅な進歩をみせている / Credit:Canva脳は心臓と同じく、電気的な臓器です。 そのため近年、うつ病患者に対して脳に電気刺激を行う手法が着目されています。 ただ既存の電気刺激法は非常に大味であり、脳全体に大電流を流す方法がメインでした。 そこでカリフォルニア大学の研究者たちは、5年もの長期に及ぶ臨床試験の結果を元に「神経マッピング技術」を開発しました。 この神経マッピング技術は脳の各地に差し込んだ電極から、患者一人一人の神経回路の特性を認識し、その患者にとって最適な治療部位(刺激場所)をピンポイントで探し出すように設計されています。 そして今回、マッピング技術の性能を確かめるために、難治性うつ病に苦しむ36歳の女性患者に対して、はじめての試験が行われました。 その結果は、まさに驚きでした。 女性患者は覚えている限り5

    脳に埋め込んだ電極で「うつ状態」から「喜びに満ちた状態」へ感情を移行させることに成功 - ナゾロジー
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    最新のロボトミー手術?
  • 娘の性欲が理解できない

    娘の性欲が理解できない 中学生の娘と高校生の男子の母親なんだけど、娘が男同士の(いわゆるBL)を持っているのを見つけてしまった。 中学生といえど人のプライベートだし、何が好きでも否定しないようにしてした。 けど、BLだけは無理。 見つけたのは1ヶ月も前だけどどんどん娘に対して嫌悪感が募る自分がいる。 そもそも私自身、性欲というものが全くないっていうのもあるだろうけど、娘があんなを読んでいると思わなかった。 まだ少女漫画のような普通の恋愛を書いているものならLGBTとして普通に受け入れていた。 だが、娘が持っていた内容は当たり前のように営みを行い、18禁の表現が多用されていた。 これが未成年も帰る屋にあったことがもう信じられないし、それを買って持っている娘も気持ち悪い。 当は辞めさせたいんだけど、この思いは自分のエゴだし、見つけてしまったのも偶然だから強く言うことも出来ない。

    娘の性欲が理解できない
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    BL読んでたくらいでこの反応、子が非ヘテロだったりしたら、どういう反応をするのだろう。恐ろしい。この増田の性嫌悪と同性愛嫌悪を、子に直接向けないようにしてほしい。子は親とは別人格。尊重してあげてほしい。
  • 福岡県知事が検査入院 1週間程度、COPDの疑い | 毎日新聞

    福岡県は21日、小川洋知事(71)が20日の公務後に福岡市東区の九州大学病院に入院したと発表した。県によると、せきや息苦しさがあることから「慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)」の疑いがあり、1週間程度、検査入院する。小川知事は2020年12月にも肺炎の疑いで検査入院。公務復帰後も記者会見などでせき込む姿が見られ健康不安がささやかれていた。 福岡県は新型コロナウイルスの感染拡大による政府の緊急事態宣言の対象地域に入っており、宣言期間中に知事がいない異例の事態になる。

    福岡県知事が検査入院 1週間程度、COPDの疑い | 毎日新聞
    ringonouen
    ringonouen 2021/01/25
    “慢性閉塞(へいそく)性肺疾患” お大事に。
  • バッハIOC会長、東京五輪実現へ決意表明 「見通しは良好」

    国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は東京五輪・パラリンピック開幕まで半年となるのに合わせてビデオメッセージを公開し、予定通りの開催に向けた決意を表明した。写真は昨年3月25日に開催についての見解を語る同会長。スイスのローザンヌで撮影。(2021年 ロイター/Denis Balibouse) [23日 ロイター] - 国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は東京五輪・パラリンピック開幕まで半年となるのに合わせてビデオメッセージを公開し、予定通りの開催に向けた決意を表明した。 英タイムズ紙は22日、日政府が新型コロナウイルス感染症流行のため東京五輪を中止せざるを得ないと非公式に結論付けたと報じた。これに対し日オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は、報道について、間違っておりコメントするのもばかげていると一蹴した。

    バッハIOC会長、東京五輪実現へ決意表明 「見通しは良好」