■要旨 6月16日に閉会した2021年通常国会(第204国会)では、医師の長時間勤務を制限する医師の「働き方改革」などを内容とする改正医療法が成立した。この法改正では2024年度以降、医師の超過勤務を制限する方針に加えて、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、新興感染症への対応を医療計画に位置付ける制度改正など広範な内容が盛り込まれているため、医療機関の経営や地方行政の実務に様々な影響を及ぼす可能性がある。 本稿では、こうした広範な内容のうち、医師の働き方改革を中心に、医療制度に及ぼす影響や論点を考察する。具体的には、改正内容の概要を考察するとともに、医師の働き方改革がコスト増や診療体制の変更などを通じて、医療機関の経営や診療に及ぼす影響を考える。さらに、他の提供体制改革との関係性も含めて、実務に当たる都道府県の役割なども考えることで、今後の論点や方向性を模索する。 ■目次 1――はじめに
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