うちの猫はそーっと後ろから指でつつくと「むっ」という。 飼ってない人にとっては「猫はにゃあと鳴くもんだ」という思い込みもあるだあろうが、やつらはけっこう「むっ」という。 中でもうちの子はよく「むっ」という。 垂直ジャンプをする時も、猫じゃらしにとびかかるときも、勢い余った力が音声となってだだ漏れやすいタイプの愉快な子なのだ。 わたしがひとりテーブルでご飯なぞを食べていると、ついでみたいな顔でそっと近づいてきて素知らぬふうに窓から外を眺める。 寂しくて人の居る方に近づいてくるのだから、素直にすり寄るなり膝に乗るなりすれば良いものを、わざわざ素通りして、いかにも外を見てるふりなどするところがしゃらくさい。 しかしこちらの気配に全集中してるのは耳の角度から確認済みだ。 おもしろいのでそーっと手を伸ばして背中をつつく。 「むっ」 と言ってちょっとだけ迷惑そうなそぶりなどしつつ、振り向く。 不意打ち