銃のない社会、平和な国・日本では「銃傷」や「爆傷」を見ることはない。 先進国の標準的自動小銃の「NATO弾」はわずか5・56ミリ弾だが、体内に入ると安定性を失い、体内で暴れまわる。結果、弾丸直径の実に30倍に相当する約18センチの大穴が開き、手足にある長い骨は縦に裂けるように粉砕されることもある。大腿(だいたい)部や腕のような内臓から遠い場所でも、処置しなければ数分で死亡しかねない。 爆傷はさらに悲惨だ。 爆発は破片による死亡率が70%だが、それだけではない。空気がすさまじい勢いで圧縮されるため物質は発火するという(圧気発火)。難燃性の戦闘服を着た自衛隊員は服が燃えるだけだが、袖をまくっていると皮膚が400度の熱で発火する。即座に神経まで焼きつくされ、機能を失う。 自衛隊員に給付される戦闘服や手袋、靴は、隊員の命や体の機能を守る命綱なのだ。 自衛隊の戦時治療を想定した対策は万全なのだろうか