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ブックマーク / econ101.jp (61)

  • フランシス・ウーリー「セックスの分布に関するいくつかの基本事実」

    Frances Woolley “Some basic facts about the distribution of sex” Worthwhile Canadian Initiative, April 29, 2018 カナダ公衆保健調査は,カナダ統計局が行っている任意の年次調査で,保健の状況やリスク要因に関する幅広い情報を収集している。2013-14年の調査の一環では,15歳から49歳のカナダ人47,764人に対して性活動―これまでセックスをしたことがあるか,調査前年にはセックスをしたか―について質問がなされた。 調査を受けた人たちの大多数は下のグラフにあるように性的に活発だった。 例えば,2013-14年に調査を受けた18-19歳の女性の88%(0.88)は,過去1年以内ににセックスをしたと回答した。過去1年以内にセックスをしたことがある確率は,女性では25-29歳がピークとなる。

    フランシス・ウーリー「セックスの分布に関するいくつかの基本事実」
  • フランシス・ウーリー「リベラルアーツを専攻した学生は後悔してる?」

    [Frances Woolley, “Do students choosing liberal arts degrees regret it?” Worthwhile Canadian Initiatives, April 5, 2018] 学生たちがじぶんの受けた教育経験についてどれくらい満足しているか計測するには,卒業生にこう質問してみる手がある.「もしもう一度選べるとしたら,また同じ専攻を選びますか?」 カナダの「全国卒業生調査」(NGS) は,これと同様の質問を1982年からずっと訊ねつづけている.このポストで説明しているように,データには限界がいくつもある.ただ,それでもこうしてすぐに利用できるデータから,わずかながらわかることもある:こうして質問された卒業生の大半は同じ専攻分野をふたたび選ぶものの,「もう一度これを選ぶ」と学生が答えやすい専攻とそうでもない分野のちがいはある.

    フランシス・ウーリー「リベラルアーツを専攻した学生は後悔してる?」
  • ジョセフ・ヒース「ナオミ・クライン、追記その1」(2015年4月4日)

    Naomi Klein postscript no. 1 Posted by Joseph Heath on April 4, 2015 | economy, environment, public policy ナオミ・クラインの新書『これが全てを変える』を読んでいた際、書籍内の多くの言説に驚かされた。ただそれらの内のいくつかは、主な批評対象から若干逸脱していたので、2週間前に書いた書評からは割愛させてもらった。しかし、それら割愛箇所は言及する価値のあるものでもある。特にこの新著と過去著作(『ショック・ドクトリン』『ブランドなんかいらない』を含む)との論理的整合性についてだ。(我々アカデミアの住人が好むかなり面倒なやり方の1つがある。それは研究対象該当者の著作を全て読み込み、「全著作がどのように関連しているのか?」という疑問にしつこく煩悶するのだ。「ノンアカデミシャンの著作を扱う際には、

    ジョセフ・ヒース「ナオミ・クライン、追記その1」(2015年4月4日)
  • ジョン・ダニエルソン 「暗号通貨が腑に落ちない」(2018年2月13日)

    Jon Danielsson, “Cryptocurrencies don’t make sense“, (VOX, 13 February 2018) どうも暗号通貨というものは、貨幣と投資の新しいより優れた姿だと想定されているらしい – 未来のやり方というわけだ。しかしながら稿執筆者には、暗号通貨の趣旨がいまいち掴めない。既存の不換紙幣や優れた投資に幾らかでも勝るものだとは思えないのだ。 これまで私は暗号通貨の趣旨を理解しようと努めてきたが、成功していない。暗号通貨は喫緊の金融安定性問題ではないのかもしれない (den Haan et al. 2017) が、私にはそもそもが解らないのである。 そんな私にも分かる範囲でいうと、どうも暗号通貨はつぎの要素を組み合わせた何かなのだと想定される: 一種の貨幣; 投資; プライバシーとセキュリティーとエフィシエンシーを提供してくれる何か; 以

    ジョン・ダニエルソン 「暗号通貨が腑に落ちない」(2018年2月13日)
  • アレックス・タバロック「Uber運転手報酬の男女差」

    [Alex Tabarrok, “The Uber Pay Gap,” Marginal Revolution, February 7, 2018] Cody Cook, Rebecca Diamond, Jonathan Hall, John A. List, & Paul Oyer の論文では、100万人以上の Uber 運転手と何百万件もの走行にもとづくデータを使って、女性の Uber 運転手の方が男性運転手に比べて報酬が 7% 少ないことを明らかにしている。ただ、この論文の新しいところは、Uber の大量データのおかげで、報酬の落差が存在する理由について非常に詳しく理解できるようになっている点だ。差別ではないんだよ: Uber は性別を見ないアルゴリズムを使用しており、運転手たちは走行の時間と距離にもとづく透明な定式によって稼いでいる。ほかの状況では男女の報酬差をもたらすのがわかっ

    アレックス・タバロック「Uber運転手報酬の男女差」
  • フェイクニュースとファクトチェック: 事実を正せば意見も正せるか (2017年11月2日)

    From VoxEU, “Fake news and fact checking: Getting the facts straight may not be enough to change minds” Oscar Barrera, Sergei Guriev, Emeric Henry, Ekaterina Zhuravskaya (02 November 2017) 「フェイクニュース」は今や欧米の政治を語る上で欠かせない要素となった.このコラムでは,2017年の仏大統領選挙期間中に実施された実験を題材に「代替的事実(オルタナティブファクト)」が高い説得力を持つことを示す.ミスリーディングな数値データに基づく物語に触れた有権者たちはポピュリストの主張する方向に意見を変え,ファクトチェッキングはこの効果を打ち消す役に立たない.それどころか,デリケートな論点(たとえば欧州の難民危機)に

    フェイクニュースとファクトチェック: 事実を正せば意見も正せるか (2017年11月2日)
  • アレックス・タバロック「売春はレイプを減らす」

    [Alex Tabarrok, “Prostitution Reduces Rape,” Marginal Revolution, October 31, 2017] 『アメリカ経済ジャーナル:経済政策』に掲載された Bisschop, Kastoryano, & van deer Klaauw による新論文は,オランダ25都市の売春地域 (tippelzones) に着目して検討している. 稿の実証研究の結果からは,売春地域が開放されると性的虐待とレイプが減少することが示される.こうした結果をもたらす主な要因となっているのは,売春地域開放後2年間に見られる 30〜40% の減少だ.認可制をとった売春地域については,さらに性的暴行が長期的に減少することと薬物関連犯罪が 25% 減少することもわかった. Cunningham & Shar による研究でも,ロドス島における屋内売春〔路上での

    アレックス・タバロック「売春はレイプを減らす」
  • アレックス・タバロック「電子タバコは人命を救う」

    [Alex Tabarrok, “Vaping Saves Lives,” Marginal Revolution, October 13, 2017] 電子タバコはタバコほど危険ではない一方で、ニコチン摂取では同程度に効果的だ Levy et al. の推定によれば、もしも世の中の喫煙家たちが電子タバコに切り替えたら、それで伸びる寿命は数百万年にのぼるという。いままでタバコを吸っていなかった人たちが電子タバコを吸い始めるだろう割合を考慮に入れても、それほどの数字になるそうだ。(著者たちは全員、ガンの研究者・統計学者・疫学者としてガンの死亡数を減らすのに取り組んでいる人たちだという点は念頭に置いておきたい) 電子タバコ利用がないと想定した場合に予想される今後の喫煙率を出すのに使われている「現状維持」シナリオと、10年間でタバコの大半が電子タバコ利用に置き換わる「代替」シナリオとを比較する。

    アレックス・タバロック「電子タバコは人命を救う」
  • アレックス・タバロック「理系科目の男女差はみんなが思ってるようなのじゃないよ」 — 経済学101

    [Alex Tabarrok, “The Gender Gap in STEM is NOT What You Think,” Marginal Revolution, September 12, 2017] NBER の新しい論文 (pdf) で David Card と Abigail Payne が STEM〔科学・技術・工学・数学〕の男女差についておどろきの新しい説明を提示している.通説だと,そうした男女差は女性に関わることであり,いろんな力がはたらいて――〔全般的な〕差別,性差別,適性,選択…お好みの要因をどうぞ――女性が STEM 分野で勉強しにくくなっているのだと考える.Card と Payne が言うには,男女差のかなりの部分は男性たちと彼らの問題に関わるものだ.少なくとも,彼らが出している研究結果をぼくはそう解釈してるけど,どうも著者たちはじぶんたちが出した研究結果がどう

    アレックス・タバロック「理系科目の男女差はみんなが思ってるようなのじゃないよ」 — 経済学101
  • タイラー・コーエン「もっと宗教について読むべき理由」

    [Tyler Cowen, “Why you should read more about religion,” Marginal Revolution, September 5, 2017.] 意義の半減期がとても長い宗教的事実はとてもたくさんある.4つの福音書がどうちがっているか勉強したとしようか――すると,今日のキリスト教のいろんな分派やキリスト教神学を理解するのにいまなお意義をもつ.宗教改革について読んだ場合は? 宗教改革と同時代のドイツやスイス内部の政治事情における純粋に世俗的な派閥について読んだ場合にくらべて,いまなお意義をもつ見込みがずっと大きい. ユダヤ教徒,仏教徒,ヒンドゥー教徒,シーク教徒,イスラム教徒は? 何世紀もまえの事実がいまでも重要かもしれない.さらに,いまから数世紀さきの人たちも,やっぱりモルモン教の起源について読まなきゃいけないはずだ. 過去の事実がこれほど

    タイラー・コーエン「もっと宗教について読むべき理由」
  • ジョセフ・ヒース プライバシーの終焉, パート1: 読心術 (2017年1月4日)

    The End of Privacy, Part 1: Mind Reading (In Due Course, January 4, 2017) Posted by Joseph Heath 2017年へようこそ.最近は,つくづく歳をとったものだと感じている.そう感じるようになった原因の一部は,私が現在居住しているこの世界,私の前に姿を現しつつあるこの世界というものが,私が生まれた世界,私が社会に対する感じ方を育んだ世界とは根的に異なっているという事実である.もっとも違いが明らかなのはプライバシーの領域だ.私は確信している.私の子供時代の1970年代こそが匿名性の黄金時代,すなわちある意味での個人の自由の黄金時代として歴史に残るだろう.先日,70年代の映画を見ていると,2人の刑事が犯罪者を車で追いかけて州境に向かっていた.犯罪者は刑事の追跡から逃れてしまい,刑事らは町へと引き返した.戻

    ジョセフ・ヒース プライバシーの終焉, パート1: 読心術 (2017年1月4日)
  • ジョナサン・ハイト「クルーグマンは間違ってないかな? 私たちは保守ではないし、キレてないですよ」(2016年2月24日) — 経済学101

    ジョナサン・ハイト「クルーグマンは間違ってないかな? 私たちは保守ではないし、キレてないですよ」(2016年2月24日) Krugman is wrong? We are neither conservative nor outraged by Jonathan Haidt | Feb 24, 2016 | ※訳注:エントリは、アメリカ経済学者であるポール・クルーグマンが、リベラル派とされている新聞ニューヨーク・タイムズの2016年1月4日付けで寄稿したコラムへの、ジョナサン・ハイトの反論である。 経済学者のノア・スミスを通じてハイトらの『ヘテロドクスアカデミー』の活動を知ったクルーグマンは、「ハイトらの活動は、アメリカ市民の間で保守政党である共和党の支持が上昇している現象を、アカデミアへ反映させようとしている保守反動運動であり、アカデミアに左派が多い事実への怒りの反応である」とハイト

    ジョナサン・ハイト「クルーグマンは間違ってないかな? 私たちは保守ではないし、キレてないですよ」(2016年2月24日) — 経済学101
  • ピーター・シンガー「倫理学と進化:『輪の拡大』出版から30年」(2011年5月18日)

    ⚫︎ Peter Singer, “Ethics and evolution: The Expanding Circle, thirty years on“, (ABC.net, religion & ethics, May 18, 2011) 「社会生物学」という単語はE・O・ウィルソンが1975年の著書『社会生物学:新たな統合』で造語したものだが、幾つもの専門分野を組み合わせた彼の画期的な研究は、社会的な行動の進化についての理論を人間について当てはめたために、議論の嵐を巻き起こすことになった。 人間の性の理解についてウィルソンは多大な貢献を行ったが、倫理学について書いた際には、この分野について興味を持った科学者が犯しがちな誤謬をウィルソンも行ってしまった。 彼自身の研究は倫理学にとってはどのような意味を持っているか、ということについてウィルソンが間違った理解を持っていたことは、30年

    ピーター・シンガー「倫理学と進化:『輪の拡大』出版から30年」(2011年5月18日)
  • アレックス・タバロック 「ミツバチが『失業』した先に待っているのは?」(2016年2月15日)

    ●Alex Tabarrok, “The Sharks Get Stung”(Marginal Revolution, February 15, 2016) [1]訳注;原エントリーのタイトルをそのまま訳すと、「まんまと騙されたシャークたち」となるだろう。おそらく、「ハチに刺された」(get stung by a … Continue reading 金曜日のことだ。テレビで『Shark Tank』 [2] … Continue readingを視ていたら、ミネソタ出身の二人の麗しい女性が「Bee Free Honee」なる商品を売り込んでいた。リンゴから作られた「はちみつ」だという。値段も安い上に、ベジタリアンの希望にも沿う「はちみつ」。いいアイデアじゃないだろうか? そうかもしれない。しかしながら、その二人の女性のプレゼン中に、納得しかねる発言があった。「私たちの商品は、ミツバチを救う

    アレックス・タバロック 「ミツバチが『失業』した先に待っているのは?」(2016年2月15日)
  • ジョセフ・ヒース 「『じぶん学』の問題」(2015年5月30日)

    The problem of “me” studies Posted by Joseph Heath 大学での「ポリティカル・コレクトネス」の問題についていろいろ言うジャーナリストは、まだたくさんいるのだが、言っていることはたいてい古臭いか、どこか的外れに思われるものばかりだ。私が見るところ、ポリティカル・コレクトネスの盛り上がりは90年代初頭に最高水位に達したが、そのあとはずっと凋落傾向にある(少なくとも教員の間での話で学生については別の問題だ)。この認知相違の一因は、不正確な語法にありそうだ。大学外の人々はポリティカル・コレクトネスという言葉の下にたくさんの別のものをまとめてしまうのだが、大学ではそれぞれ別の言葉が使われている。今日ここで書きたいのは、しばしばポリティカル・コレクトネスとされてしまうが、正確には「“じぶん”学」の問題として知られている、ある困った状況、傾向についてだ。

    ジョセフ・ヒース 「『じぶん学』の問題」(2015年5月30日)
  • ジョセフ・ヒース「何が人を陰謀論者にするのか?」(2016年12月5日)

    謀論について議論される時、「陰謀論」とは正確に何であるのかや、どのような精神的特徴が人を「陰謀論者」に陥らせてしまうのか、といった問題点が明確にされることは滅多にない。私は、自著『啓蒙思想2.0』で、陰謀論の説明を試みている。時宜に合うと思うので、この自著から一部を抜粋して再掲載しよう。 What makes someone a conspiracy theorist? Posted by Joseph Heath on December 5, 2016 | politics, United States 多くの人が、ドナルド・トランプに指摘している事の1つに、トランプが顕著なまでに陰謀論にハマりやすいように見える事実がある。陰謀論について議論される時、「陰謀論」とは正確に何であるのかや、どのような精神的特徴が人を「陰謀論者」に陥らせてしまうのか、といった問題点が明確にされることは滅多にな

    ジョセフ・ヒース「何が人を陰謀論者にするのか?」(2016年12月5日)
  • ジョセフ・ヒース『私の考えを一変させるに至った10冊』(2015年7月5日)

    10 books that blew my mind Posted by Joseph Heath on July 5, 2015 | education 今現在、個人的には完全に真夏モードに入っているので、しばらくブログのエントリは軽い内容が増える予定だ。この機会に、過去に幾人かから寄せられてきた質問への返答を投稿しておこう。ということで、このエントリ、私の物事への見方に強い影響力を与えた(あるいは、私の思考を根源レベルで変更するに至ったり、私の卑小な考えを一変させたような)書籍10冊を挙げさせてもらっている。10冊からは古典を除いているので、全て第二次世界大戦終結以後に出版された書籍となっている。 1.ユルゲン・ハーバーマス『晩期資主義における正統化の諸問題』1973年 2.ユルゲン・ハーバーマス『コミュニケイション的行為の理論』1978年 3.タルコット・パーソンズ『社会体系論』1

    ジョセフ・ヒース『私の考えを一変させるに至った10冊』(2015年7月5日)
  • ジョナサン・ハイト「学界における視点の多様性を向上させるために:2017年の展望と目標」(2017年1月3日)

    ・Jonathan Haidt, “Heterodox Academy: Our Plans for 2017“, January 3, 2017. ヘテロドックス・アカデミー(Heterodox Academy、以後文中ではHxAと表記)の目標は「学界における視点の多様性を向上させること」だ。視点の多様性…特に政治的見解の多様性…は1990年代以降減少し続けているということ、そして視点の多様性を向上させることは大学における研究と教育の質を向上させる可能性が高いということを、我々は繰り返し指摘してきた。 2015年9月にHxAを立ち上げてからの十六ヶ月間、HxAは前述の目標を追求することに非常に成功してきた。最初には25人だったメンバーも今日では363人となり、下の表に示されているように、メンバーたちの政治的見解は様々に分布している。HxAは学界のなかでも最も政治的に多様な団体であり、伝統

    ジョナサン・ハイト「学界における視点の多様性を向上させるために:2017年の展望と目標」(2017年1月3日)
  • ジョセフ・ヒース『反リベラリズムの解剖学』(2017年02月19日)

    The anatomy of anti-liberalism Posted by Joseph Heath on February 19, 2017 | Canada, multiculturalism 金曜日(17日)、カナダ市民は、醜悪な見世物に直面させられた。トロントにあるモスクのすぐ外で、ムスリム系移民の停止と、カナダにおけるイスラム教の禁止を訴える抗議活動が行われたのだ。報道によると、抗議活動の参加者は、総計でわずか15人だったようだ。なので、わざわざ騒ぎ立てることではない。しかしながら、この件が、103号動議 [1] … Continue reading に関してウソを付き続けている、あるいは馬鹿騒ぎを続けている、カナダ保守党の構成員全員に、自制を促す事にはなるべきだろう。 この件にこれ以上言及する必要は感じないが、CBCラジオによる、抗議活動の参加者の1人である、女性へのイン

    ジョセフ・ヒース『反リベラリズムの解剖学』(2017年02月19日)
  • ピーター・シンガー「健康保険はなぜ割り当てられなければならないか」(2009年7月15日)

    Peter Singer, “Why We Must Ration Health Care“, New York Ttimes, July 15 2009 あなたは進行腎ガンを患っている。おそらく、一年後か二年後にはあなたはそのガンで死んでしまう。スーテントと呼ばれる抗がん剤はガンが転移するのを遅めさせて、おそらくあなたは六ヶ月余分に生きられるだろう。しかし、それには 54000ドルのコストがかかる。数ヶ月死ぬのが先延ばしになることは、それほどの金額に値するのだろうか? もしあなたに支払える余裕があるなら、より長く生きるためにあなたは54000ドルやそれ以上の金額を払うだろう。たとえあなたの人生の質が良いものにならないとしてもだ。だが、ガンを患っているのが自分自身ではなく、自分が支払っている健康保険基金の対象となっている他人であった場合について考えてみよう。もし保険会社がこの男性にスーテン

    ピーター・シンガー「健康保険はなぜ割り当てられなければならないか」(2009年7月15日)