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j・g・バラードの検索結果1 - 40 件 / 46件

  • 読まずに語れ!積ん読王決定戦 | オモコロ

    本を読むのが好きだけど、買うのはもっと好きだ。本を買うのってワクワクするし、物欲も解消されるし、ちょっと賢くなった気がするし。本、最高。 ー で、そのまま読まない。いわゆる 積ん読。 買っては積み、買っては積み。買った時とは裏腹に、積まれた本を思い出すと罪悪感がじんわり広がっていく。読まなきゃという焦燥感がストレスになって、本から遠ざかってしまうことさえある。 だがちょっと待って欲しい。積ん読は本当にダメなんだろうか? 海外では「TSUNDOKU」という日本語がそのまま広まっているらしいし、積ん読は人類共通の現象なんだろう。悩むのではなく、むしろ積んでる時間を楽しむくらいの、そんな心の余裕があってもいいのではないか…? こんにちは、岡田悠と申します。 今日は本を愛しながらも、同時に積ん読に悩むメンバーを集めてみました。 原宿:無職の時にたくさん本を買って、たくさん積んでいる ヤスミノ:積む

      読まずに語れ!積ん読王決定戦 | オモコロ
    • コロナ禍になってからたくさんのパンデミックSFが刊行されたので一気に紹介する - 基本読書

      19年末からコロナ禍に入り、3年近い月日が流れている。数多くの変化がそれに伴って起こったが、そのうちのひとつは「パンデミックSF」の刊行が増えたことだ。 パンデミックSFとは、感染症が広まっていく状況を描き出すSF作品のことだが、コロナ以後に企画・執筆された作品はもちろん、それ以前に書かれたいわゆる「予言的な」作品と言われて海を渡ってきたような作品もたくさん翻訳されている。おそらく平時であれば企画が通らなかったものも、こんなときだからいくぞ! と企画が通りやすくなっているのだろう。そのすべてがおもしろいわけではないし、読みすぎて食傷気味なところもあるのだが、せっかくなので新型コロナウィルスの影響による刊行かは問わず、2020年以降に刊行されたパンデミック関連SFを一挙紹介してみよう。 予言的なと評された作品 新しい時代への歌 (竹書房文庫) 作者:サラ・ピンスカー竹書房Amazon最もコロ

        コロナ禍になってからたくさんのパンデミックSFが刊行されたので一気に紹介する - 基本読書
      • なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす

        Home » なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす VRで、私たちは何を見ているのだろう。 旅行で知らない土地へ行ったけれど、どこかで見た気がする。逆に、馴染みの場所へ足を運んでも、ふと目を離した瞬間、一度も来たことがないような気さえしてくる。デジャヴめいて、私たちの中には存在しない、「場所」をつくったひとびとの時間の痕跡。空間の幽霊。それこそが「見たことがないはずなのに、懐かしい」というあの感情を、遠くから呼ぶ……。 VRChatのワールド「ORGANISM」はまさにそんな空間だ。クリストファー・ノーラン「インターステラー」のような情景。広大なリミナル・スペース。「かつてのロシア」的なモチーフが散りばめられた巨大なオ

          なぜ我々は「ORGANISM」に心奪われるのか? VRChat史に残る衝撃をSF作家と書評家が語り尽くす
        • 『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』で大流行!最近話題の概念「ワイドスクリーンバロック」ってなに!? - 水槽脳の栓を抜け

          現在絶賛公開中のアニメ映画『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』 www.youtube.com では、物語のキーワードとして「ワイルドスクリーンバロック」というものが多用されています。 「ワイルドスクリーンバロック」の元ネタは、おそらくSFのサブジャンル「ワイドスクリーンバロック」でしょう。 この記事では「ワイドスクリーンバロック」とは何かをサーベイして、はたして『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』が「ワイドスクリーンバロック」なのかを考えたいと思います。 【簡単な要約】:「ワイドスクリーンバロック」のもともとの意味は規模が大きくてハチャメチャなスペースオペラくらいの意味合いだったが、日本に輸出されたことで意味合いが変わりアイデアがすごくたくさん出てくるSFくらいの意味になった。『劇場版レヴュスタ』は前者の意味合いには当てはまらないが後者には当てはまるかもしれない。 「ワイドスクリ

            『劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト』で大流行!最近話題の概念「ワイドスクリーンバロック」ってなに!? - 水槽脳の栓を抜け
          • REALKYOTO – CULTURAL SEARCH ENGINE » 疫病の年の手紙 浅田 彰

            グローバル化の行き着く先で、温暖化に代表される地球環境問題もいよいよ発火点に来ている、エボラ出血熱やトリ・インフルエンザ H5N1 などによるパンデミックの可能性も考慮しておかねばならない…。 頭ではわかっていたつもりだったし、折りにふれて話もしてきましたが、実際に新型コロナウイルス SARS-CoV-2 による COVID-19 パンデミックが起こってみると、あらためて身体的に危機を痛感するこの頃です。 2019年12月から後に Covid-19 と呼ばれることになる肺炎の流行が伝えられていた武漢が2020年1月23日に封鎖されたと報じられたとき、パンデミックは不可避だと覚悟しました。遅まきながら(というか、最初、医師たちの警告を封殺しておきながら)中国政府がそこまで危機感をもったほどのエピデミック。しかし、いかに共産党独裁国家とはいえ人口一千万人規模の都市を完全に封鎖することなどできる

            • サイバーパンクとは何か、その本質的特徴を、古典的代表作と現代のゲーム・映画・小説でみていく - 基本読書

              文章の元はIGN japanに『サイバーパンク2077』発売直前に寄稿した原稿だが、今はもうゲームも出ているので、それを踏まえた内容に全面的に加筆修正している。 【PS4】サイバーパンク2077 発売日: 2020/12/10メディア: Video Gameもうすぐ全世界待望のゲーム『サイバーパンク2077』が発売される(もう発売された)。今回はこれに備えて、サイバーパンクとは何なのか、どのようなジャンルかを紹介し、『ニューロマンサー』から、昨今のサイバーパンク小説/映画/ゲームを横断的に紹介することで、『サイバーパンク2077』へ期待を繋げていきたい次第である。 サイバーパンクとは何か サイバーパンクとは何かといえば、語源的には生物と機械における制御と通信を一緒に扱う分野であるサイバネティクスと、パンクロックのパンクを合わせたもの。ブルース・ベスキという作家が1980年に発表した短篇小説

                サイバーパンクとは何か、その本質的特徴を、古典的代表作と現代のゲーム・映画・小説でみていく - 基本読書
              • 薄い本を読むパート3 - Close To The Wall

                薄い本を読むパート2 - Close To The Wall 一年おきにやってる気がするこれ、三回目。今回は厳密ではなく本文200ページ前後、とややゆるめに選んだ20冊。冊数も記事も分量が増えて行っている。 フリオ・ホセ・オルドバス『天使のいる廃墟』 ミルチャ・エリアーデ『令嬢クリスティナ』 フランツ・カフカ『変身』 アントニオ・タブッキ『島とクジラと女をめぐる断片』 イタロ・カルヴィーノ『ある投票立会人の一日』 スティーヴン・ミルハウザー『魔法の夜』 パーヴェル・ペッペルシテイン『地獄の裏切り者』 イマヌエル・カント『永遠の平和のために』 閻連科『年月日』 宮内悠介『黄色い夜』 ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』 ティモシー・スナイダー『暴政』 フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』 ウンベルト・エーコ『永遠のファシズム』 アレホ・カルペンティエール『時との戦い』 中井英夫『幻想博物館』 ジ

                  薄い本を読むパート3 - Close To The Wall
                • 「三体」柳下毅一郎さん書評 壮大で呆れるほど単純、これぞSFの原初のパワー|好書好日

                  SFは若い文学である。 「SFの黄金期は十二歳である」という言葉は、その幼稚さを示すものだと理解されることが多い。だが、それは同時にSFの魅力を伝える言葉でもある。SFは未来の文学だ。そして未来への無限の想像力を持てるのは若者だけである。日本SFの黄金時代が、日本の高度成長期と重なりあっていたのも偶然ではあるまい。 だから今、中国SFこそが世界でいちばん勢いある存在なのである。 劉慈欣の『三体』の登場は衝撃的だった。それは日本だけのことではない。アメリカでは二〇一五年、アジア人作家として、そもそも翻訳小説としてはじめて、アメリカSF界の最高賞とも言えるヒューゴー賞の長編部門を獲得している。バラク・オバマ前大統領からフェイスブックのザッカーバーグCEOまで、誰もが絶賛した面白さはどこにあるのだろう? ひとつには、シンプルで誰にでもわかるアイデアの力強さである。『三体』の主人公ナノテク研究者の

                    「三体」柳下毅一郎さん書評 壮大で呆れるほど単純、これぞSFの原初のパワー|好書好日
                  • 探求型小説についてのメモ - TBCN

                    はじめに 以下はmurashitさんの次の記事に触発されて書くものです。 murashit.hateblo.jp そういえば私もこのへんのハナシが好きだったはずだけど、最近読んでなかったな、と思って、じゃあ自分の好みをまとめておこうかな、という気持になったのです。 タイトルに挙げた「探求型小説」というのは仮につけたものです。この手の作品はけっこう多いので、たぶんもっと適当なネーミングをしている人がすでにいるはずですが、私は以下、この名称のもとにいくつかのジャンルに当てはまる特徴をまとめてみたいと考えています。 近いことはこれまで、「歴史ミステリ」についてだとか、「メタフィクション」についてだとかの中で、書いてきました。今回書くのは、それらの考え方を敷衍したものです。 探求型小説の特徴 私が「探求型小説」と呼ぶ型の特徴は、次の三つです。 ①主人公がある対象(謎、事件、人物など)について調査探

                      探求型小説についてのメモ - TBCN
                    • トレヴァー・ホーン 「“80年代を発明した男”はとても恥ずかしかった」「イエス加入は本当はやりたくなかった」 - amass

                      トレヴァー・ホーン(Trevor Horn)は、Vultureのインタビューの中で、バグルス(The Buggles)「Video Killed the Radio Star」のミュージックビデオがMTVの幕開けとなったことなどで「80年代を発明した男」と言われたことについて「とても恥ずかしかった」と回想。またイエス(Yes)への加入を「本当はやりたくなかった」と振り返っています。 Q:フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドの大ヒット曲「Two Tribes」をプロデュースしたときも、レコーディングが大変だった例のひとつですね。著書『Adventures in Modern Recording: From ABC to ZTT』の中で、当時、隣のスタジオで作業していたエルヴィス・コステロが、あなたがその1曲の作業を終える前にアルバム全体のレコーディングとミキシングを行っていたという面白いエピ

                        トレヴァー・ホーン 「“80年代を発明した男”はとても恥ずかしかった」「イエス加入は本当はやりたくなかった」 - amass
                      • 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回)l

                        2022年09月29日17:00 by 東京創元社 東京創元社編集部・編『創元SF文庫総解説』第1回(全6回) カテゴリSFファンタジイ・ホラー 【はじめに】 創元SF文庫は来年2023年、創刊60周年を迎えます。 1963年9月に創元推理文庫SF部門として誕生し、フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、1991年に現行の名称への改称を挟んで、これまでに700冊を超える作品を世に送り出してまいりました。エドガー・ライス・バローズの《火星シリーズ》やE・E・スミスの《レンズマン》シリーズをはじめ、ジョン・ウィンダム、エドモンド・ハミルトン、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、レイ・ブラッドベリ、J・G・バラード、アン・マキャフリー、バリントン・J・ベイリー、ジェイムズ・P・ホーガン、ロイス・マクマスター・ビジョルド、そして近年にはアン・レッキーやN・K・ジェミシン

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                        • 失われた短編を求めて――ボルヘス唯一の未訳短編「シェイクスピアの記憶」について - 機械仕掛けの鯨が

                          ホルヘ・ルイス・ボルヘス。アルゼンチンが生んだ二〇世紀の世界文学上最大の作家の一人で、「知の工匠」「迷宮の作家」等の異名を持つ巨匠である。日本でも大変人気があり、現在では岩波文庫に著作の多くが収録されている。 さて、彼の作風の最大の特徴は、生涯を通して短編小説しか著さなかったことだ。一番長い作品でも、日本語訳で二〇ページほどしかない。だが彼の短編から喚起されるイメージは、迷宮、鏡、無限、架空の書物等々といったモチーフによって増幅され、長編小説にも匹敵する物となる。 短編集としての代表作『伝奇集』は岩波文庫で刊行されているほか、『砂の本』『ブロディーの報告書』『アレフ』など、彼の主要な短編は、短編集としてほとんど邦訳されていると言ってよい。 だが一作だけ、邦訳されていない作品がある、と言えばどうだろうか。その存在は、ペンギン・ブックスから刊行されているボルヘスの全短編集に記載されている。題は

                            失われた短編を求めて――ボルヘス唯一の未訳短編「シェイクスピアの記憶」について - 機械仕掛けの鯨が
                          • バラード『太陽の帝国』新訳は、当然大きく改善されています……と書きたかったんだけど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

                            先日ふと、バラード『太陽の帝国』の新訳が出たのを知った。しかも山田和子訳。 太陽の帝国 (創元SF文庫) 作者: J・G・バラード,山田和子出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2019/07/30メディア: 文庫この商品を含むブログを見る これについては、国書刊行会の高橋訳がイマイチだという話は結構聞いていたんだけれど、ぼくは英語でしか読んでなかったので、どの程度イマイチかはあまり知らなかった。いつか読むべえと思って、いま見たら家に2冊もある。最初のやつと、映画になったときのカバーのやつと。 太陽の帝国 作者: J.G.バラード,高橋和久出版社/メーカー: 国書刊行会発売日: 1987/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (17件) を見る で、いい機会だからちょっと比べて見ようと思った。もちろん、新訳のほうがずっとよいにちがいないとは思っていた。

                              バラード『太陽の帝国』新訳は、当然大きく改善されています……と書きたかったんだけど。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
                            • 家に発電所を作り、世界の輪廻に取り込まれる――奇想小説ファンに勧める現代漫才3選 - 機械仕掛けの鯨が

                              奇想の住まう場所 なぜ漫才なのか? 奇想の在処を探る ①気が付けば世界の輪廻に取り込まれている話――Dr.ハインリッヒ「トンネルを抜けると」 ②プリクラ撮りたさに家を火力発電所にする話――金属バット「プリクラ」 ③変な暗記法・言葉遊び系漫才の最前線――カベポスター「英語」(ABCお笑い新人グランプリ2019・M-1グランプリ2020敗者復活戦) 最後に & 奇想漫才Scrapboxの話 奇想の住まう場所 奇想が好きだ。要するに、どうやって思い付いたのか見当も付かないような、変な発想が好きだ。 奇想はどこに住まうのか。身近なところでいけば、小説にはよく潜んでいる。 交通事故に性的快感を覚える男(J・G・バラード『クラッシュ』)、演奏に1万年掛かる長大な交響楽を演奏し続ける山頂の交響楽団(中井紀夫「山の上の交響楽」)、知性を持つ1つの生命体としての星(スタニスワフ・レム『ソラリス』)etc.

                                家に発電所を作り、世界の輪廻に取り込まれる――奇想小説ファンに勧める現代漫才3選 - 機械仕掛けの鯨が
                              • R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) | ele-king

                                ガブリエル・デルガド・ロペス、通称ガビ・デルガドが3月22日に死去していたことが複数の海外メディアで報じられた。61歳だった。死因は現在のところ公表されていないようだが、彼のキャリアにおけるもっとも有名なプロジェクト、DAFの相方だったロベルト・ゲイルが彼の死を確認しているという。 ガビがヴォーカルを務めたバンド、DAF(ドイチュ・アメリカニシェ・フロイントシャフト )は、1978年にドイツで結成されたパンク・バンドであり、やがて磨かれるその際だったサウンド──言うなればジョルジオ・モロダーのパンク・ヴァージョンとも喩えられるエロティックかつパンキッシュなエレクトロニック・サウンドによって一世を風靡した。その影響はボディー・ミュージックからデトロイト・テクノ、ウェストバムから石野卓球などじつに広範囲にわたっている。 DAFに関しては、1979年のファースト・アルバム『Produkt Der

                                  R.I.P. Gabi Delgado(ガビ・デルガド) | ele-king
                                • 【アメコミ】日系人収容所の日常を描く、ジョージ・タケイ「THEY CALLED US ENEMY」|boywiththethorn|note

                                  紹介したい作品が多くてかえって迷ってしまい(言い訳)更新が滞っていたが、今回はTwitterでも紹介したジョージ・タケイのコミック「THEY CALLED US ENEMY」(彼らは私達を敵と呼んだ)を取り上げようと思う。 スタートレックのファンという訳ではないが、ジョージ・タケイの自伝コミック「they called us enemy」を読んでる。突然収容所に入れられる事になった日系二世・三世のタケイ一家を通じて、戦時中に日系人が味わった苦難、ジョージ・タケイの目を通した収容所での暮らしを描いている。面白いぞ pic.twitter.com/nOMKcN6x1U — BWTT (@BoyWithTheThorn) June 27, 2020 ここでも書いたが、ぼくはスタートレックをよく知らず、パロディやオマージュ作品の方を目にする事の方が多い。よって、出演俳優のジョージ・タケイついても、

                                    【アメコミ】日系人収容所の日常を描く、ジョージ・タケイ「THEY CALLED US ENEMY」|boywiththethorn|note
                                  • 『ポケモン』と『パルワールド』で考える「クリエイションのジレンマ」。 - Something Orange

                                    この記事はこちら()からはてなブックマークに登録できます。もし面白いと思われましたら言及していただけるととても嬉しいです。よろしくお願いします。 それでは、記事へどうぞ。 「真のポケモン」? 『ポケモン』の保守性。 ラーメンとロックとサイエンス・フィクション。 野蛮さの魅力。 【さいごに】 「真のポケモン」? 「ポケモンのパクリ」とも「真のポケモン」とも呼ばれる日本発のインディーゲーム『パルワールド』が話題を集めている。 現状ではわずか3000円ちょっとで購入できるハードルの低さもあって、発売後わずか数日で600万本という凄まじい大ヒットを記録している。 国産インディーゲームでありながら世界に指さきがとどいたわけで、まさに歴史的快挙といって良いだろう。 しかし、その一方で露骨に『ポケモン』や『ARK』、『ゼルダの伝説 ブレス・オブ・ザ・ワイルド』といった先行作品を模倣したとされる倫理的な「

                                      『ポケモン』と『パルワールド』で考える「クリエイションのジレンマ」。 - Something Orange
                                    • うそんこ文書アンソロジーに掲載された40作品のタイトルとその分類+α - 最後の短篇企鵝の剥製

                                      (これは深夜に書類仕事に追われているかわいそうなペンギン)『FAKES: An Anthology of Pseudo-Interviews, Faux-Lectures, Quasi-Letters, "Found" Texts, and Other Fraudulent Artifacts』(2012)というアンソロジーをだいたい読んだ。タイトルどおり、インタビューだの講義だの講演だの書評だのカタログだの手紙だの張り紙だの反省文だの説明書だの問題文だのとにかく、本来フィクションには用いられない、一定程度形式の定まっているテキストのパロディが40篇ほど収められている。日本でも去年SF界隈で『異常論文』(早川書房)が流行ったけれど、そういうのの範囲を更に拡張した欲張りなくくりです。 (アンソロの序文に掲載されているリスト。世界を手に入れようとしているのかな?)虚構手記文学や書簡体小説のよう

                                        うそんこ文書アンソロジーに掲載された40作品のタイトルとその分類+α - 最後の短篇企鵝の剥製
                                      • 津原泰水の本棚 - ラヂオデパートと私

                                        リブロ渋谷店にて先々月から先月いっぱい開催され、好評を得ました「津原泰水の本棚」。そこで配布されましたリーフレットの内容を、ここに転記します。 実際に書棚を眺めることはせず、すべて記憶から引き出しておりますので、もし内容にまつわる勘違いなど御座いましたら、陳謝致します。 *** 好きな本を列挙しているときりがないので、基本的に一作家一作、二十代までに読んで「津原泰水」を形成してくれた本、という制約をみずから設けました。三十以降に読んだけれど、いまなお入手可能であることを知り、つい嬉しく……という本もすこし加わっています。 〈国内篇〉はまるで教科書の文学史年表のようなセレクション、〈海外篇〉はSFが結構な比率を占めるという、自分でも意外な結果となりました。まず父親が集めていた文学全集で小説に触れ、大学時代は「二日に三冊」のペースで海外SFを勉強していたことを思い出すに、順当な結果とも申せます

                                          津原泰水の本棚 - ラヂオデパートと私
                                        • SFと植民地 あるいはシンガポールで見る『カジノ・ロワイヤル』(自作宣伝です) - もう本でも読むしかない

                                          私事で恐縮ですが…… SFのテーマとしての植民地 シンガポールで見る007の衝撃 創作紹介 関連ブックガイド 私事で恐縮ですが…… Winsland House II 今回は私事と雑談なんですが、実は一昨年あたりからブログのほかに趣味でSF小説を書いておりまして、WEBメディアのコンテストに応募したりしています。 昨年はバゴプラ/Kaguya Planet主催の「第3回かぐやSFコンテスト(特集・未来のスポーツ)」 にて選外佳作に選んでいただいたりもし、細々と楽しく活動しております。 Kaguya Planetについてはこちらの記事をどうぞ。作品へのリンクもあります。 pikabia.hatenablog.com この1月には同じくKaguya Planetの「気候危機」特集に合わせて行われた公募に向けて短編を書きました。そちらも現在カクヨムで公開しております。 kakuyomu.jp S

                                            SFと植民地 あるいはシンガポールで見る『カジノ・ロワイヤル』(自作宣伝です) - もう本でも読むしかない
                                          • R.I.P. Tom Verlaine | ele-king

                                            まあ、いまとなってはこっぱずかしい話ではある、中高生のときにロック、ことパンク周辺に夢中になってしまったぼくは、昼も夜も音楽のことばかり考えて、好きになった曲の意味をなんとしてでも知ってやろうと、辞書を引きながら一生懸命日本語訳に挑戦したものだった。テレヴィジョンはサウンドはもちろんだが、ぼくにとっては歌詞の世界にもどっぷりはまったバンドだった。 “Marquee Moon” の出だしの言葉を、これまでの人生でなんど反芻したことだろう。「I remember how the darkness doubled/ぼくは憶えている。その暗闇がいかにして重なったのかを」 それだけで充分だった。暗闇は前提であって、それがどうしてさらに暗くなったのかが問題だった。冷たさや夜の空しさだけが真実だった。 そりゃあ私だって幸運だったこともある まやかしだったけれどね ローラはそう言った 彼女は目を閉じてしま

                                              R.I.P. Tom Verlaine | ele-king
                                            • メットガラ2024が開催! 祭典最大のハイライト、レッドカーペットルックを総まとめ

                                              2024年5月6日(現地時間)、ニューヨークのメトロポリタン美術館で催されたメットガラ(MET GALA)。バッド・バニー、クリス・ヘムズワース、ジェニファー・ロペス、ゼンデイヤら共同ホストを筆頭に、レッドカーペットに彩りを添えたセレブたちのルックをお届け。 ファッション界最大の祭典、メットガラ (MET GALA)が今年もついに開催。メトロポリタン美術館に付属するコステューム・インスティチュートの特別展『Sleeping Beauties: Reawakening Fashion(眠れる美への追憶──ファッションがふたたび目覚めるとき)』のオープニングを飾る同イベントのハイライトはなんと言っても、ドレスコードを思い思いに表現したセレブたちのレッドカーペットルックだ。 今年のドレスコードは「The Garden of Time(時間の庭)」──古さと脆さゆえに二度と纏うことができない貴重な

                                                メットガラ2024が開催! 祭典最大のハイライト、レッドカーペットルックを総まとめ
                                              • 『フロム・ヘル [新装合本]』(みすず書房) - 著者:アラン・ムーア 翻訳:柳下 毅一郎 - 柳下 毅一郎による解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS

                                                著者:アラン・ムーア翻訳:柳下 毅一郎出版社:みすず書房装丁:コミック(592ページ)発売日:2019-11-11 ISBN-10:4622088592 ISBN-13:978-4622088592 切り裂きジャック事件の「真相」を描き、大きな話題を呼んだアラン・ムーアのコミック『フロム・ヘル』。初版刊行からちょうど10年後の[新装合本]刊行に際し、訳者の柳下毅一郎氏による解説をお届けする。 Murder, Myth & Magicアメコミの革新者、二十世紀屈指の文学者、現代の魔術師……アラン・ムーアにはいくつも顔がある。欧米コミック界でもっとも尊敬され、もっとも恐れられている天才。それがアラン・ムーアだ。ここにお届けする『フロム・ヘル』はそのムーアのすべてが詰まった代表作にして、みずから「大いに誇りにしている達成」だという作品である。アラン・ムーアとはいかなる人間で、『フロム・ヘル』は何

                                                  『フロム・ヘル [新装合本]』(みすず書房) - 著者:アラン・ムーア 翻訳:柳下 毅一郎 - 柳下 毅一郎による解説 | 好きな書評家、読ませる書評。ALL REVIEWS
                                                • 世界の終わりの安らぎと、その系譜(評論) - highland's diary

                                                  以下に掲載するのは、2018年に刊行された『少女終末旅行トリビュート』という同人誌に私が寄稿させていただいた、「世界の終わりの安らぎと、その系譜」という文章の全文です。 hanfpen.booth.pm 本自体は『少女終末旅行』の二次創作小説集なのですが、自分だけ評論を寄稿しています。自分は当時『少女終末旅行』に入れ込んでいたのですが、ありていに言えば小説が書けない人間なので、イラストと合わせて評論を書くことで作品愛を表明したいと考えていました。 本が出た時点で漫画は既に完結しており、寄稿者(京大SF研有志の人たち+α)は皆それをもとに原稿を書いていたと思います。 少女終末旅行 6巻(完): バンチコミックス 作者:つくみず 新潮社 Amazon そしてこの評論は『少女終末旅行』にリスペクトを払い、『少女終末旅行』について論じたものでもありますが、より広く「世界が終わるということの安らぎ」

                                                    世界の終わりの安らぎと、その系譜(評論) - highland's diary
                                                  • 平沢進の音楽世界観を多角的に紐解く - Music Synopsis

                                                    ※当記事は文字数が9万字以上ある記事になります。 そのため、時間がある時に閲覧すること、また字数の関係上スマートフォンでの閲覧よりもパソコンやタブレット端末での閲覧を併せて強く推奨します。 ・はじめに これまで久石譲・菅野よう子といったメジャーでありながら知名度も抜群であり多大なフォロワーがいる、いってみれば名実ともに全員が納得できる偉大な大家について書きました。つまり大衆が愛すべき作曲家に焦点を当てました。しかし今回はすこし捻った特集を組みました。 マイナーだけど何故かメジャーアーティストとして有名という音楽版の諸星大二郎とでも形容すべき人物、つまりは平沢進です。まず音楽版の諸星大二郎とはどういう意味なのか、という点についてです。 同業者からは絶大な支持があるもののより広域的な範囲では知られていないという存在を形容するものとして「ミュージシャンズ・ミュージシャン」という単語があります。

                                                      平沢進の音楽世界観を多角的に紐解く - Music Synopsis
                                                    • 『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』日本映画の家族の解体と再生、日本文学の私小説、そして欧米50-60年代ハードSFの正統な後継者として(2) - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために

                                                      エヴァ見に米国から緊急帰国して約一か月。アメリカに帰国いたしました。『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』最高でした。庵野さん、カラーさん、ありがとう!。こんなアホに付き合ってくれた友人や、やさしく色々教えてくれたTwitterの人々に感謝を。これから隔離期間(苦笑)。すぐワクチン打つ。 pic.twitter.com/CbolvQwfox— ペトロニウス@物語三昧 (@Gaius_Petronius) April 21, 2021 『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』庵野秀明監督 1995年から2021年の27年間をかけて描かれた日本的私小説からSFと神話までを包含する世界最高レベルの物語(1) - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために その(2)です。4万6千字ぐらいあります。馬鹿すぎます。なんで、おれこんなにがんばっているか?それは、、、、自己満足です。満足したいんだよ、アウト

                                                        『シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』日本映画の家族の解体と再生、日本文学の私小説、そして欧米50-60年代ハードSFの正統な後継者として(2) - 物語三昧~できればより深く物語を楽しむために
                                                      • 楽園を見た男ジャック・マイヨールが死を選んだ理由 - webDICE

                                                        映画『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』の上映後トークに登壇した宮台真司さん。 映画『グラン・ブルー』のモデルとなった伝説の素潜りダイバー、ジャック・マイヨールの生涯を追ったドキュメンタリー映画『ドルフィン・マン~ジャック・マイヨール、蒼く深い海へ』の公開記念イベントが、去る12月8日にアップリンク渋谷で開催された。ゲストに登壇した社会学者・首都大学東京教授の宮台真司さんのトークの模様を以下に全文掲載する。 <社会>と<世界> ジャック・マイヨールは2001年に亡くなりました。僕の母は8歳年少で、同じ上海のフランス租界で生まれ育ちました。同じくフランス租界で生まれ育った3歳年少のJ・G・バラードのSFを読むと、眩暈に満ちた上海のカオスが分かります。豪奢なパーティ会場を出ると貧困者らが路上で凍死している。日常と非日常、現実と夢がないまぜになったそんな時空にマイヨールは育ち

                                                          楽園を見た男ジャック・マイヨールが死を選んだ理由 - webDICE
                                                        • ゆく年くる年、何を読む?早川書房2019海外文芸総ざらい|Hayakawa Books & Magazines(β)

                                                          年の瀬が迫ってまいりました。みなさん、年末年始の読書の予定はお決まりですか? 「読みたい本がほかにもたくさんあるから長すぎず、でも読み応えのあるものを読みたい」「海外文学を読みはじめたいけど長すぎると心が折れる」「時間があるから長篇の世界にじっくり浸りたい」などなどあらゆる要望に応えるべく、2019年に早川書房が刊行した海外文芸を、ページ数と独断と偏見でライト級、ミドル級、ヘヴィー級の3階級に分類しました。各作品、担当編集の激推しおすすめコメントつきです! ライト級 『ビール・ストリートの恋人たち』 ジェイムズ・ボールドウィン/川副智子訳 四六判上製 本体価格2,200円+税 288ページ 恋人が冤罪で収監されてしまったら。そんなむごい状況を描いた小説ですが、詩的な文章にとにかくうっとり。60~70年代の音楽を聴きながら読むのもいいですね。すばらしい映画版もぜひチェックしてみてください。(

                                                            ゆく年くる年、何を読む?早川書房2019海外文芸総ざらい|Hayakawa Books & Magazines(β)
                                                          • やくしまるえつこさんが選んだ本

                                                            やくしまるえつこさんが選んだ本 相対性理論「天声ジングル」発売記念『やくしまるえつこ選書フェア』 2016/04/27~2012/05/09 安部 公房(1974) 無関係な死・時の崖 (新潮文庫) 安部 ヨリミ(2012) スフィンクスは笑う (講談社文芸文庫) アルフレッド・ベスター(2008) 虎よ、虎よ! (ハヤカワ文庫 SF ヘ 1-2) アルフレッド・ベスター(1965) 分解された男 (創元SF文庫) アンナ・カヴァン(2007) ice アンナ・カヴァン(2013) アサイラム・ピース アンナ・カヴァン(2014) われはラザロ R・A・ラファティ(2013) 第四の館 (未来の文学) 伊藤 計劃(2010) 虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA) 稲生 平太郎(2013) 何かが空を飛んでいる ウィスット ポンニミット(2010) ロマンス タムくんのラブストーリー短編集 ウィリ

                                                            • 〈未来〉は俺等の手の中|単行本|木澤 佐登志|webちくま

                                                              意味や価値のわからない仕事を再生産し続ける「制約事項」を爆破し、「本当のイノベーション」に向かって考える自由を取り戻す――気鋭のSF作家であり、ITコンサルタントである著者が贈る理論と実践の書『未来は予測するものではなく創造するものである』を文筆家の木澤佐登志さんに読み解いていただきました。 〈未来〉は失われている。それも決定的に。「ぼくたちは空飛ぶ車がほしかったのに、手に入ったのは一四〇文字だった」。本書の中で樋口が引いている、ピーター・ティールの言葉。一九六〇年代には星間飛行やタイムトラベルといった〈未来〉のヴィジョンが真剣に検討され、それは遠からず到来するだろうと考えられていた。だが今や、そうした〈未来〉のヴィジョンは寂れたショッピングモールのセール品の山に埋もれ、それを顧みる者はどこにもいない。代わりに、テイラーシステムに組み込まれた〈未来〉は、制約事項によって切り詰められたソフト

                                                                〈未来〉は俺等の手の中|単行本|木澤 佐登志|webちくま
                                                              • 「"Resistance & The Blessing"のイメージ、その宇宙的断片」Text by Y.D (夢中夢)|Virgin Babylon Text

                                                                「"Resistance & The Blessing"のイメージ、その宇宙的断片」Text by Y.D (夢中夢) world’s end girlfriend "Resistance & The Blessing" (Release:2023/09/09) LP/CD/DL https://virginbabylonrecords.bandcamp.com/album/resistance-the-blessing Spotify/AppleMusic/Streams https://linkco.re/rAz8g4Cv 「"Resistance & The Blessing"のイメージ、その宇宙的断片 」 text by Y.D (夢中夢) 音楽家は本人の中にどれだけ具体的なイメージがあったとしても、それを抽象化せずにはいられないパラドックスを抱える。それは音楽という表現の宿命でも

                                                                  「"Resistance & The Blessing"のイメージ、その宇宙的断片」Text by Y.D (夢中夢)|Virgin Babylon Text
                                                                • 『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』訳者あとがき|Takeshobo Books

                                                                  『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』訳者あとがき 本書はJohn Sladek Tik-Tok の全訳である。本作は一九八三年の英国SF協会賞を受賞している。 ジョン・スラデックという作家を評する時、使われる言葉はいつも異端だ。「二〇世紀最後の天才」「真の異色作家」「不世出の天才作家」「たぶん天才だったのだが、才能の使い道をまったくわかっていなかった」。 彼の作風は風刺に満ち、遊戯性に富み、そしてシュールでかつユーモアにあふれている。それは本作をお読みになった方なら、きっとお分かりのことかと思う。 解説から読む派の読者の方のために、ざっと本作のあらすじを紹介しておこう。 舞台は近未来のアメリカ。家庭用ロボットが普及しており、それらには「アシモフ回路」というSF読書には馴染みの深いであろうアイザック・アシモ

                                                                    『チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク・チク・タク』訳者あとがき|Takeshobo Books
                                                                  • 【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉 - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                    『私たち異者は』 スティーヴン・ミルハウザー,柴田 元幸 白水社 2,800円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto スティーヴン・ミルハウザーの言葉は、ささやかな、しかし鮮やかな魔法のように、読み手の世界を変えていく。『イン・ザ・ペニー・アーケード』『バーナム博物館』『ナイフ投げ師』『十三の物語』といった短篇集に収められた諸篇を読むとき、ぼくの脳裡に浮かぶのは、十八世紀スイスの時計職人が生みだした精妙な機械細工だ。小さな空間に驚異と憧憬が詰まっている。 しかし、こんかい邦訳された『私たち異者は』は、そうしたミルハウザーのイメージを少し変えるものだった。言葉を自在に操る手つきはまちがいなくミルハウザーだが、扱う題材や手法においてこれまでと違ったことを試み、作品の手ざわりも一篇一篇違ったものになっている。全般的にいえるのは、日常的な匂いが強

                                                                      【今週はこれを読め! SF編】ミルハウザーの新しい試み、しかし変わりのない魔法の言葉 - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                    • 日本最古の現存する文庫SFレーベルの歴史を余すところなく解説した史上初の公式ガイドブック『創元SF文庫総解説』が12月25日発売!

                                                                      1963年9月、創元SF文庫の歴史は始まった。 創刊から現在まで約800冊のレビューを収録。 エッセイ、対談も収めたSFファン必携の一冊。 創元SF文庫は2023年、創刊60周年を迎えました。 1963年9月に創元推理文庫SF部門として誕生し、フレドリック・ブラウン『未来世界から来た男』に始まり、1991年に現行の〈創元SF文庫〉という名称への改称を挟んで、これまでに800冊近い作品を世に送り出してまいりました。 エドガー・ライス・バローズの《火星シリーズ》やE・E・スミスの《レンズマン》シリーズをはじめ、ジョン・ウィンダム、エドモンド・ハミルトン、アイザック・アシモフ、ロバート・A・ハインライン、レイ・ブラッドベリ、J・G・バラード、アン・マキャフリー、バリントン・J・ベイリー、ジェイムズ・P・ホーガン、ロイス・マクマスター・ビジョルド、そして近年にはアン・レッキーやN・K・ジェミシン、

                                                                        日本最古の現存する文庫SFレーベルの歴史を余すところなく解説した史上初の公式ガイドブック『創元SF文庫総解説』が12月25日発売!
                                                                      • 英国の著名人が語る「一番嫌いな本」 - YAMDAS現更新履歴

                                                                        boingboing.net もともとは2003年、つまりは20年近く前に Independent 紙が行ったアンケートに基づく記事だけど、英国の著名人に「一番嫌いな本」を語ってもらうという企画で、Boing Boing もよくこんな古い記事を Wayback Machine から引っ張り出してきたものだ。 各界の著名人が回答しているが、日本ではなじみのない人も多いというのもあり、個人的に気になったのは以下のあたり。 まずは小説家のJ・G・バラードだが、彼が挙げるのはジェイムズ・ジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』である。 このジョイスのちんぷんかんぷんな小説は、何世代にわたり英文学の教授たちに食い扶持を与えてきたが、20世紀の小説における、難解さを突き詰める嘆かわしい傾向を象徴している。『フィネガンズ・ウェイク』は、モダニズムが自らの基礎を消失した最良の例である。 「ちんぷんかんぷんな小

                                                                          英国の著名人が語る「一番嫌いな本」 - YAMDAS現更新履歴
                                                                        • SF不思議図書館 愛しのジャンク・ブック 第6回 音楽とSFの交叉点 : Web東京創元社マガジン

                                                                          2019年06月20日17:00 by 東京創元社 SF不思議図書館 愛しのジャンク・ブック 第6回 音楽とSFの交叉点 カテゴリSF 【はじめに 不思議な海外SFを探したり読んだり】 【第1回 クイズに答えてSF博士になろう】 【第2回 超人作家シルヴァーバーグ】 【第3回 隕石衝突から始まるヒーローの系譜】 【第4回 SFの料理と饗宴】 【第5回 もうひとつの『高い城の男』】 SF不思議図書館 愛しのジャンク・ブック 第6回 音楽とSFの交叉点 小山 正 tadashi OYAMA 1 マイケル・ムアコックの新譜CD! 「SF不思議図書館」が所蔵するのは書籍だけではない。関連するレコード、CD、ビデオ、DVDなども可能な限り網羅するのが、当図書館の方針である。 その視聴覚コーナーに最近加わったのが、2018年に発売された音楽CD An Alien Heat(輸入盤のみ・Gonzo Mu

                                                                            SF不思議図書館 愛しのジャンク・ブック 第6回 音楽とSFの交叉点 : Web東京創元社マガジン
                                                                          • 本日のクラッシュ!/AC Unit Falls From Brooklyn Building, Hits Firefighter - 日々の与太

                                                                            Brooklyn: An @FDNY firefighter was injured after an air condition came tumbling out of a window while battling a 2nd alarm fire this morning at 20th Avenue & 85th Street in Bensonhurst. pic.twitter.com/xav6VVjYje — NYC Scoop (@NY_Scoop) January 25, 2021 1月26日付ヴィデオ。日本語報道としては、「【まさか】落下した『エアコンの室外機』…消防隊員の命は? アメリカ(2021年1月29日放送「news every.」より)」(【公式】日テレNEWS、YouTube)がある。日本の民放ヴィデオは比較的さっさと削除されてしまうので、そちらは諦め、上

                                                                              本日のクラッシュ!/AC Unit Falls From Brooklyn Building, Hits Firefighter - 日々の与太
                                                                            • 【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ編の中国アンソロジー第二弾! - 牧眞司|WEB本の雑誌

                                                                              『月の光 現代中国SFアンソロジー (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)』 劉 慈欣,ケン リュウ,牧野 千穂,大森 望,中原 尚哉,大谷 真弓,鳴庭 真人,古沢 嘉通 早川書房 2,420円(税込) 商品を購入する Amazon HonyaClub HMV&BOOKS honto 『折りたたみ北京』に続く、現代中国SFを紹介するアンソロジー。編者ケン・リュウは「序文」で、こう告げる。 包括的であったり、代表的であったりすることを狙いとした計画は失敗に終わる運命にあり、いわゆるベストの作品を選出するというたいていの方法にわたしは疑念を抱いている。 (略)完璧な作品を選ぶことがいいとはわたしは考えていない----それどころか、一箇所いい点がある作品は、なにも悪くない作品よりもはるかに優れていると考える。 (引用文中の太字で示した箇所は原文では傍点) この方針が素晴らしい。減点法で無難な秀作を選ぶ

                                                                                【今週はこれを読め! SF編】ケン・リュウ編の中国アンソロジー第二弾! - 牧眞司|WEB本の雑誌
                                                                              • 遺伝子の生存戦略としての本棚の中身 - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸

                                                                                はてなブログにこんな企画があるみたいね。 blog.hatena.ne.jpなるほど、今週のお題ってやつ、いいね。 これに取り上げられたら、自尊心を得る機会が極めて少ない独身男性の自分も、束の間の承認欲望を満たせるかもしれないね。 よし書くぞ。 今週のお題「本棚の中身」 まず「本棚の中身」について、考えた。 もちろん、自分にも本棚もあるが、ほとんど裁断して電子化してしまったので、面白いものではない。 そこで「本棚の中身」について、もっと主語を大きくして考えたところ、3つの性質が浮かび上がった。 それは、 ・自己顕示欲の充足およびステータスシンボルや生物学的強さの象徴 ・リビドーが変容して人間ではなく物質に向けられた事例 ・ミニマリストなど、本棚を持てない人間が生み出したルサンチマン だ。 それぞれ、語っていこう。 自己顕示欲の充足およびステータスシンボルや生物学的強さの象徴 ピンとくる人も

                                                                                  遺伝子の生存戦略としての本棚の中身 - 逆寅次郎のルサンチマンの呼吸
                                                                                • 血を分けた子ども | ele-king

                                                                                  言うほどSFファンでもないぼくがオクタヴィア・E・バトラーを知ったのは、ご多分に漏れずアフロ・フューチャリズム研究における先駆者のひとりに名前があったからだった。いや、「ご多分に漏れず」とは、我ながら偏見に満ちた言い回しだ。彼女の小説は、「ご多分に漏れず」フェミニズムの文脈でも読まれているのだから。ぼくがこれまで唯一読んだことのあるバトラー作品は、ハードカヴァーの、山口書房から刊行された『キンドレッド―きずなの招喚』だ。読む前に想像したのはサミュエル・R・ディレイニーの、たとえば『バベル-17』や『アインシュタイン交点』のような、カウンター・カルチャーにも汲みするニューウェイヴSF的な思考実験を詩的に展開するスペキュレイティヴ・フィクションだったけれど、読後に思ったのは、これはJ・G・バラードというよりもアリス・ウォーカーに近いということだった。待望の翻訳、『血を分けた子ども』を読んだいま

                                                                                    血を分けた子ども | ele-king