■ 首を長くして到着を待っていた『ジョージ・ケナン』(リー・コンドン著)が昨日、届き、早速、読み始める。 コンドンは、歴史学者であり、ジェームズ・マディソン大学名誉教授という肩書き持つ人物である。 ジョージ・ケナンは、冷戦初期の「封じ込め政策」立案の主導で知られているけれども。彼の百一年の生涯の後半半世紀は、歴史研究と外交評論に費やされていた。コンドンの著作は、そうしたケナンの「思想」に焦点を当てている。 コンドンの著作の中に印象深い記述があった。 「ケナンにとっては、リアリズムとは、穏健さ、均整の感覚、限界の認識という姿を取るものであった」。 ここでいう「均整の感覚」(SENSE OF PROPORTION)というのは、ただ単に「二つの間で平衡を保つ」というものとは比べるべくもない複雑さを受け容れることを求めている。様々なファクターの中で、どれか一つや二つの価値を過剰に重んじないというこ