山形浩生 『atプラス04』2010年5月 特集:エコノミストはなぜ経済成長の夢を見るか? 要約:経済成長は本当に必要なのかどうかとか、それが要るのはわからなくもないが、橋本治は個人としてはなくてもかまわないとかいう話。 ——橋本治さんは『大不況には本を読む』(中公新書ラクレ、二〇〇九年)の中で、「いるんだかいらないんだかわからないものを買って経済を拡大させる」という、成長が前提となった産業革命以後の体制にブレーキをかけ、「自分のものは自分で作る」という、経済タームでは「保護主義的」と呼ばれるあり方を、人間のあり方に立脚する立場から「自立」として提案されました。しかも、「我が身のありよう」を考えるのも大事なら、現実生活を維持するために働く「金稼ぎ」も大事であり、これは二者択一の問題ではなく、両者は両立して存在すべきだと書いていらっしゃいます。だからこそ、「大不況」という経済の話と、人のあり