「貧者を殴り倒そう」(『パリの憂愁』) [解説] 世界はやがて終わりだ(「火箭」15) ボードレール語録 (岩波現代文庫) 発売日: 2013/04/17メディア: 文庫 「貧者を殴り倒そう」(『パリの憂愁』) それまでの二週間、私は部屋に閉じこもって、当時(十六年か十七年前)流行の書物にとり囲まれていた。私が言いたいのは、諸国民を二十四時間で幸福に、賢明に、裕福にする術が論じられた書物のことだ。というわけで私は、あの公共幸福業者たちすべての、――貧者たちすべてに奴隷になるように勧める者たちや、貧者はみな廃位の王なのだと貧者たちに信じさせようとする者たちの、――珍案をことごとく吸収した、――いや、鵜呑みにしたのだった。――私がそのとき昏迷あるいは愚鈍に近い精神状態にあったとしても驚くには当らないだろう。 (略) そして、ひどく咽喉が渇いた私は外出した。というのは、ろくでもない本を入れ込んで