高校を出て、地元の県庁所在地に風呂なし四畳半の部屋を借り、フリーターやりながらバンドをやってた頃、キングビスケットレコードという、6、70年代ロックやソウル、ブルース、オールディーズポップスを中心にした品揃えの中古レコード屋によく通っていた。 店主のおじさん(といっても、今の自分よりも若かったはず…)はザ・バンドをこよなく愛するサザンロック、スワンプロックのファンで、大抵いつ行ってもうるさ方の常連客と話し込んでいた。 そんな客の一人に、たぶん若い頃激しい気持ちでロックにのめり込んで、楽な生き筋を踏み外したのだろう(と、20歳そこそこのヤングからは見えた)、小柄で細身な労務者風のおじさん(といってもおそらく30そこそこ…)がいた。 日々の疲れと不満と、ディープな音楽ファンとしての自負とを同時に漂わせ、険のある早口で自意識過剰気味に喋る彼は、おそらく背伸びして渋い音楽を勉強中の若造のことなど、