医学は自然科学であり、その応用である診療において、できるだけ科学的な根拠に基づいた診断や治療が必要とされています。エビデンスベーストメディスン(事実に立脚した医療)という言葉が現代医療のスローガンになっているのはそのためです。 さて、以上は一般の疾患についての話ですが、子ども全体の7%が該当すると推測され社会的に大きな関心がよせられている発達障害の診療においても、表題にあるような過剰な医療が行われているのではないか、という私の積年の疑問について書きたいと思います。じつはこの問題は、近年私のもっとも憂えている問題であり、考えだすと夜も眠れないほど私を悩ませている問題なのです。 まず過剰検査についてです。 発達障害(注意欠陥多動性障害、自閉症スペクトラム、学習障害)の診断には、学習障害を除いて、この検査をすれば診断ができるといった検査がありません。血液検査や脳波検査、MRIなどの脳機能画像、さ