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なぜ戦い、なぜ死ぬ。『兵士というもの』 画期的史料を歴史学と心理学で分析 ナイツェル/ヴェルツァー『兵士というもの――ドイツ兵捕虜盗聴記録に見る戦争の心理』小野寺拓也訳 2018.04.12 「敵を知り己を知れば百戦危うからず」 孫子の有名なこの言葉をエピグラフに、本書は巻末の補遺で盗聴記録史料の来歴を述べている。それによれば、はじまりは1939年にイギリスが設置した「尋問センター」である。戦争には敵情の偵察やスパイ活動など情報収集活動がつきものだが、戦争の近代化にともなって無線通信の傍受、空中偵察などによる情報解析の重要性が増した。さらにそこに加わったのが、捕虜からの情報収集である。尋問センターは、捕虜の監房に小型盗聴器をしかけ、兵士同士の会話を体系的に記録し軍事的に有効な情報を入手解析することになっていた。現代的な諜報機関発祥の地であるイギリスが考案したこの手法は、第二次世界大戦が勃発
地政学とリアリズムの視点から日本の情報・戦略を考える|アメリカ通信 国際情勢の中で、日本のとるべき方向性を考えます。地政学、リアリズム、プロパカンダの観点から、日本の真の独立のためのヒントとなる情報を発信してゆきます。 第1章 戦争とは何か 『戦争論』の第1編は、「戦争の本質について」であり、その第1章は、「戦争とは何か」である。ここでは、『戦争論』の第1編を通じて、「戦争とは何か」を理解しよう。○ 理論上の戦争と定義 ○ 現実の世界における修正 ○ 戦争の更なる定義 ○ 戦争理論の結論 ○ 戦争における目的と手段 ○ 戦争における摩擦 ○ 軍事的天才 クラウゼヴィッツが唯一完全と認めた部分 『戦争論』の第1編の位置付け 『戦争論』第1編では、戦争の本質が追求される。その第1章は、『戦争論』のエッセンスが凝縮された、もっとも重要な部分である。 このページの先頭に戻る ○『戦争論』の趣旨が凝
約1万年前のアフリカで起きた「人類最初の戦争」から核兵器の発明と使用、ドローンなどの最新技術が投入されたロシア・ウクライナ戦争まで――。文明の進歩に伴い急速な変化を続けてきた戦争の歴史を一冊に凝縮した『戦争と人類』(著:グウィン・ダイヤー、翻訳:月沢李歌子/ハヤカワ新書)。 ここでは本書より、「戦争の起源」と「チンパンジーの戦争」について、一部改編・抜粋して紹介する。(全2回の1回目/続きを読む) 戦争はいつから行なわれているのか 人類は戦争を生みだしたのではない。受け継いだのだ。人類のもっとも遠い先祖も戦争をしたし、進化の隣人であるサルも戦争をする。だが過去2世紀のあいだ、戦争は文明とともに発展したもので、狩猟採集民である祖先たちにとっては重要な問題ではなかったと考えられてきた。 18世紀半ばにその考えを強力に推し進めたのが、影響力の大きかった啓蒙主義の思想家ジャン゠ジャック・ルソーだ。
ウクライナ軍に3万機以上のドローンを供給してきた軍事援助ボランティア(Come Back Alive)は「米国の小型ドローンは未成熟だ」と明かし、Wall Street Journalは「ウクライナで米国製ドローンが存在感を失っているは当局の規制に原因がある」と報じた。 参考:How American Drones Failed to Turn the Tide in Ukraine 戦いの優劣は左右するのはシステムのスペックではなく適応へのスピードAIを搭載した小型ドローン開発に挑戦しているスタートアップ企業らは「伝統的な大手企業が製造する軍事用ドローン」ではなく、早く安く供給できる商用ドローンの開発に照準を合わせており、米国を拠点とするドーロン関連企業(約300社)にも過去2年間で25億ドルの資金がベンチャーキャピタルから流れ込んでいるものの、ウクライナ当局は「米国製ドローンは壊れやす
ウクライナは、ロシアが築いた強力な塹壕(ざんごう)による防衛線を突破できず苦しんでいます。ザルジニー総司令官は英誌エコノミストの取材に「このままでは長期戦は必至。そうなれば敗戦が濃厚になる」と答えていました。 苦戦が生み出す内部分裂 3歩しかないというのは厳しいですね。 小泉氏:西側からの支援が遅れ、苦戦が続く中で、ウクライナ内部で結束の乱れが目立つようになってきました。まず、ゼレンスキー大統領とザルジニー総司令官との間に隙間風が吹いています。 加えて、アレストビッチ元大統領府長官顧問がX(旧ツイッター)上でゼレンスキー大統領を激しくののしっています。23年1月に失言のため解任されたのを逆恨みしての行動と見られます。 アレストビッチ氏は、もし大統領選挙を実施するのであれば立候補するとして、公約も発表しました。この中で注目すべきものとして「被占領地の軍事的奪還を求めない」があります。これを条
残酷な事件や戦争を目の当たりにすると、「人間って争ってばかりの残酷な生き物だよね……」と感じてしまう人も多いと思います。『ざっくりわかる8コマ人類史』(監修/更科功 まんが/木下晋也)では、そんな人類にまつわる謎や疑問や迷信を、8コマまんがでざっくりゆる~く解説。今回は、人類は本当に残酷な生き物なのか?についてみていきましょう。 【人類について知る!8コマまんが】 * * * 前回の「浮気は人間の本能」 そんな言い訳を人類「進化」の観点で論破するでは、「人類は一途な生き物である」と解説しました。実は、「人類の一途さ=一夫一妻制」は人類に、直立二足歩行以外の「進化」ももたらしたことがわかっています。 それは4本ある牙、つまり「犬歯」の縮小です。チンパンジーやゴリラ、ボノボといった類人猿は、いずれも氷柱(つらら)のように鋭く大きな牙を持っています。実際にチンパンジーは、オス同士で争ったとき
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ハマスによる越境攻撃への報復として、イスラエル南部の境界付近からガザ地区を砲撃するイスラエル兵(11月6日) AP/AFLO <失われたアメリカの情報・判断力への信頼、民主主義国連合の亀裂。居直った中国とロシアがグローバルサウスを取り込み、世界の多極化を狙う> 今回のガザ戦争、その余波はどこまで広がるのだろう? 私見だが、悪しき地政学的展開が起きても、たいていは逆の好ましい力が働いて均衡を取り戻し、世界地図で見れば点のような場所で起きた出来事の余波が遠くまで広がることはない。危機や戦争が起きても、たいていは頭を冷やしたほうが勝つから、その影響は限定される。 だが例外はあり、今回のガザ戦争はそうした不幸な例外の1つかもしれない。 もちろん、第3次大戦の瀬戸際だと言うつもりはない。これが中東全域を巻き込む紛争に拡大するとも思っていない。 その可能性は排除できないものの、今のところ、レバノンのイ
東北大学大学院卒業。会社経営者。哲学や科学など敷居の高いジャンルの知識を、楽しくわかりやすく解説したブログを立ち上げ人気となる。漫画『グラップラー刃牙』の熱烈なファンとしても知られる。著書に『史上最強の哲学入門』『史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち』『飲茶の「最強!」のニーチェ』『14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト』(いずれも河出書房新社)などがある。 正義の教室 ソクラテス、プラトン、ベンサム、キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは? 20万部突破のベストセラー『史上最強の哲学入門』の飲茶氏が、初のストーリー形式に挑みます! バックナンバー一覧 「30人の幼児と自分の娘、どちらを助ける?」 ソクラテス、プラトン、ベンサム、キルケゴール、ニーチェ、ロールズ、フーコーetc。人類誕生から続く「正義」を巡る論争の決着とは?
玉音放送、わかりやすく現代語訳してみた。「戦争を継続すれば我が民族の滅亡を招くだけでなく、人類の文明も破壊される」太平洋戦争の終結を告げた昭和天皇のメッセージ。麗澤大学の川上和久教授の監修で、わかりやすい現代文にしてみました。 8月15日は「終戦の日」。1945年8月15日正午、昭和天皇が話す声の録音がラジオで流れ、ポツダム宣言を受諾することを国民に告げました。太平洋戦争の終結をアナウンスした「玉音放送」です。 この玉音放送で昭和天皇が読み上げた「終戦の詔書」は漢文調で難解な文章だったため、当日、その放送を聞いた国民の多くはその内容がほとんど理解できなかったとも言われています。現代を生きる私たちなら、なおさらわかりません。 そこでBuzzFeed Japan編集部では、「終戦の詔書」をなるべくわかりやすい文章で現代語訳しました。現代語訳するにあたっては、『【永久保存版】CDブック 昭和天皇
「暴力」について考えてみたい。 というのも、幸村誠の歴史冒険マンガ『ヴィンランド・サガ』がクライマックスに到達しているからだ。 ヴィンランド・サガ(27) (アフタヌーンコミックス) 作者:幸村誠 講談社 Amazon 戦争を嫌い、平和を求めるこの物語の主人公トルフィンの物語はかつて夢見た理想の地「ヴィンランド(アメリカ大陸)」に到達し、そこで小さな村を作り出すに至っている。 しかし、しだいにそこにも戦乱の影が忍び寄ってくる。はたしてすべての暴力を否定するトルフィンたちは戦争を止めることができるのか――と、考えるだけで胃が痛くなるような展開が続いているのである。 それではなぜ胃が痛くなるかといえば、そもそも「すべての暴力を否定する」ことはどうにも不可能なのではないかと思えるからにほかならない。 たしかに、暴力は悪だろう。殊に弱者に対する暴力は絶対に否定されるべきものでもあるだろう。 しかし
浦上地区 長崎市の北部の地域で、 17世紀から19世紀における潜伏キリシタンの中心地として 現代には原子爆弾の被害を受けた中心地として知られている。 歴史上、初めて浦上という名前が出現したのは15世紀。16世紀には全村がキリシタンと言われていた。17世紀に入り、キリスト教の禁教令が出たのちも、約250年間にわたって、信仰を守り通した。
左:1932年測量1947年発行 右:1932年測量 1938年発行 大久野島が不自然に消されていることが分かる。 出典:国土地理院発行5万分の1地形図 国立公園に指定される周囲約4kmの大久野島(広島県竹原市)は、約900羽ものうさぎが生息する「うさぎの島」として知られ、国内外を問わず毎年多くの観光客が訪れます。しかし、そんな大久野島は、かつて「地図から消された島」と呼ばれていました。その理由は、1929~1945年(昭和4~20年)まで、日本の化学兵器製造拠点として第二次世界大戦で使用するための毒ガスの製造を行う、重大な国家機密の島として地図からも消されていたことにあります。大久野島には現在も毒ガス製造に関わる史跡が残り、戦争の悲惨さを訴え続けています。 大久野島の戦争遺跡_発電所跡 第二次世界大戦時、毒ガスを製造するための電力を供給していた発電所で、当時は重油を燃料とした発電機が8基
よく分からない理由で吹っかけられる戦争がある 戦争を始めるには、指導者にどんな下心があるにせよ、一応皆を納得させられる大義名分が必要です。 ただ歴史を眺めてみると、どう考えても理不尽極まりない理由で始まった戦争も少なくありません。戦争は合理的に始まり合理的に終わると考えるのは、合理主義者が陥りがちな罠ですが、どう考えても理性的じゃない理由で戦争をふっかけられる場合もあるものです。 1. 野良犬戦争(1925年) 兵士が野良犬を追いかけ回し開戦 第二次バルカン戦争と第一次世界大戦で敵同士だったギリシャとブルガリアは、国境線を巡っていさかいが続いていました。互いに罵り合い、煽り合い、不信感が高まり、どんな些細なきっかけでもエスカレーションが起こる危険性が高まっていました。 この戦争は両軍が睨み合うペトリッチと呼ばれる国境地帯で起こりました。 1925年10月22日、あるギリシャ兵が野良犬を追い
こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。今月頭に、確定申告書を提出しに自転車で税務署に行ったついでに調子のって久々に少し遠出したら、翌日から足腰すべてが筋肉痛。歩くたびに「痛たた……」とうめく情けない状態で、日頃の運動不足を反省。そればかりか筋肉痛が治るのにも1週間近くかかったことで、老化が進んでいることも思い知らされ、へこみました。 とまあ、そんなちっぽけな苦労話がふっとぶくらいに大変な事態が、世界ではいまも進行中です。 戦争ほど理不尽なものはありません。戦争は、やりたいヤツが始めるのに、やりたくない者まで巻き込まれます。そして往々にして、やりたくない者が先に死んでいき、戦争を始めたヤツはヘリクツでおのれを正当化しつつ、のうのうと生き続けるのです。 戦争をやりたいヤツだけでやるのなら、どうぞご勝手にといえるけど、そうじゃないから、理不尽に対しては異議申立てをしなければいけません。黙ってガ
少し以前のことだが、あるベンチャー企業のドキュメンタリーをみていた時のことだ。 その会社では、社運を賭け画期的な生活家電の製造・販売に乗り出し、デパートの催事場で展示即売会を仕掛けるという。 出陣式のようなものまで開き、やる気みなぎるように見えるシーンには熱気を感じる。 しかしいざフタを開けてみれば、販売目標50台に対して売れたのはたったの10台。 営業部長以下、社員全員が意気消沈してしまい、社に戻るとさっそく反省会を始めることにした。 そしてその際、社員たちから出てきた反省の言葉は要旨、以下のようなものだった。 「お客様から質問をして頂いても、ほとんど答えることができなかった」 「新機能をどのように使うのかなど、生活に即したアドバイスができなかった」 表現はそれぞれだが、社員たちの言葉は製品を理解していないために売れなかった、という趣旨のものだった。 それらの言葉を受け、営業部長は居合わ
もう作戦成功に対する欲望も、失敗に対する心配もない 12月8日、1時30分に第一次攻撃隊が発艦したのであるが、私はその前夜、午後6時から8時までの間、艦橋下の作戦室でぐっすりと眠った。気持ちのよい眠りを終わってそとに出て見ると、飛行甲板の上には、既に第一次攻撃隊に参加する飛行機は整然とならべられ、暗黒の中にエンジン試運転のゴーッという音が聞こえ、排気管からは青白いほのおが出ていた。 私はそれを見ながら階段をのぼって艦橋に立ったのであるが、ふと気がついてみると、不思議な心の状態を感じた。数時間前まで心の中にわだかまっていたもろもろの不安や妄想が、跡形もなくきれいに消え去って、全くすがすがしい気持ちであった。もう作戦成功に対する欲望も、失敗に対する心配もなかった。自分で明鏡止水とはこんな心境を指すのではないかと思った。無我の境というのであろうか。それまで36年の生涯に、こんな気持ちになったのは
日本の終戦記念日は8月15日だが、アメリカでは日本が降伏文書に署名した9月2日を「戦勝記念日」としている。そのアメリカに住んでいると、日米開戦の引き金となった真珠湾攻撃について尋ねられることがある。ニューヨーク在住で日米中の歴史に詳しい作家の譚璐美氏は、つい先日もそんな質問を受けて……。 留学前に日本の歴史を学ぼう コロナ下の東京オリンピックが終わり、間もなく終戦記念日がやってくる。日本では8月15日、ラジオで昭和天皇が玉音放送を行い、「ポツダム宣言」を受諾したことを国民に告げた日を終戦記念日としている。これに対してアメリカでは、9月2日、東京湾に停泊した米戦艦ミズーリ号の甲板で、日本が連合国軍に対して降伏文書に署名した日を「戦勝記念日」としている。 私が長年アメリカに住んでいるせいか、日本の大学生からしばしば、「アメリカへ留学したいのですが、どんな準備をしたらよいですか?」と聞かれること
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