政治的価値観が「定食メニュー化」しにくい日本 政治化したイデオロギーや価値観には、異なる人びとを結び付け、互いに連帯感を持たせる効果がある。実際には対立がないはずの分野で、政党の対抗意識によって新たな対立が生まれ、分断が深まることもあれば、政党が複数の価値観を結び付けて定食メニュー化を図ることもある。 前出のトランプ現象の場合は、人々の社会的価値観をめぐる対立の方が根深いことを的確にくみ取った結果、選挙における中心的なメッセージが社会保守的主張と中道の経済政策の組み合わせとなった。これは共和党が民主党に歩み寄ったのではなくて、分断の力点を経済から社会問題へと動かした例である。 ところが、社会的イデオロギーが分極化していない日本ではそもそも「価値観の定食メニュー化」が成り立っていない。その結果、有権者が「教化」されにくく、革新勢力のなかに女性差別が残ってしまったりする構造がある。 例えば、主