記事:筑摩書房 iStock/Georgijevic 書籍情報はこちら 138億年の物語 現代版のオリジン・ストーリー(万物の起源の物語)という発想が関心を集めている。私が興味を持ったきっかけは、1989年にオーストラリアのシドニーにあるマッコーリー大学で初めて教えた万物の歴史についての講座だった。私はその講座を人間の歴史を理解する一つの方法と見ていた。当時、私はロシアとソヴィエト連邦の歴史を教え、研究していた。だが、民族あるいは帝国の歴史(ロシアは民族でも帝国でもあった)を教えると、最も根源的なレベルで人間は競合する部族に分かれているという意識下の(サブリミナル)メッセージを伝えてしまうのではないかと心配だった。核兵器を持つ世界にあって、そんなメッセージは、ためになるのだろうか? キューバ・ミサイル危機のとき、高校生だった私は、人間がこの世の終わりを目前にしていると思ったことを、ありあり