■ロシアのウクライナ侵攻で自動車業界はどう変わる ネットスラングとして「おそロシア」といった表現を使うことは昔からありましたが、そんな茶化していられる状況ではなくなっています。 ご存知のように、2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始したことが報じられています。その後も事態は悪い方向に進んでおり、一部では第三次世界大戦に拡大するのでは? という声もあがっているほどです。世界中がその展開に注目しています。 日本では、ロシアの動きが他国に影響して、日本が侵攻されるような事態になるのではという心配が多いようですが、隣接する欧州ではもっと切実な事態といえます。その中で、EU圏の自動車業界が進めてきた電動化への動きに変化が起きそうなムードも生まれています。 キーワードは「天然ガス」です。 ●EUのプランB「水素戦略」が始動するか 燃料電池車をリードするトヨタ。MIRAIはRWDのフラッグ
■豊田章男社長曰く、水素エンジンは意志ある情熱 9月18日(土)〜19日(日)、鈴鹿サーキットで開催されたスーパー耐久レース第5戦。 水素エンジンを搭載したカローラスポーツは、この鈴鹿戦で3戦目のチャレンジをしました。今回のチャレンジでは水素を「使う、作る、運ぶ」という3つの要素の中から、特に「運ぶ」を重点テーマとしています。 水素エンジン搭載のカローラスポーツ 18日(土)には、水素エンジン搭載カローラスポーツをドライブするMORIZO選手ことトヨタ自動車社長の豊田章男氏も登壇する記者会見が行われました。 トヨタ自動車 豊田章男社長 豊田社長はカーボンニュートラルの選択肢として、EVだけにこだわらず、内燃機関として水素を燃焼させる水素エンジンも視野に入れることで、これまでの自動車業界を支えてきた関連企業の550万人の雇用を守るもの、としています。 その水素エンジンは、これまで基礎研究の段
■一充填走行距離約750kmのFCV「クラリティ フューエル セル」 2020年6月11日、ホンダは燃料電池車(FCV)の「CLARITY FUEL CELL(クラリティ フューエル セル)」を、従来の自治体や企業を中心としたリース販売に加えて、個人向けにもリースを展開しました。 ホンダは、日常の使い方や走りなどの各データの検証、水素ステーションの拡充状況とユーザーの使い勝手を踏まえた販売検討を進め、今回、個人向けに同燃料電池車のリース取り扱いを始めたそう。 一般向けにもリース販売を開始したホンダ・クラリティ フューエル セル 2019年12月19日に一部改良を受けた「クラリティ フューエル セル」は、一充填走行距離は約750kmで、EVよりも航続距離が長いのが特徴です。 全国的に見れば水素ステーションの数は少なく、営業時間が限られるケースがあるなどの課題があるものの、一回あたりの水素充填
■CO2を排出しない究極のエンジンだが ●発熱量の小ささや異常燃焼など課題が多い 水素を燃料とする燃料電池車(FCV)は、現在もっとも注目されている次世代車のひとつです。一方で、水素をエンジンで直接燃焼させる水素エンジンは古くから研究され、過去にマツダはレンタル販売、BMWは限定的ですが市場に投入しています。 水素エンジンの今後の可能性について、解説していきます。 ●水素エンジンとは 水素を燃料にしてエンジンで燃焼させる水素エンジンは、理論的には燃焼によって水は生成しますが、CO2は排出しない「究極の低エミッションエンジン」といえます。また既存のエンジンの改良で対応できるので、FCVのように大きなコストアップもありません。 日本では、武蔵工大(現東京都市大)の古浜教授らが1970年代から水素エンジンの研究を進め、試作車を製作しました。2000年頃には、日本ではマツダ、欧州ではBMWが水素エ
■高圧圧縮、液化、金属への吸蔵が主な方法 ●コストダウンにはブレークスルーが必要 水素は気体燃料なので貯蔵容積が大きくなり、車載上の制約が課題です。FCV用の水素は、気体を圧縮して高圧ボンベに貯蔵するのが一般的で、トヨタ・ミライFCVやホンダ・クラリティFCVも高圧水素ボンベを車載しています。 水素の3つの車載方法である高圧水素ボンベ、液体水素、水素吸蔵合金について、解説していきます。 ●3つの水素車載方法 水素は体積当たりのエネルギー密度が低いため、これをどのような手段で高い密度に維持して車載するかが課題です。 現在FCVでは、気体として高圧ボンベに貯蔵するのが主流です。トヨタ・ミライFCVやホンダ・クラリティFCVも高圧水素ボンベを車載しています。その他、ロケットなどで採用している液体で貯蔵する液体水素と、まだ実用化レベルにはありませんが金属に吸蔵させる水素吸蔵合金などの方法があります
■電解質によって4つに大別できる ●自動車には固体高分子型が最適 燃料電池車(FCV)の心臓部である燃料電池(FC)は、充放電を繰り返して使う電動車用の2次電池とは異なり、自ら電気を発電する「発電装置」です。 水素を燃料として酸素との化学反応によって発電する燃料電池の基本原理から課題まで、解説していきます。 ●燃料電池の種類 燃料電池には、いくつかの種類がありますが、基本的な概念や仕組みは同じで、使用する電解質によって作動温度や効率が変わります。代表的なものとしては、固体高分子型(PEFC)とリン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)の4種類があります。 その中で小型で軽量な固体高分子型燃料電池(PEFC)が、家庭用エネファームや自動車用燃料電池として使われています。PEFCの発電効率は30~40%と他に比べて低いですが、小型軽量に加えて作動温度が常温~90℃
●第15回 国際 水素・燃料電池展 は270社が集まったB to Bの展示会 2019年2月27日から3月1日までの3日間、第15回 国際 水素・燃料電池展 FC EXPO 2019(主催:リードエグジビション ジャパン)が、東京ビッグサイトで開催されました。基本的にはB to Bの展示会ですからモーターショーのような華やかさはあまりなく、すぐにビジネスにつながるような技術やアイデアがところ狭しと展示されているといったイベントです。 270社が出展しているということですから、燃料電池といっても自動車関係だけではなく、定置型のユニットも展示されていますし、水素ステーション用のアイテムも見ることができました。水素を通すためのホースや漏れを検知するセンサーといったシステム構築に欠かせない専用品も数多く展示されています。 ●再生可能エネルギーによる水素サプライチェーンという未来 自動車メーカーとし
EVシフトが注目される中、FCV(燃料電池車)はインフラ整備に莫大なコストが掛かることから普及に関して懐疑的な見方もあります。 そんな中、2018年11月21日、ホンダは高圧水電解型の水素ステーション「スマート水素ステーション(SHS)70MPa」の受注を開始しました。本体は、奥行2250×幅3700×高さ2500mmというコンパクトサイズで、水素製造量は2.5kg/日。水素貯蔵量は約15kg @15℃となっています。 ホンダの「SHS 70MPa」は、FCVに供給する高圧水素を製造、貯蔵、充填する装置で、高圧水電解型の水素ステーションとして世界初(ホンダ調べ)となる充填圧力70MPa(メガパスカル)、製造圧力82MPaを実現。なお、充填圧力は条件により変動します。 環境省の支援制度を活用し、2016年10月に東京都江東区青海で開始した実証実験を経て商品化。この実証実験は、環境省の「CO2
東京オリンピック・パラリンピックまでに100台以上の普及を目指す、トヨタの燃料電池バス「SORA」。 トヨタグループによる燃料電池バスは、かつて愛・地球博で運用したこともあり10年以上の歴史を持ちますが、国内で初めて型式認証を取得したのが「SORA」なのです。バス停で乗り降りする、いわゆる路線バス用として生まれた燃料電池バスであり、その燃料電池システムは世界初の量産型燃料電池車といえるトヨタ「MIRAI」ゆずりというのが特徴です。 もちろん、4人乗り乗用車「MIRAI」のパワートレインで定員79名の路線バスを動かすというのは現実的ではありません。ルーフ上に搭載された燃料電池スタックや通常のバスではエンジンが置かれるボディ後方に配置された駆動モーターは、MIRAIの2台分を搭載。さらに変速比を最適化することでバスを動かすのに十分なパフォーマンスを実現しています。 その合計出力は226kW(3
水素を使う燃料電池のメリットは、単にゼロ・エミッションであることだけではありません。需要に合わせた電力供給がむずかしい太陽光や風力といった再生エネルギーによる発電を安定供給させるバッファであり、エネルギーを貯めるストレージとしての役割も期待されています。そうした未来に向け、2040年頃にはCO2フリー水素の商用化を目指すプロジェクトが愛知県で始まりました。 それが「知多市・豊田市再エネ利用低炭素水素プロジェクト」です。 愛知県内で再エネ由来の水素を製造、供給、利用する地産地消の低炭素水素サプライチェーンを構築することを目指すプロジェクトには、そうそうたるメンバーが参画しています。 自治体からは愛知県、知多市、豊田市が参加。民間企業では、中部電力株式会社、東邦ガス株式会社、トヨタ自動車株式会社、株式会社豊田自動織機が、このプロジェクトを推進します。
2016年10月、ホンダは高圧水電解型水素製造ステーションとして世界初となる充填圧力70MPa(メガパスカル)の「70MPa スマート水素ステーション(以下、70MPa SHS)」を東京都江東区青海に設置し、実証実験を開始しています。 70MPa SHSは、本体の床面積を従来よりもひとまわり小さい約6平方メートルに収めた小型サイズ。同社の独自技術である高圧水電解システムにより、圧縮機を使用せずに製造圧力77MPaの水素を24時間で最大2.5kg製造することができ、製造した水素は約11kg貯蔵可能でした。 2月28日(水)から3月2日(金)まで東京ビッグサイトで開催される「FC EXPO 2018〜第14回 国際 水素・燃料電池展〜」において、ホンダが考える近未来の身近な水素社会が紹介されます。 水素を「つくる」技術としては、先述した「SHS 70MPa」を展示。ただし、今回の「SHS 70
トヨタ自動車が水素燃料で発電、モーターで走行するFCV「MIRAI(ミライ)」のプロモーションの一環として、「空気をキレイにする看板」を製作。東京・名古屋・大阪の3都市に設置し、来年までの1年間に渡って大気を清浄する珍しい取り組みを開始しています。 看板自体に「光触媒」の特殊コートを施すことで、塗布面積1㎡あたり22.2mg/日のNOx(窒素酸化物)を除去する機能を有しており、期間中に乗用車約5,840台分相当の空気清浄効果を発揮するそうです。 ちなみに「光触媒」は、太陽や蛍光灯などの光の力を利用して、身の回りの有害な微生物や化学物質を分解・除去することが可能な技術で、今回活用する光触媒の「大気浄化機能」では、光化学スモッグの原因となる大気中の「NOx」等を吸着して無害化。 そのメカニズムは、光触媒効果により活性酸素が発生、光触媒に付着したNOxを酸化することで硝酸イオンや硫黄酸イオンに変
自動車各社が10月28日から一般公開がスタートする東京モーターショー2017への出展内容を次々に発表するなか、FCV(燃料電池車)を究極のエコカーと位置付けるトヨタ自動車は、二酸化炭素(CO2)を排出せずに水素燃料で走行する6人乗りのコンセプトモデル「ファイン・コンフォート・ライド(Fine-Comfort Ride)」の概要を公表しました。 同車は3分程度の水素充填で約1,000km(JC08モード)の走行が可能で、座席のレイアウトが自由に調整できるなど「自動運転時代のインテリア」を採用しています。 「Wearing Comforts(快適な空間に包まれる)」をテーマに、クルマが単に移動するための「乗り物」ではなく、乗員に移動以外の価値を提供する将来のモビリティを具現化。 自由な姿勢に調整できるシートを中心に、エージェント機能やタッチディスプレイを配置しており、乗員は自由に情報へのアクセ
「CEATEC JAPAN(シーテックジャパン)」はかつて家電の見本市でしたが、2016年から「脱家電見本市」を宣言。幅広いモノやサービス、テクノロジーのCPS/IoT総合展を名乗っています。 ホンダは10月3日から6日まで開催される「CEATEC JAPAN 2017」において、「スマート エネルギー ストレージ マネジメント」をテーマに、着脱可能な可搬式バッテリーと充放電機器で構成される「Honda Mobile Power Pack」システムを出展します。 さらに、高圧水素ガスの製造・供給を行う「スマート水素ステーション(SHS)70MPa」コンセプトも披露。自然の力を用いて創り出したエネルギーを貯蔵し、必要なときに取り出して使う、低炭素で効率的なエネルギーの利用・活用を提案すると発表しました。 「Honda Mobile Power Pack」システムは、再生可能エネルギーを利用し
経済産業省が水素燃料で走るFCV(燃料電池車)の早期普及を目的に、水素ステーションを設置・運営する際の規制を緩和、2018年度をめどに監督者や設備の要件など約20項目を見直すことにしたそうです。 設備の安全基準についても2019年度までにリスクを再評価するそうで、最新の技術や知見を反映し、過剰な安全基準は見直す模様。日経新聞によると、現状では水素ステーションの整備費が4~5億円、運営費が年間4~5,000万円程度かかるそうで、今後2020年までに安価な設備の開発や規制緩和などで整備費と運営費をそれぞれ半減させる考えのようです。 ちなみに、水素ステーションは本年8月末時点で91ヵ所開業しており、政府は東京五輪を開催する2020年度に160カ所、2025年度には320ヵ所まで増やす計画。 トヨタ自動車やホンダはFCVを「究極のエコカー」に位置付けており、経産省がFCVの普及に力を入れる背景には
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