半減期が30年の放射性物質セシウム137を固化する新たな材料を、物質・材料研究機構(茨城県つくば市)が開発した。 東京電力福島第一原子力発電所事故で、漏出したセシウムの処理に役立つと期待される。 水に溶けやすいセシウムは拡散しやすいため、回収後の安全な貯蔵法が研究されている。研究チームは、特殊な溶媒を加えた酸化チタンとセシウムを加熱し、電気分解した。その結果、強固な構造を持つ酸化物の結晶の中にセシウムが閉じ込められているのを確認した。 同原発3号機付近で見つかった高濃度汚染水を基準にすると、汚染水83・3トンに含まれるセシウムを角砂糖大の固化体に閉じこめたことになるという。 研究チームの阿部英樹・主任研究員は「固化によって放射能の遮蔽や埋蔵にかかわるコストを減らせる。実用化には、セシウムの効率的な回収技術との連携が課題だ」と話している。