梅毒の誤解を解く【2】 梅毒が増えていることを伝える報道が目立ちますが、私の実感は少し違います。世界中で増加の報告があり「増えている」ことは事実だと思いますが、私が院長をつとめる太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)では梅毒の新規感染は過去10年間でほとんど変わっていません。結論から言えば、最近になって急増しているのではなく以前から少なくなかった、というのが今回のポイントです。 これを説明するために興味深い症例を紹介したいと思います。2000年代後半の話です。 【症例1】20代男性~大学病院でも診断がつかなかった 上肢(腕)と下肢(脚)を中心に皮疹が出現。痛くもかゆくもないが次第に目立つようになってきたため近隣の医療機関を受診。そこでは診断がつかず、紹介状をもらって大学病院の皮膚科を受診したが、やはり視診では診断がつかず、皮膚の細胞の一部を取って顕微鏡で調べる生検が実施されました。しかしそれ
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