過激な性描写がある漫画やアニメソフトなどの販売規制に新たな基準を導入した東京都の改正青少年健全育成条例が、7月1日で施行1年になる。条例改正は出版界から「表現の自由の侵害だ」と猛反発を受けたが、今のところ新基準に抵触するとして指定された「不健全図書類」は1件もない。都は「条例の趣旨が理解された結果」と受け止めるが、創作現場からは「表現の萎縮が広がっている」との指摘も出ている。 「昨夏以降、どの版元(出版社)も性表現には今まで以上に注意している。新基準での不健全図書指定第1号という『不名誉』な称号は、やはり避けたいのが本音だ」。漫画雑誌などを出版する「少年画報社」(千代田区)の戸田利吉郎社長(66)は、業界内の空気をこう説明する。 性描写がある漫画やアニメを18歳未満にも売るかどうかを決めるのは、一義的には版元だ。「成人向け」と判断すれば、識別マークをつけて出荷し、書店は成人コーナーで販売す