『M-1グランプリ2022』はウエストランドが優勝。その「悪口漫才」と称されるネタに対して、あるいはそういったネタに高得点を与える審査基準に対して、ソーシャルメディア上では数多くの批難の声が噴出した。 しかし、同業者からは「人を傷つけるお笑い最高!!」「時代変われ!!」と、“窮屈な時代”への“反撃”の契機として歓迎する声も上がった。 こうした反応からはひとつの根深い誤解が窺い知れる。批難された側は「おもしろいのにケチをつけられた」という認識でいるけれど、批難はそれが「おもしろくない」から起こっている、という話だ。 ずっと「おもしろくない」って言ってる ボケが弱い、ツッコミにキレがない、しゃべりのテンポが悪い、聞き取りにくい、笑いどころがわざとらしい、たとえがわかりにくい。そういったさまざまな要因が「おもしろくない」という評価に帰結する。同じことだ。ネタの前提になっている価値観がイヤ過ぎると
第16回 笑いの次に来るもの(5) 笑いに関する考察が、いつの間にか潜在的に日本を支配するヤンキー的価値観や、その対立項として現れたオタクの起源へと滑っていったけれど、結局考えているのは、現在自分が感じるこの国の(だけじゃないかもしれない)制度や風潮がもたらす抑圧から、いかに自由になるかである。 ●「Hentai」の勝機 前回紹介したメタバースや、そこに美少女として転生するオッサンたちも、自由を求める逃避のストーリー上にあると言える。自由の漂着先が徹底管理されたメタバースということ自体が、タチの悪いブラックジョークに思えなくもないけれど、少なくとも、そこでは現実世界で自分たちを縛るセクシャリティやルッキズムからは解放される。 メタバースで価値あるものは、富でも階級でもなく「いいね」で換算さえる共感指数だけど、そればかりを求めるのでは窮屈な現実と変わらない。せっかく性と外見の自由を保証された
Twitterでバズったのでせっかくだからちゃんとまとめてみます。本記事は投げ銭形式です。 筆者の違和感 筆者は18まで兵庫県育ち、大学は27まで京都で、そこから5年くらい仕事で東京にいた。いまはひょんなことから関西圏に戻ってきている。 東京では笑いが通じない。そのことは知っていた。だが想像以上だった。 会社の同僚を笑わそうとしていろいろなことをしたが全くリアクションがなくて逆に驚いた。例えば冬にカーディガンを萌え袖にして歩いたりとか、ペットボトルの緑茶についていた「実は体脂肪を減らす」のシールをお土産のまんじゅうの箱に貼りつけたりとか、退席時に一筆面白いコメントを残したつもりが帰ってきたら普通に事務的な「お電話がありました」の付箋を上から貼られていたとか。 東京は笑いが通じない。これは関西では定番の琵琶湖ネタとか京都人ネタなどの地域ネタが通じないのではなく、そもそも関西の笑いの感覚が全く
アンラーニング ──。最近「よく聞く」という方も多いのではないでしょうか? 過去の経験や学びをいったん手放し、新しい知識やスキル、価値観を掴み取る、という意味です。 新年度の春。これまでやってきた経験や技能がそのまま使えない局面に遭遇する方も多いのではないでしょうか? 年々、求められる内容や質が難しくなっていると感じる方も多いのではないでしょうか? そんな方にピッタリなのが今回の「アンラーニング &リスキリング」特集です。 私もこれまで、アンラーニング せざるを得ない時期が何度かありました。 1つは、長年フリーランス記者だったのが8年前にNewsPicksの編集部立ち上げメンバーにジョインした時。この時は長年染み付いた下請け根性からの脱皮。さらに、記者は原稿が書ければOKというマインドからの転換、自由人から組織人としての行動変化などに苦労しました。今でもしています。 JobPicksという
コント作家オークラ インタビュー 投稿日 2022-02-15 Author おぐらりゅうじ LIFESTYLE 育てる コント作家オークラのインタビュー後編。「お笑い傭兵」論からカルチャーが融合されたコントへの思いなど。 オークラ バナナマン、東京03、おぎやはぎ、ラーメンズ、バカリズム——日本を代表する東京のコント師達と共に過ごした青春の日々を綴った自伝『自意識とコメディの日々』(太田出版)を上梓した、コント作家オークラ。笑いの才能に溢れる同世代の芸人達と、作家という立場で関わりながら、目指したのは「カルチャーとコントの融合」だった。そんな彼の眼に映る、現在のお笑いシーンはいかに。 インタビュー前編では、現在のお笑いシーンからコント師と漫才師の違い、そして第6世代が持つ悩みについて語ってもらったが、後編では、「お笑い傭兵」論からカルチャーが融合されたコントへの思い、「そういう笑いは古い
腹立ってないのに「腹立つわ〜」 テレビの中の浜田雅功はごく頻繁に「腹立つわ〜」と口にする。この言葉遣いは実に奇妙で、あからさまに、切なく捻じれている。だってこれを口にするとき、浜田は実際に腹を立てているわけじゃなく“ウケている”から。 彼がこの言葉遣いの元祖なのかどうかはわからない。それに、相方の松本人志をはじめとする他の芸人も──特によしもと所属のMCクラスの芸人が──同様の用法でこの「腹立つわ〜」を使うことがある。ただ、浜田雅功という芸人の本質をこれほど雄弁に語るセンテンスもないように感じられるのだ。 「松ちゃん、見てる〜?」 筆者は別の記事(「松本人志考|松本人志が今やっていること」)で、松本人志についての論考を試みた。視覚障害のあるお笑い芸人、濱田祐太郎の「松ちゃん、見てる〜?」というボケに対する松本のツッコミを材料にして、彼の芸風の本質に考えを巡らせた。 こういうふうに、松本はこ
元祖となった「たけしメモ」 革新を起こしたバカリズムの「トツギーノ」 無観客「R-1」で問われた線引き 今やピン芸人の定番となった「フリップ芸」。そのスタイルは意外にも『天才・たけしの元気が出るテレビ』のワンコーナーから誕生したと言われる。いつもここから、バカリズム、霜降り明星・粗品へと引き継がれていく中で、フリップ芸はどう進化していったのか。フリップ芸から生まれた活動はネット動画や漫画など様々な領域へ広がり、クリエーターとして活躍する芸人たちも現れている。現代の「お笑い」の進化を体現するフリップ芸の起源、そして未来について考える。(ライター・鈴木旭) 元祖となった「たけしメモ」 そもそもフリップ芸はどこから生まれたのか。テレビの世界では、『天才・たけしの元気が出るテレビ』(日本テレビ系・1985年4月~1996年10月終了)のオープニングで披露された「たけしメモ」が元祖だと言われている。
かが屋、キングオブコントお疲れさまでした。 普通はよっぽど仲良くないとこういう記事は書かないと思うんですけど僕はイタいので書きます。 最初、声が小さすぎる仲間として共にユースを過ごしていたかが屋が決勝の舞台に立っている、という時点で良すぎたので確実に贔屓目はありますが、本当に素晴らしかったです。 声が小さすぎてライブのウケも全然だったかが屋を見逃さずに拾ったマセキのマネージャーと、裏で悪口を言っていた木田の明暗がクッキリと別れた瞬間でした。 さて、お笑い界隈で話題になっているかが屋のカレンダー問題です。 これが話題になったせいで今後「かが屋のカレンダーを発売します」となった際に、かが屋の写真が載ったカレンダーなのか、9月21日しかない日めくりカレンダーが発売されるのか解釈が分かれてしまうことになります。 カレンダーがキングオブコント当日の日付だったのも良かったです。 僕の単独のフライヤーを
お笑いの漫才の設定で一番多いものって、 何といっても「コンビニ」ですよね! もはや漫才の設定としては手垢がつき過ぎてしまっていて、それを設定に選ぶこと自体がボケだったりすることもあるくらいです。 ただ現実に駆け出しのお笑い芸人や初めて漫才のネタを書く人などは、設定に「コンビニ」を選ぶことが多いと思います。 そして「コンビニ」の漫才を見てて毎度思うのが… コンビニという題材もさることながら中身のボケ自体も、手垢がついてしまっているものが多い気がします。今ふとコンビニが題材の漫才を思い浮かべてみても、 「自動ドアが何個もある….」 「この雑誌温めますか…」 「それでは店員さん呼んできますね〜」 などなど、何度も見たことのあるボケが思い浮かぶでしょう。 少し視点を変えて… 全ての「コンビニ」の漫才のネタの中から… 多く使われているボケのみで作った「コンビニ」の漫才のネタはどんな感じになるのでしょ
「お笑い評論家ほどお笑いから遠い人いないですからね」 某月某日。Twitterのタイムラインを眺めていたら、こんなことをテレビで千原ジュニアが言っていたというツイートが流れてきた。お笑い評論家を名乗っているわけではない(※2017年当時)が、お笑いについてあーだこーだと宣うブログを運営している身としては、些か引っ掛かる物言いである。 とはいえ、このような退屈な戯言を、かの天才・千原ジュニアがそう簡単に口にするわけがない。余程のつまらぬお笑い評論家に神経を逆撫でされるようなことを言われたのだろう……と、思っていたのだが、そのお笑い評論家が西条昇だと知って、頭を抱えてしまった。まったく冗談じゃない。 一般にはあまり知られていないが、西条昇氏は賞レースが開催されるたびに水たまりか何処かから孵化して大量発生するようなそんじょそこらの自称・お笑い評論家などと野次られるような輩とは比較することも愚かし
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