はじめに 1992年 Guyattらは evidence-based medicine (EBM)を提唱した .従来,診療は疾患の病因論 や病態生理学の研究・理解に基づいて行われてき た.病因論や病態生理学の理解は必要であるが, これらのみに基づいた診療は時に誤っていること があることを Guyattらは指摘した.そこで,最善 の外部のエビデンスに基づき,そこに患者の価値 観や希望,臨床的専門性を生かして, 合的に判 断して眼前の患者に最善の診療を行うための具体 的な方法論を EBM の名の下に提唱した.ここで いう,エビデンスとは,ヒトを直接の対象とした 臨床研究による成績であり,エビデンスのレベル を重視している(表 1).エビデンスのレベルでは, 通例ランダム化比較試験およびそのメタ 析が最 上位に位置付けられ,以下コホート研究,症例対 照研究等の 析疫学的研究,そして症例集積研究