ある重大局面の検証に際しては、たとえそれが瞬間的なものであったとしても、時間的な文脈を十分に考慮しなければならない[*1]。冷戦終結以降、ヨーロッパが迎えた最大の危機だとされる目下のクリミア問題は、水平的領土空間のみならず、過去と未来という時間的な文脈の中で捉えなければならない。 クリミア自治共和国政府による「分離独立」宣言、住民投票、プーチン大統領による編入承認という一連の出来事は、まさにこうした時間的な文脈を念頭に置かなければ、何が、なぜ起こっているのか理解し難いだろう。また、時間的文脈への配慮は、各国の思惑が複雑に絡み合う国際政治上の駆け引きが、その社会に暮らす人々を翻弄し続けているという歴史的現実を浮き彫りにする。 日々情勢が変化し、新たな情報が次々と入る中で、ウクライナの「革命」、そしてクリミアの編入までに、どのような流れ、関係があるのか、見えにくくなっているだろう。そこでまずは