まだ20歳代くらいと若いのに、ADLが極めて低下した患者さんを診ることがある。 たいてい、統合失調症の診断が付けられており既に障害年金を受給している。 この人は生来、知的発達障害でもあったのではないかと思うほどだが、病歴を聴取すると、それどころか中学生の頃に生徒会長をしていたとか、オール5だったなどの話を聞く。女性であればピアノのコンクールに出ていたなどの話も聞けるほどである。 何がどうなってこうなったかが不思議だが、このタイプの病態を仔細に診ていると、若い統合失調症の人にはそぐわない精神症状が伴っていることに気付く。例えば、病棟内で他の患者さんの衣類に自分の名前をマジックで書きまくるとか、保護室に入れているとトイレの汚い水で顔を洗ったり、飲んだりするなどの症状である。 これは30年以上患っている統合失調症の患者さんでは稀に診られることがあるが、若い人でここまで破綻した行動が診られることは