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ブックマーク / ohnosakiko.hatenablog.com (56)

  • 眠りにつく前に - ohnosakiko’s blog

    幼いお子さんについて時々呟かれているid:white_cakeさんのtweet。 むすめ、寝かしつけ中すぐに「あついい」と半べそになるくせに、「暑いなら掛けなくていいよ」とい言っても毎回布団を自分で引っ張り上げて掛け直し「あったかーい」と言う。冬の間布団を掛けて「あったかいね」と話しかけていたから、寝るとはそういうものだと思ってるんだろうな。— 城伊景季 (@white_cake) 2017年5月22日 「こういう場合はこうするんだ」と、その行為を意味内容抜きで覚えた子どもが、早速それを実行する。子どもは決まり事が好きなのだと思う。 私は子どもがいないが、母から聞いた話を思い出した。 面白い>RT ちなみに幼い頃の私は、布団を掛けて貰った上から母が「トントントン」と言いつつ胸を軽く叩いてくれる儀式で眠りについていたが、生まれたばかりの妹に母がかかり切りになって以降は、自分で「トントントン」

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  • 原節子についてのあれこれ - ohnosakiko’s blog

    原節子が95歳で亡くなったというニュースが報じられた一昨日、ちょうど読んでいたのが、小津安二郎の『僕はトウフ屋だからトウフしか作らない』の中の原節子に言及されたところだったので、偶然とは言え驚いた。正確には『映画狂時代』(壇ふみ編、新潮文庫)に収録された「トウフ屋」の中の小津の芸談。 『麦秋』を撮り終わった後の小津監督は、原節子についてこのように書いていた。 (前略)『晩春』『麦秋』と二、原節子君に出てもらったが、それまでに原は大根だという人には気の毒な噂が伝わっていた。それだけに、出てもらった時は心配もあったが、結果は取り越し苦労だった。僕に言わしたらこの人は、大きな喜怒哀楽を大げさな表情では出せないかわり、チラリとした動きで立派に表現するというタイプの人なのである。 換言すると大きな声を出さなくても、大怒りに怒っている感じを出すことはできるはずである。原さんはこうした演出をすればそ

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  • 『超絶技巧!明治工芸の粋』に肝を潰す - ohnosakiko’s blog

    先日、岐阜県立現代陶芸美術館で開催中の『超絶技巧!明治工芸の粋』を観に行った。 明治工芸と聞いてもあまりイメージの浮ばない方は、下のリンク先を。 岐阜県立現代陶芸美術館 展覧会情報01 左上の「パイナップル、バナナ」、中段中の「竹の子、梅」は実寸大の象牙彫刻(牙彫)。この安藤緑山の作品をナマで観たいというのが、今回の主な目的。 初めて行く岐阜県立現代陶芸美術館は、中央線多治見駅からバス15分、徒歩10分。目印が何もなくやや不安になりかけたところで、美術館地階入り口への道があった。滝と川を取り込んだ、風流ながら大胆な作りの建築物。周辺の山には散策路があるようだ。 七宝、金工、漆工、薩摩、刀装具、自在、木彫・牙彫、印籠、刺繍絵画の全163点の展示作品はすべて、京都の清水三年坂美術館所蔵(村田コレクション)のもの。 最初にあるのは、並河靖之の七宝の皿や壷。蝶をモチーフにした驚異的に緻密な仕事に度

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  • 『ボルネオ人をしめ殺すオラン・ウータン』の衝撃 - ohnosakiko’s blog

    「生きものが苦しむところを観察したい」という残虐な欲望が、子どもの頃にあった。と書くと不穏だが、人間や身近な動物は厭で、あまり大きくなくて自分の好きではない生きもの、たとえば虫なら、平気でもがき苦しむところを見ることができた、というわりとよくある話。 蜘蛛や蛾を捕まえてボンド漬けにしてみたり、小さな羽虫の羽や触覚や脚を少しずつ毟って、飛べなくしたり歩けなくしたりする。体の自由を奪われ弱った虫が、断末魔の痙攣じみた動きをする。気持ち悪さと面白さ、不快と快の混じった何とも言えない感覚。 その、少しぞくぞくするような気分を思い出してみると、明らかに性的なものへの関心が底にあったと思う。子どもの頃のまだあまりはっきりと自覚されない性欲が、「生きものが苦しむところを観察したい」という欲望に置き換わっていたようだ。 「残酷さや暴力への欲求と性的欲望が結び付いている」と明確に感じるきっかけになったのは、

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  • 44年目の『鳥の歌』 - ohnosakiko’s blog

    クラシック音楽の愛好家だった生前の父は、若い頃にバイオリンを齧っていたが、それより好きな楽器はどうやらチェロであったらしい。女の子が生まれたらピアノ、男の子が生まれたらチェロを習わせたかったと(私が女の子だったのでピアノになった)。 もちろん父の一番好きな演奏家は、パブロ・カザルスだった。1971年10月24日、ニューヨーク国連部でのカザルスの演奏を、家族揃ってテレビで見た時のことはよく覚えている。「(私の故郷カタロニアでは)、鳥たちはこう歌います。Peace、Peace、Peace!」。95歳になろうとするチェリストの発言に、父は感極まった顔になった。 そして演奏された『鳥の歌』。原曲はカタロニア民謡で、カザルスが編曲したもの。 それは、当時12歳の私がそれまでの短い人生で聴いたどんなクラシックの演奏とも違っていた。今なんかすごいものを見ている(聴いている)んだ‥‥と思った。 ● 先日

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    ushiwatat
    ushiwatat 2015/05/23
    |誰が弾いても44年前の国連でのカザルスの伝説的な演奏が思い出されてしまう、そういう特別な曲である『鳥の歌』を、千住真理子は渾身で弾いていた||なんと重く、暗く、哀しみのこもった美しい旋律だろうか|
  • きものを「貴族の文化」にしたのは何か - ohnosakiko’s blog

    英国人の日文化論が「正しすぎる」「ぐぅの音も出ない」と話題に - with news(ウィズニュース) タイトルがちょっと煽り過ぎというか大袈裟に感じるが、小西美術工藝社のデービッド・アトキンソン社長という日文化に詳しいイギリス人が、きものの価格の高さについて苦言を呈している内容。以下は最後のところ。 そもそも伝統が伝統になる前は、ちゃんとビジネスになっていたはずなんです。消費者の意向を探り、自ら変わり続けた。だから伝統になれた。着物が存続するためには、真っ当なビジネスにするしかありません。もっと価格を下げて、手に取りやすい着物を増やす取り組みが、最低限必要だと思います。 最近またちょっとしたきもの流行りで、若い人向けの雑誌も出て、気軽にきものを楽しめるよう様々な提案がされていたり、手にしやすい価格帯のきものが売られていたりするが、街を歩いていて頻繁にきもの姿を見るところまでは行ってい

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  • ヌードクロッキー - ohnosakiko’s blog

    女の裸、男の裸 デザイン専門学校の授業で、なぜかヌード・クロッキーがある。 女性の裸を描くという西欧の長い美術の歴史は、ジェンダー的な観点からいろいろ問題も指摘されているが、それがそのまま日の芸術教育にも受け継がれ、専門学校のカリキュラムにまで登場しているわけである。 男も同じように描けばよいではないか? でも男のヌードを描いたり作ったりするケースは、女に比べて非常に少ない。そういうことに疑義を呈してか、美大では受験時に男性(短パン穿いてる)を描かせるところもあったりする。しかし大学では女性のヌードを描いたり作ったりしていることが、圧倒的に多い。 高校が美術科だったので、学校にはモデルさんがよく来ていた。やはり女性オンリー。 高三の夏休みに受けた予備校の夏期講習でも、女性のヌードモデルが来た。学校で描き慣れているので、平気だ。しかし普通科から来ている男子は、見るからに緊張していた。 そり

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  • 楽しいキモノ地獄 - ohnosakiko’s blog

    この一ヶ月余り、私のはてなブックマークの数はぐっと減っていた。以前はほとんど毎日していたのが数日に一回、それも少しだけ。ネットをやっていないのかというと、やっていた。毎日毎日3時間以上、キモノ中古市場に釘付けになっていた。 とうとう‥‥というか、ついに‥‥‥というか、キモノに嵌ってしまいました。 きっかけは、昨年義母が亡くなり、十数枚のキモノを譲り受けたことから始まる。 形見分け 彷徨う着物 (ちなみに上の記事では「着物」と記したが、この表記はあまり好きではない。昔はただ「着る物」の総称だったわけだが、今は洋服に対する和服という位置づけなので、「着物」はちょっと感覚がずれる。ここでは、まだ着慣れていないということでカタカナ表記で書く。たぶんそのうち「きもの」と書くようになると思う) ズブのキモノ初心者で自分で着付けさえできなかった私に、数ヶ月前、美容師の友人から「うちで、3回完結のミニ着付

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  • 『風立ちぬ』と『小さいおうち』を観た母が語る戦中と戦後 - ohnosakiko’s blog

    今年78歳になる母が一人で暮らしている実家に、先日泊まってきた。いつも名古屋に用事で来たついでに寄ってバタバタと帰るので、たまにはゆっくりしていこうということで。 先月下旬にテレビ放映された、『風立ちぬ』と『小さいおうち』の話になった。 アニメと言えばサザエさんしか見たことのなかった母にとって、『風立ちぬ』のアニメ表現は驚くべき体験だったようだ。『小さいおうち』の方は、「タキさん(黒木華)がとってもよかった」。物語の内容もさることながら、いずれの作品も母が生まれる十数年前から生まれた後にかけての時代を描いているため、いろいろ細かい事物の描写も懐かしかったらしい。 「何か見覚えのある景色や物が出てくる度に、昔の思い出に浸っちゃったわ」と母は言った。それから母は、戦中や戦後の思い出をつらつら語った。 昭和12年に母が生まれて結婚まで過ごしたのは、名古屋市の北東にある春日井市松新町。戦争体験は小

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    ushiwatat
    ushiwatat 2015/03/16
    |女の人たちが、アメリカ兵の腕にぶら下がってキャアキャア言ってるのが、食堂からも見えるのね。私その時、それにものすごくショックを受けてねぇ。戦争に負けるってこういうことなんだ、ああ厭だって思った|
  • 連載更新。「病む女」をテーマにミヒャエル・ハネケの『ピアニスト』。 - ohnosakiko’s blog

    WEBスナイパー(18禁サイト)に連載の映画エッセイ「あなたたちはあちら、わたしはこちら」の第十一回がアップされています。 ピアニスト [DVD] 出版社/メーカー: アミューズ・ビデオ発売日: 2003/12/05メディア: DVD クリック: 55回この商品を含むブログ (46件) を見る ミヒャエル・ハネケ監督と言えば、観る者にかなり心理的負荷をかける作風で有名。私も『ファニー・ゲーム』でかなりやられました。 今回取り上げる『ピアニスト』(2001)も苦笑が次第に強ばっていくような展開ですが、私にとっては特別刺さる、刺さり過ぎて痛くて出血が止まらない(←大袈裟)作品で、長い間感想を書くことができませんでした。 その理由は、テキスト冒頭に書いております。主人公エリカの病理は、私の病理です(性的嗜好のことではなく)。長い間自分に取り憑いていたトラウマを乗り越えてかなり経った今、ようやく

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  • 『原節子、号泣す』を読む - ohnosakiko’s blog

    小津安二郎は、その監督生涯を通して一番多く女優を泣かせた監督であった。 ‥‥‥という一文で始まるユニークな小津安二郎論、『原節子、号泣す』(末延芳晴、集英社新書、2014)を読んだ。 原節子と言えば戦前から戦後にかけて夥しい数の映画に出演した大スターで、「永遠の処女」「日のグレタ・ガルボ」などと呼ばれ、小津監督の亡くなった1963年に43歳で引退して鎌倉に引きこもってからは一切のメディアに出ないまま、94歳に至る今、生ける伝説となっている女優。 書は、小津映画のミューズとも言われた原節子という不世出の女優の「泣く演技」の分析を通して、小津安二郎の思想に迫っていくという内容だ。筆者の丁寧で熱の籠った筆致に強い牽引力があり、ミステリーを読むようにワクワクしながら読み進めることができた。以下、内容をおおまかに紹介。 現存する37の小津作品のうち、監督が女優に泣かせている作品は30に上ると

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  • 昔の友人がお薦めしてくれたジャズのCD(ピアノ中心) - ohnosakiko’s blog

    ジャズは古臭いと思ってるあなたに捧げる10曲 - AnonymousDiary ■( ・3・) クラシック好きの上司がジャズを聴きたいと言いだして - AnonymousDiary ■( ・3・) クラシック好きの上司がジャズを聴きたいと言いだして・続 - AnonymousDiary (追記:また出た) ジャズでってる俺がジャズ聴き始めたい人にオススメするTOP 10 - AnonymousDiary どれにも凄い数のブックマークがついていて、「ジャズ聴きたいけどどれから聴いたらいいの?」「詳しい人のお薦めが知りたい」と思っている人は多いんだなと思った。 私もかつてそうだった。幸い身近にマニアがいて、ものすごく丁寧に教えてくれた。ジャズ好きで教え好き。いや、ジャズ好きは大抵教え好きなのか。 この人は遠いところに行ってしまって今は交流がないが、当時よくやりとりに使っていた内輪の掲示板に私

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  • 母と「タキさん」 - ohnosakiko’s blog

    夢見られた親密圏・・・『小さいおうち』感想 DVDを観てから原作も読みたくなって、遅ればせながら文庫で読んだ。引き込まれて一気に読了。映画で省略されていた戦前の東京の風景、当時の市井の人々の意識や感情。生活の細部描写もさすがに映画より詳細。 これは母に薦めたいと思い、実家に持っていく。母は昭和12年生まれの77歳。名古屋に隣接する小さな町で育った。 最初に映画を観た話を少しした。戦前の家庭の物語で、松たか子と黒木華が共演したと聞くと母は興味を示した。 「黒木華って『花子とアン』で妹やってる女優さんね。あの人、今時の女優さんに珍しい素朴な顔してるわね。んでニコッと笑うととっても可愛い。女中さんの役なの、ああそれは似合うわ。なんか賞穫ったってのを新聞で見たけど、へえ、その映画で」 などと喋り、文庫を開き、 「あら、字が小さいわ〜。こういう小さい字はもうしんどいのよ‥‥‥眼がすぐ疲れちゃってねぇ

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  • 四人の親が二人になったところで、改めて介護問題を考えたけど。 - ohnosakiko’s blog

    俺「あの、そちらの老人ホームに空きありませんか?」:キニ速 有料老人ホームより割安なために何年も入居順番待ちの特別養護老人ホーム、3Kで離職率が高く慢性的に人手不足の介護業界、そして親の在宅介護は独り身にとって地獄‥‥という話。 長女の私は一人っ子と結婚した(妹は遠くに住んでいる)。将来4人の親の介護に関わらねばならないということを、結婚当初はあまり深く考えていなかった。そのくらい能天気だった。親がピンピンしていると、なかなかリアルに考えられないものだ。少し想像しても、「うー、考えたくない、なるようになれ」とすぐに頭から追い出していた。 55歳の現在、父と義母は既に亡くなっている。私自身はまだ格的に介護に関わっていない状態だが、ここで自分の親たちの状況をまとめて書いてみようと思う。 ▶父(享年89歳) 四人の親たちの中で、真っ先に介護が必要になった。 若干認知症の気が出てきて数年してから

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  • 女が自分を騙すとき‥‥『処女連祷』を読んで - ohnosakiko’s blog

    今年は有吉佐和子没後30年ということで、集英社文庫に収録の著作が次々と復刊されるという。著名な作家にも関わらず私の既読は『悪女について』1冊だけで、映画で『紀ノ川』、テレビドラマで『華岡青洲の』を昔観たことがあるくらいだが、最近『処女連祷』を知人から薦められて読んでとても面白かったので、その感想を。 処女連祷 (集英社文庫) 作者: 有吉佐和子出版社/メーカー: 集英社発売日: 2014/02/20メディア: 文庫この商品を含むブログ (3件) を見る 女子大を卒業してそれぞれの進路へと巣立ってから30代に入るまでの女性たちの生活と、恋愛結婚を巡る変遷。有吉佐和子が20代半ば過ぎで書いた、1957(昭和32)年発表の作品である。 書評家・藤田香織の解説に「驚くのは発表から五十七年という歳月が過ぎて尚、まったく色褪せていないこと。それどころか現代の女子小説で繰返し綴られる仕事、友情、結婚

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  • 曲がった釘の思い出 - ohnosakiko’s blog

    暖かくなったので、放りっぱなしだった庭を片付けることにした。 いつ何を解体したのかも忘れてしまったくらい古い角材が、隅に7、8積んである。それに付いたままになっているL字金具を取り、釘を引っこ抜いてから、ノコで適当な大きさに切って可燃物の袋に詰める。 散らばった釘を拾い集めていたら、父のことを思い出した。 ● 休日に、父はよく庭でいろいろな作業をしていた。鉢植えの植え替え、庭木の剪定、薪割り、日曜大工、左官‥‥。父は何でも自分で、わりと器用にやる人だった。また、物を非常に大切にしていた。 子どもの頃から家の内外の肉体労働を手伝ったり、ちょっとしたものは手作りするのが当たり前だった戦前生まれの世代である。結婚した昭和32年当時、父はまだ貧しく、母もほとんど嫁入り道具など持たずに嫁いだので、家の中にロクな家具がなかった。棚もちゃぶ台も林檎箱で代用していたという。 少しずつ家具を買い揃えるよ

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  • 無宗教で弔うこと - ohnosakiko’s blog

    国や地域や宗教によって、さまざまなかたちを取るお葬式。日では仏教形式で行われることが多い。これまで私が参列した葬儀は9割方、仏式だった。あとはキリスト教。亡き伯父と伯母がクリスチャンだったからだが、では仏式で弔われた人々は皆仏教徒だったのかと言えば、おそらくそうではないだろう。 年輩者で定期的にお寺参りに行ったりお坊さんの説教を聞きに行ったりする人はいたかもしれないし、そこまでではない人もお盆で先祖の墓参りくらいはしたかもしれない。しかしほとんどの人は、「うちは◯◯宗らしいな」くらいのことはわかっていても、仏教とは無縁の生活を送っていたと思う。多くの人の日常において、特定の宗教の匂いは薄い。 だからいざ身内が死んで通夜だ葬儀だとなると、まず何をどうしていいかまごつくことがある。伊丹十三の映画『お葬式』では、遺族がビデオで仏式葬儀のあらましを学習するシーンがあった。他人の葬儀で何となく勝手

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  • イージーリスニングの虜、アーティストの麻薬 - ohnosakiko’s blog

    佐村河内騒動で考える:松浦晋也のL/D 例の「交響曲第1番」の感想、NHKの「お涙頂戴」番組作り、新垣隆氏の仕事など論じられていることが幾つかのテーマに渡る長いエントリだが、終わりの方に書かれていたことについて思ったことをメモ。 現代音楽の売れなさは、もう笑うしかないレベルで、CDが出てもスタンプ枚数は数百枚というのが当たり前だ(コミケかよ!)。私はその手のCDを数百枚持っているが、「これと同じCDを世界の何人が持っているのだろう」と盤面を眺めたりもする。 現代音楽だけでなくクラシック音楽も客入りに悩んでいるという話はよく聞く。クラシック音楽業界の窮状について拙書に書いたところより引用。 数年前、あるシンポジウムで音楽プロデューサーの平井洋さんとご一緒したことがあります。五嶋みどりをはじめ日を代表する音楽家のマネジメントやコンサートのプロデュースを、長年やってこられた方です。平井さんによ

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  • 作曲家の”嘘”と視聴者の期待 - ohnosakiko’s blog

    聴覚障害の作曲家 別人が作曲 NHKニュース 人生中途で耳が聴こえなくなった作曲家が障害と闘いながら交響曲などを書き、CDを18万枚も売り上げ、NHKスペシャルでも感動の涙を絞っていたらしい。ところが実は耳の状態悪化で、十数年前から別の人に構想を伝えて作曲を依頼していたことを、人が明かした。 上記のニュースのブックマークコメントを見ると、「客が音でなく物語を消費している」「モノを物自身の価値でなく、付加価値(この場合はストーリー性)有りきで消費する」といったコメントに賛同者が多い。 かつてNHKスペシャルを見て感動した人の反応記事も上がっていた。 ギャフン! ギャフン! ギャフン! - 北沢かえるの働けば自由になる日記 ここでも「私たちは物語を消費したがり過ぎている」という言葉があった。 Mamoru Samuragochi : I'm a fraud, admits "Japan's

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  • 野蛮な食べ方 - ohnosakiko’s blog

    30歳を過ぎるまで、カラスミというものをべたことがなかった。そういう珍味が世の中にあることも知らなかった。 結婚して数年経った頃、お歳暮かなんかで九州の人からカラスミを頂いた。 「なにこれ」 「カラスミ。ボラの卵巣を塩漬けにしたやつ。ったことないか」 「ない」 「酒のあてに最高だぞ」 「へえー(ワクワク)」。 薄くスライスして皿に並べた。見たとこ奈良漬けそっくりだ。なんかパッとしないべ物だね。しかし一切れ齧ってみると‥‥ナニコレウマイ! 日酒を飲みながら「おいしいねー」と喜んでカラスミを口に放り込んでいたら、「おいおい」と夫に咎められた。 「そうパクパクうなて。奈良漬けじゃないんだから。これ、幾らするか知ってるか」 「知らない」 「五千円はする」 「えっ、そんなに」 「チビリチビリとべるもんなの、こういうのは。パクパクうもんじゃないの」 そうなんだ。 滋賀の人から鮒寿司が送ら

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