「からゆきさん=海外売春婦」像を打ち消す(上) 天草の女性史研究家と絵本作家が出版、「海外渡航の就労者を意味した」 大矢雅弘 ライター 「からゆきさん」という言葉をどのくらいの人が知っているだろう。明治から昭和初期にかけて日本全国から海外に出稼ぎに行った人たちのことだ。とくに九州の島原半島(長崎県)や天草諸島(熊本県)の出身者が多かったとされている。この「からゆきさん」という言葉にこだわり続ける人たちがいる。 熊本県天草市大浜町の女性史研究家、大久保美喜子さん(64)と同市五和町の絵本作家、永田有実さん(56)が昨年、自費出版した2冊の絵本の主題は「からゆきさん」。大久保さんは「天草に生まれて育った女性として、歴史を通して、からゆきさんの真実を子どもたちに伝えたい」との思いを強く抱き続ける。 絵本は、大久保さんのからゆきさん探しの旅をつづった「からゆきに想(おも)いをはせて」(A5判、35