楽天は31日、TBSに対し、保有するTBS全株式19.88%の買い取りを請求したと正式発表した。2005年10月にTBS株の大量取得を発表し、3年半にわたり繰り広げられた両社の攻防は、楽天側の完全撤退という形で幕を閉じる。楽天が目指した「放送と通信の融合」という将来像は、もろく崩れた形だ。 「(技術上の問題で)ネットのコンテンツを表示できないテレビは、依然として多い。放送と通信を融合させたサービスの提供は、依然としてハードルが高いのが現状だ」 ネット業界に詳しい野村総合研究所の小林慎和上級コンサルタントはこう指摘し、現在はまだ、放送と通信サービスを融合させるインフラ環境すら整っていないとの考えを示す。楽天がTBSを説得できる提携策を打ち出せなかった背景には、もともと両者が理想とするネットサービス像が明確ではなかったというのが実態のようだ。 インターネットが急速に普及したなかでも