瞬く間に日常的インフラへと成長したソーシャルメディア。人々はそのコミュニティでの振る舞いをすんなりと身に付けたようにも見える。 一方で、未だにやや戸惑っているように見えるのが、そこをマーケティングの場として捉えたい企業の側だ。近著「逆パノプティコン社会の到来」で、国家や企業が個人の側から監視されつつある現状を世に示したジョン・キム氏にその手掛かりを伺う。 「プライス2.0」へのトレンドはもう不可避…… そもそも「パノプティコン」という概念は18~19世紀からあったもので、日本語では「全展望監視システム」と訳される。円形に配置された独房の真ん中に看守塔が立っていて、そこから独房を見張る仕組みだが、ポイントは「独房の側からは看守塔の中は見えない」というところ。極端に言えば、実は看守塔の中には誰もいなくても機能するシステムなのだ……。 従来の社会は、このパノプティコンのように国家が情報を秘密裏に