伝説というよりは歴史小説というノリなのでとても地味かつ独特な世界観。決して奇跡が起きまくる話ではないしアーサーも神のように強いわけでもない、一介の将軍として描かれる。 ブリテンはキリスト教に侵略されており、それはサクソン人による実際の侵略とキリスト教の神による侵略と、人と神、2つの階層で共に侵略されている。アーサーはブリテンをブリテン土着の神々の手に取り戻す存在なのだ。この宗教の伝播を神の侵略という概念で捉えるのは手塚治虫の『火の鳥 太陽編』で仏教が伝来してくるくだりを思い出す。 仏教の仏様たちが、八百万の神を次々に駆逐していく神々の戦いが描かれていたと思うのだけど、このアーサー王物語はそのイメージにとても近い。神々の戦いをブリテンの神の勝利に導こうとする存在が大魔法使いマーリンであり、サクソン人を打倒する将軍がアーサーなのよね。 アーサーは平和を望みながらも、グィネヴィアに一目惚れしてし
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