塩漬けシステムを近代化したい。そんなニーズはどのIT現場にもある。だが要件定義から始める新規開発は、多大なコストと時間が掛かる。そこで鍵を握るのが、にわかに注目されてきた「モダナイゼーション」だ。 「もうあの要件定義は経験したくない」―。ワコールでシステム開発プロジェクトを指揮する大西輝昌氏(情報システム部 グループ情報システム課 課長)は、約10年前の大規模なシステム再構築プロジェクトをこう振り返る。 メインフレームからオープンシステムへと切り替えるプロジェクトだった。本社内の一室をプロジェクトルームとし、そこでメンバーとともに缶詰め状態の日々を送った。 苦しんだのは要件定義である。開発期間には3年を要し、その多くを要件定義に費やした。無理はない。「数十年使った業務システムがベースだったので、機能要件から見直した。当然、あらゆる要求が各部署から挙がってきた」(大西氏)。 現行機能をそのま