肥後国侍同*1百姓以下申分於在之者、聞届可遂言上候、被聞召届可被加御下知*2候也、 十月廿一日*3(朱印) 安国寺*4 (三、2363号) (書き下し文) 肥後国侍、同じく百姓以下申し分これあるにおいては、聞き届け言上を遂ぐべく候、聞し召し届けられ御下知を加えらるべく候なり、 (大意) 肥後国人一揆に加わっている侍や百姓たちに言い分があるのなら、よく聞きこちらへ報告するように。よく話を聞いた上で判断を下すものである。 秀吉はこの時点でも肥後の「侍」や「百姓」たちに言い分があるのならば、聞き届けた上で下知を下すと恵瓊に伝えている。武力で殲滅しようとすれば次のような代償を負うことになると考えたからであろう。 武器弾薬も調達せねばならないし、なにより味方の将兵を失うリスクが大きいためである(物的・人的資源の損失)。 敵兵を殲滅すれば耕作する労働力を失い、田畠は荒廃する。百姓を原則移住させない豊臣