先日、飲み会の席で「…だって世の中、『飛行機がなぜ飛ぶか』ということすら、本当は分かっていないんですから」という声が聞こえてきた。読者の多くの方もきっと、同じ話を耳にしたことがあると思う。 「常識と思っていることは、実は単なる思いこみだ」という文脈か、「科学なんてたいしたことないじゃないか」という話か、そこまでは分からなかったが、声にはちょっと嬉しそうな響きがあった。 もちろん科学は宗教ではない(こちら)。「信じる」ことが基本姿勢の宗教に対して、科学のそれは「疑う」ことだ。リンク先の記事の通り、科学を宗教的なものと誤解しないためにも、「本当はどうなんだ?」と疑う姿勢は大切だ。その一方で、「結局、科学といっても本当は何も分かってないんだよ」という見方は、シニカルな態度にもつながっていきそうでなんとなく違和感がある。 それはさておき、高速で空を飛び、多くの人命を載せる航空機がなぜ飛ぶか、本当に
自社で所有する風洞で試験 続いて登壇したのは流体工学が専門で、童夢でレーシングカーをメインとした空力開発に携わる貴家氏である。同氏は風洞模型の設計や風洞試験、CFDおよびデータ解析、それらの結果を反映した実車設計などに携わってきた。自動車だけでなく鉄道車両や自転車、そして大田区の町工場が主体となった「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクトのソリ設計にも関わっている。童夢は言わずと知れた競技用車両の開発で有名な企業だ。 同社の開発環境を支えるツールの1つが自社で所有する風洞である。以前は25%モデル用の風洞を所有していた。2000年には滋賀に50%モデル用の風洞「風流舎」を作っている。これは600kWの出力のファンをもち、地面に幅2m×軸間5.5mのムービングベルトを設置する。当時は世界でも高機能かつ大型のものだった。自社で風洞を持つこと自体が珍しく貸し出しも少ないことから、自動車に限らず
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