ドイツの総選挙でメルケル首相率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が圧勝したが、これが欧州の財政問題や景気にどのような影響を与えるだろうか。 メルケル首相の3選続投(任期を全うすれば在任12年)が確実になった背景として、ドイツ経済の好調さが後押ししたのは間違いない。メルケル政権下で、10%を超えていた失業率は半減した。輸出も昨年、過去最高額を更新した。 こうした経済の堅調さは、政権の努力も大きいが、見逃せないのは、ドイツがユーロ圏の恩恵を十分に受けている点だ。 ノーベル経済学賞を受賞したロバート・マンデル氏の「最適通貨圏理論」からみると、今のユーロ圏は多種多様でそれぞれ問題を抱えた国の集まりであるにもかかわらず、一つの通貨しかなく、金融政策は各国ともに共通なので、各国の問題解決に対応できない。つまり、今のユーロ圏が、政治的な拡大志向に抗せず、本来は加盟すべきでない周辺国が多