【気になるあの人を追跡調査!野球探偵の備忘録(17)】「甲子園には魔物がすむ」。高校野球100年の歴史で、予測のつかない波乱の試合を人はしばしば魔物の仕業にたとえてきた。もし、その魔物を手なずけることができたら…。今や出場校のほとんどが採用する、ブラスバンドの定番曲「アフリカンシンフォニー」、幾多の大逆転劇を演出した「ジョックロック」など、多くの応援曲を手がけた智弁和歌山の吹奏楽部顧問、吉本英治氏に“魔曲”誕生の秘密を尋ねた。 「正直な話、まったくのネタ切れ状態のなかで、偶然生まれた曲なんですよ」 智弁和歌山に赴任した当時、吹奏楽部の顧問を任された吉本氏は、野球部が甲子園に出場するたびに新作の応援曲を提供することを約束。地方大会から全校応援に駆けつける同校に合った、大きな声を生かせる曲として「アフリカンシンフォニー」を始めとする十数曲を作曲・編曲した。 ところが力をつけ始めた野球部の出場回