三月八日の産業構造審議会第七回情報経済分科会(会長:今井賢一スタンフォード日本センター理事長)において、第三次提言をとりまとめていただいた。 IT(情報技術)という言葉が一般化してから数年が過ぎるが、低廉で高速なネットワークサービスの実現やサイバー社会に対応したルールの整備が進み、時代はナローバンドからブロードバンドへと着実に移りつつある。本提言の射程はこの次のステップ、これらの整備されたネットワークの上でさまざまなコンテンツがやりとりされる世界、であり、これを「情報市場」と呼ぶこととする。本提言は、「ITの本質とは何か」について、この「情報市場」に光を当てて、答えを見出そうとしたものである。この場を借りてご紹介したい。 まずITの見方である。図1の(1)は、各国のIT産業が経済に占める比率と、九〇年代後半における生産性の上昇率の相関を表している。明確な相関がないことが読みとれる。特に、