『親方想いの主倒し』―親方のためと思って弟子やその周辺が熱心にやったことが、結果として親方に不利になってしまうという言葉である。今次2021年自民党総裁選挙で、健闘したものの第一回投票で3位に終わり、敗北した高市早苗氏の敗退原因を一言で述べればこれに尽きる。総裁選公示前から強固な保守層やネット保守から熱狂的な支持を集めた高市氏は、なぜ敗北するに至ったのか。その原因を探る。 1】厳然たる敗北 今次総裁選のふたを開けてみれば、当初優勢とされた河野太郎氏が後半になって失速し、第一回投票(議員票+党員票)の総合計で僅かだが岸田文雄氏に逆転されたことは、大方の予想を裏切った格好であった。ともあれ河野氏の第一回投票における党員・党友票は169票(44%)と突出しており、今後も一定の影響力を保つとみられる。 他方、「台風の目」とされた高市早苗氏は安倍晋三前総理から全面的な支持を取り付け、議員票では114