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ブックマーク / cruel.hatenablog.com (21)

  • オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Big Brother is Watching YOU!!! 2023年の年頭に宣言した通り、オーウェル『1984年』の全訳をあげました。 genpaku.org html版と、pdf版があるので、まあお好きに。当然、クリエイティブコモンズなので、自由にお使いください。個人的にはいま出版されているどの翻訳よりもいいとは思うが、それは趣味もあるでしょう。商業出版したいとかいうところはあるかなー。なければ自分で電子ブックでも作って売ろう。 追記:商業出版したいというところが出てきたので (まだ確定ではありません) 、いまのうちにダウンロードしたりあちこちにばらまいたりしておくといいと思うぞ。(11/28) ビッグ・ブラザーのポスターでもトップにかざろうかと思ったけれど、みんなおどろおどろしいものばかりで、小説の記述に即したニュートラルなものがあまりないので少しびっくり。 訳していて、いろいろ含

    オーウェル『1984年』全訳完成 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary トマス・ピンチョンのオーウェル『1984年』序文は、まったく構造化されず、思いつきを羅列しただけ。何の脈絡も論理の筋もない。しかもその思いつきもつまらないものばかり。唯一見るべきは、「補遺;ニュースピークの原理」が過去形で書かれていることにこめられた希望だけ。だが、考えて見れば、ピンチョンはすべて雑然とした羅列しかできない人ではある。それを複雑な世界の反映となる豊穣な猥雑さだと思ってみんなもてはやしてきた。だが実はそれは、読者側の深読みにすぎないのかもしれない。そしてその深読みが匂わせる陰謀論が意味ありげだった時代——つまり大きな世界構造がしっかりあって、裏の世界が意味をもった60-80年代——にはそれで通ったのに、1990年代以降はもっと露骨な陰謀論が表に出てきてしまい、ピンチョン的な匂わせるだけの陰謀論は無意味になった。それがかれの最近の作品に見られ

    オーウェル『1984年』序文からわかる、ピンチョンのつまらなさとアナクロ性 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 2023年6月 アフリカ代表団とプーチン大統領との会合 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 2023年6月、アフリカ連合を筆頭に、アフリカ大陸代表として7ヶ国で構成される代表団が、ウクライナロシアを訪問。ウクライナ侵略により生じた糧危機とエネルギー危機でアフリカが苦境に陥っているので、平和を目指す対話路線をプーチンに陳情した。自国の直接的な利害と同時に、アフリカとして主体的にこうした戦争仲裁のような活動を行うのはこれが初めてであり、今後自分たちも国際関係の中で、平和と良好な世界の構築に向けて構築したい、できることがあるならウクライナロシアとの和平に少しでも貢献していきたい、国連憲章に基づく安定した国際秩序を作りたいという決意を述べ、対話と人道支援を訴えた。 これに対してプーチンは、代表団の話を聞き終える手間すらかけず、自分たちは国連憲章に一切違反しておらず、ウクライナの流血クーデーター政権とその飼い主の西側が悪いのであり、糧危機は西側の

    2023年6月 アフリカ代表団とプーチン大統領との会合 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • プーチン大統領と親しくお話をするエドワード・スノーデン (2014) - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    ご存じかもしれないけれど、ぼくはエドワード・スノーデンの自伝を訳した。 スノーデン 独白 消せない記録 作者:エドワード・スノーデン河出書房新社Amazon それなりにおもしろい伝記ではある。まあその後ちょっとあまり楽しくないできごともあったりして、がんばって宣伝しようという気持が萎えてしまった部分はある。しかし彼がそれなりの正義感を持ってNSAによる大量監視システムを暴露したのはまちがいないし、個人的にはそれが大変勇敢で立派なことだと思っている。 ただこの伝記の中で、彼はずっとロシアとの接触が一切なかったと述べている。ロシアに留まったのは、飛行機に乗っているときにパスポートをアメリカが取り消して、身動き取れなくなっただけだ。だからそれはまったくの偶然にすぎない。その行き場を失ったシェレメーチエヴォ国際空港でも、ロシアとは一切関わりを持たず、FSBが接触してきたときもそれをかたくなに拒絶し

    プーチン大統領と親しくお話をするエドワード・スノーデン (2014) - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    我らが偉大なhicksian 様のこのツイートで紹介されていたブログ記事、とてもおもしろい。 broadstreet.blog この著者はMITのソ連ロシア史教授、エリザベス・ウッズ。プーチンは、ヒル&ガディの現時点ではベストなプーチン伝「プーチンの世界」で紹介されている、「プーチンは歴史の男だ」というまとめを敷衍して、その「歴史」というのがおとぎ話に近いネトウヨ妄想なのだ、という点を指摘している。 プーチンの世界―「皇帝」になった工作員― 作者:フィオナ・ヒル,クリフォード・G・ガディ新潮社Amazon このブログでは、その妄想ぶりについてかなり細かく指摘されているけれど、基的にはこれまでしょっちゅうお目にかかった、大ロシア帝国復活こそが歴史的必然であり、民族の悲願なのであり、それを西側がじゃましくさっておるのよ、という話。いやそれよりひどくて、ロシアは昔から、優しい民主的な共存共栄の

    ロシア帝国300周年記念に寄せて (2022/02/04): ロシア停戦交渉団親分の「帝国バンザイ!」 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    訳者まえがき まちがって公開されたとおぼしき、ロシアウクライナ征服に成功していた場合のロシア国営通信 RIA予定稿の全訳。すぐに引っ込められたが、Wayback Machineにしっかり捕捉されていた。すごい代物。いくらでも言いたいことはあるが、読めば多くの人は同じことを考えるだろうし、ある100年近く前のドイツの人が書いた文章との類似も明らかだとは思う。 以下のツイート経由で存在を知った。ありがとうございます! 1 “The resolution of the Ukraine question.” A mistakenly published Russian article gives us a chilling insight into the neo-imperialist thinking in Russia that drives Putin’s decision to inv

    ロシアの攻勢と新世界の到来 (2022/02/26): 侵略成功時のロシアの予定稿 全訳 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    最近さまざまなメディアにおける人民諸君の発言を見るにつけ、であるな、多くの者が堕落し、あるべき革命精神を忘れ、軽視し、捨て去っているように見えるのだよ。特にへっぽこリベラルえせ知識人どもよ。そうした反革命分子どもにも、更正の機会を与えてやろうではないか。偉大なる首領、我らが指導者スターリン閣下のありがたきインタビューを読んで、あらためて社会における己の卑しき役割を再認識したまえ。 H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー、1934年7月 pdfが嫌な人は、この下に全文貼り付けてあるのでこのまま読み進めたまえ。 というわけで、H・G・ウェルズによるスターリンのインタビュー。大恐慌真っ最中の1934年にソ連を訪れたイギリスの大知識人たるウェルズは、もう資主義は終わりだ、社会主義の時代がすぐにやってくると、当時の (そして今の) 軽薄なリベラル知識人ぶりを全開にしてスターリンにインタビュ

    偉大なる首領スターリン閣下のありがたきインタビューでも読み給え。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 統計の不備と、各種統計の「相関」の話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary 統計の信頼性について疑問を呈した柳下毅一郎のツイートを、山形は一蹴した。が、その後勤労統計の集計方法の不備が露見した。ここから、この統計は捏造であり、それが相関しているならすべての統計が捏造だ、という極論を述べたブログが出た。しかし統計は、一かゼロか、完璧かすべて捏造か、というものではない。またその相互の関係も、機械的な関係があるということではない。信頼性の非常に広い幅の中で上下するだけなので、実際にどんな不備があってどのくらい影響を及ぼすのかを具体的に考えないと、妥当性のない陰謀論に流れてしまうだけだ。 はじめに しばらく前に、柳下毅一郎がこんなツイートをした。 アベノミクスで経済がよくなってるとおっしゃるリフレ派の方々は、なぜ財務省の出す経済指標は捏造されてないと信じられるのだろうか。— Kiichiro Yanashita (@kiichiro)

    統計の不備と、各種統計の「相関」の話 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 経済学でも男女で意見の相違があります - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『エコノミスト』で、経済学者でも男女で意見に差が見られるという研究を紹介し、こういう意見の相違が研究にも影響するかもね、という記事を載せたところ、経済学関係者の出入りするフォーラム、Economic Job Market Rumors で関連スレッドが、まさにここで紹介された経済学セクシズムホイホイと化しているそうです。 you’ve read The Economist article ... and maybe even tweeted your own survey responses ... don’t lose sight of what’s at stake here https://t.co/9Mh0Ds77HR— Claudia Sahm (@Claudia_Sahm) 2018年2月19日 で、問題の記事とはどんなものか?お楽しみあれ(ここは一つ、ディアドラ・マクロスキー

    経済学でも男女で意見の相違があります - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    『ハリー・ポッターと巨大な灰の山らしきものの肖像』 AIにハリポタ全巻喰わせて、新作を生成させたそうな。まあご覧あれ。 Botnik Studios こいつを見て、あまりに感動してしまいました。この支離滅裂、異常な構想力、唐突な破綻ぶり。デスイーターたちが何だか知らないけど無意味にやおいらしきものを始めるところ。人工知能には創造性がないとかいっている連中がいるけれど、これでも、あるいはアルファゼロの囲碁でもそうだけれど、むしろ人工知能が明らかにしているのは、ぼくたち人間の知能や創造性と称するものがいかに制約されていて、型にはまっているかということだと思う。ウィリアム・バロウズが人間の矮小な構成力とキャパシティでほんの片鱗だけやってみせたことを、人工知能は鼻くそほじりながら(比喩的に)一瞬でやってのけている。 追記:このプロセスについてもう少し詳しく見た人がいる。これは当にほぼカットアップ

    AI ハリー・ポッターの衝撃 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • え? じゃあエンブレムの「コンセプト」は原案にはなかったってこと? - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    東京オリンピックのエンブレムの問題はもう、実におもしろくてもともとオリンピックなんかやるなと思っていた身からすれば、これだけ楽しませてくれるんなら少しは大目にみようかと思ってしまうほど。 で、ぼくはどうでもいいオリンピックのエンブレムなんかどうでもいいんだけれど、そのぐだぐだぶりは大変おもしろく見ている。で、今日になってエンブレムの「原案」と称するものが出てきた。この左端。 ????? なにこれ?? というのも、最初にあのベルギーの劇場ロゴとそっくりだという指摘があったときに「いや全然ちがいます、コンセプトがちがいます」という主張が行われ、その際に出てきたときの「コンセプト」というのはこんな説明になっていた。 www.advertimes.com そのコンセプトというのは、正方形9分割に日の丸の丸を重ねて作ったものだ、ということだった。こんな図が出てきている。 分割した正方形と円を重ねて、

    え? じゃあエンブレムの「コンセプト」は原案にはなかったってこと? - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 華麗なるギャッビーと戦争 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    Executive Summary フィッツジェラルド『華麗なるギャッビー』は、当初それほど評判はよくなかったし、フィッツジェラルドも晩年は不遇だった。だが、第二次世界大戦の米軍兵士慰問用の推薦図書に含まれたことで、その命運は変わった。つらい戦場の兵士にとって、この小説は華やかで豊かな夢のアメリカのイメージを喚起する小説として人気を博したのだった。そして、それがフィッツジェラルドの戦後の読者層を確保したことで、彼は再評価されるに到ったという。 華麗なるギャツビー (角川文庫) 作者:フィツジェラルドKADOKAWAAmazon フィッツジェラルドの『華麗なるギャッビー』は、アメリカ金ピカ時代を描いた大傑作で、村上春樹が訳しなおしたりしている。作者存命中は全然売れず、その死後にフィッツジェラルド再評価の気運が高まって大ブレイクを果たしたというのも有名なところ。 村上訳『グレートギャッビー』の

    華麗なるギャッビーと戦争 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」

    21世紀の資 作者: トマ・ピケティ,山形浩生,守岡桜,森正史出版社/メーカー: みすず書房発売日: 2014/12/09メディア: 単行この商品を含むブログ (107件) を見る ピケティがらみの話で、そろそろデータを見た人が反論を始めている。そして、日の状況はちがう、日はまれに見る平等社会、日は格差が開いていないどころかかえって狭まっている、よってピケティなんかダメ、という議論をしている。 さて、ピケティを盲信して格差、格差、この世の終わりだ資主義の宿痾だ革命だマルクス様の復活だついでにアベノミクス許さんとさわぐのはたいへん愚かで恥ずかしいことなので、やめていただきたいところ。金持ち儲かるんだろ、知ってたぜ、常識だフン、どうせオレたち貧乏人はいくら頑張ってもダメなのよ、ついでにアベノミクス許さん、とかいった間抜けな発言は、ツイッターくらいにとどめておいてほしい。 その意味

    ピケティにからんで日本の格差について - 山形浩生 の「経済のトリセツ」
  • 高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    貯まっていた Science をいっしょうけんめい消化しているんだけれど、そこで見たおもしろい記事。老化特集なんだけれど、そこで子供時代のIQと高齢になってからのIQを調べた研究についての話が出ている。 Emily Underwoood, "Starting Young" (Science 31, 2014/10) スコットランドで、11歳のときのIQとその50年後のIQを追跡調査で千数百人について追跡したんだって。そしてそれで得られた知見は……だいたい見当つくでしょ。11歳のときに高IQだと、高齢になってからも高IQだということ。50%くらいの説明力があるそうな。だいたい子供の頃にかなり決まっちゃうんだねー。幼児教育や児童教育はケチらずがんばろうぜー。それは高齢化対策にもなるんだから。 この研究で他におもしろかったこと。 ワイン飲んでも知能改善になるかどうかわからんらしい。 一日にワイン

    高齢時の知能も子供の頃にかなり決まっちゃうんだって。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    サンリオSF文庫総解説 作者: 牧眞司,大森望出版社/メーカー: の雑誌社発売日: 2014/09/18メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログ (20件) を見る 全体的な感想 しばらく前に寄稿したが出ました。すばらしい。サンリオSF文庫はぼくの十代の想い出とも重なっていて、なかなかノスタルジックないいになってるんじゃないか。今まできちんとやられていなかった、山野浩一のインタビューも、歴史的に重要だしまったく意外な話はなかったものの、当時の事情が非常によくわかる。出版からサンリオが退却したのは、上場のためだったんですねー。そして、サンリオにラテンアメリカ文学が入ったのは、大瀧啓祐が木村栄一をサンリオに紹介したおかげだ、というのも驚き。 出たすべての解説が出ていて、書き手によって好みはあるけれど、どれもいい感じ。『V』とか『マイクロノーツ』とか、だれも当時ほとんど顧み

    牧真司他編著『サンリオSF文庫総解説』:落ち穂拾いなど - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • あらためて、オリンピックに経済効果なんかないこと。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    昔、Voiceに、オリンピックに経済効果なんかないし、無理して誘致すべきでない、というコラムを書いた。 オリンピックには経済効果なんかありません。(2007/05) 2007年の話で、ここで話題にしているのは、2016年リオデジャネイロオリンピックが選ばれたときの話。ぼくが言ったとおりアメリカ大陸になったでしょー。 で、その中で話題にしている研究というのは、以下のものだ。 Jeffrey G. Owen (2005) "Estimating the Cost and Benefit of Hosting Olympic Games: What Can Beijing Expect from Its 2008 Games?" The Industrial Geographer, Volume 3, Issue 1, p. 1-18 こうやっても君たちは読まないだろうから、ざっと訳してあげまし

  • フェイスブックは人を不幸にする! - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) 作者: デビッド・カークパトリック,小林弘人解説,滑川海彦,高橋信夫出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2011/01/13メディア: ペーパーバック購入: 33人 クリック: 2,842回この商品を含むブログ (240件) を見る Get A Life!! Facebook is Bad for You (2013/8/17号 p.68) フェイスブック参加の誘惑に抵抗し続けてきた人々は、最新の研究成果を読んだら勝ち誇ることだろう。ちょうど「Public Librarry of Science (科学の公共図書館)」誌に発表された、ミシガン大イーサン・クロス&ベルギーのルーヴァン大フィリッペ・フェルデュンが実施した研究によれば、人はフェイスブックを使えば使うほど、人生に対する満足度が下がるとのこと

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  • 実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    デニス・ノーミル(Dennis Normile) 原文:Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures (Science 10 May 2013: Vol. 340 no. 6133 pp. 678-679) (翻訳 山形浩生) 東京: 2011年3月、福島第 1 原子力発電所での惨事が展開する中で、早野龍五は放射性物質の放出についてツイッター投稿を始めた。この東京大学素粒子物理学者は、次第に地域住民の被曝をめぐる論争にますます深く引きずり込まれるようになっていったのだった。当局がきちんとした事実を提供していないことに失望した早野は、学校給の放射性セシウム検査を始めた。これは福島周辺の環境で最も量の多い放射性核種だ。そして、汚染物をべることで地元住民がどれだけ放射性核種を吸収しているか計測しようとし

    実測データ収集へのこだわりで、被曝水準の低さが裏付けられる - 山形浩生の「経済のトリセツ」
    yukatti
    yukatti 2013/05/10
    Insistence on Gathering Real Data Confirms Low Radiation Exposures - http://www.sciencemag.org/content/340/6133/678.short
  • 都甲『21世紀の世界文学30冊』:紹介としてはよいながら視野が狭く筋が通っていない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    21世紀の世界文学30冊を読む 作者:都甲 幸治発売日: 2012/05/01メディア: 単行 世界文学、と称しつつ紹介されているのは英語小説、特にアメリカ中心。著者もそれを気にしているようで、「はじめに」であれこれ言い訳する。英語も大してできないし(まあこれは謙遜だろうが)、その他の言語はほとんど初歩程度。でも、それでもここで紹介されているのが世界文学だといえるんだって。なぜかといえば: 書で選んだ三十冊はいずれも、アメリカ合衆国に関係が深い。そしてこの一〇年とは、9/11の事件以来アメリカが世界で暴れ回り、グローバリゼーションの一層の進展とともに英語帝国主義が猛威をふるった時代だった。 だから、アメリカ中心の英語小説の話をするだけでも、世界(に関係のある)文学といえるのだ、というわけ。 が……少しでも世界の政治経済文化を見ている人間なら――The Economist、いや思いっ

    都甲『21世紀の世界文学30冊』:紹介としてはよいながら視野が狭く筋が通っていない。 - 山形浩生の「経済のトリセツ」
  • 瀝青会『今和次郎「日本の民家」再訪』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」

    今和次郎「日の民家」再訪 作者: 瀝青会,中谷礼仁,石川初,菊地曉,福島加津也,御船達雄,清水重敦,大高隆出版社/メーカー: 平凡社発売日: 2012/03/25メディア: 単行購入: 5人 クリック: 166回この商品を含むブログ (12件) を見る 今和次郎の名著『日の民家』は、大正期の何の変哲もない民家の記録分析として今でも実におもしろい書は、そこに登場する民家を再訪し、その変化を記述したものだ。 こんなが成立すること自体が驚きだ。この九〇年を経て、かなりの家がまだ残っている! むろん消えたものも多く、残った場合でも昔通りではない。だが、その変化こそ書の注目点でもある。 変化の理由はおなじみのものだ。都市化、経済基盤変化、道路拡幅……。元のでの今の注目点は、それぞれの民家が持つ自然や経済の環境に対する合理性だった。書の分析は、周辺の変化と家の変化の関わりを細かく捕ら

    瀝青会『今和次郎「日本の民家」再訪』 - 山形浩生の「経済のトリセツ」