で、もう一つの系統が人権映画と言われてるものなんだけど、実はその範疇に戦争映画が入ってるんです。人権映画という大きなカテゴリがあって、その中に戦争映画が押し込まれてるんだよ。それが彼の面白いところというか、一種の詐術なんだけど。 普通は戦争映画と言ったらエンタメですよね。 押井:そうなんだけど、でも彼の場合は賞狙いに行くような人権映画を取るときに戦争というシチュエーションが入ってくる。たぶんこれを指摘した人間はあんまりいないと思う(笑)。でも言われてみればそのとおりでしょ。 どうしてなんでしょうか? 押井:それはズバリ、彼がユダヤ系だから。これはアメリカの監督を考えるときには必須の要件でもあるんです。明らかに「この人はユダヤ系だな」というのがわかるときがある。それは監督だけじゃなくてプロデューサーも。そういうときは必ずある種の政治的なバイアスがかかってると考えて間違いないんです。 マイノリ
『ヱヴァQ』と言われて「オバQ」の間違いじゃないかと思いました。 いきなりどうでもいい話ですが、なんでもかんでも短縮するのはやめて欲しいものです。 前号で「公開中の作品については何も言わないのが仁義」てなことを書きましたが、もはや恒例行事と化した観の『エヴァ』ではあるし、相変わらず盛況のようではあるし、私ごときが何を言おうが書こうが1ミリの影響もあるでなし。編集部に請われるままに書くことにしました。 あらかじめ言っておきますが、僕は『エヴァ』に関しては、シリーズを何本かと、最初の映画版(「春エヴァ」?)以外は全く見ていません。見ていませんが、おそらくは『エヴァ』という作品について、もっとも適切に語り得る人間のひとりであろうと自負しております。 ひと言で言って、『エヴァ』という作品は、まるで明治期の自然主義文学の如き私小説的内実を、メタフィクションから脱構築まで、なんでもありの形式で成立
押井:そういえば、若いプロデューサーたちや制作たちで鬱病っぽくなってる人が増えているんだよね。この映画のサヴェージ准将みたいなもんだよ。出社拒否になっちゃって、会社に出てこないで家でDVD見てるんだって。揃いも揃ってみんな30過ぎてから。ローンで家を買って子供が産まれた途端に。 何があったんですか? 押井:たぶん、これから30年間ローンを返さないとって考えたときにやっと気付くんだよ、自分のスタジオはこれから30年存続するんだろうかって。 例えばジブリ(宮崎駿氏の所属するアニメスタジオ)。どう考えても宮さん(宮崎駿)があと30年生きるわけがないけど、宮さんが死んだ時点でジブリはおしまいだってことは誰でもわかってる。存続するにしても版権管理会社だよ。じゃあ今あそこで働いてる連中はどうなるのか。 他のスタジオには移れないんですか? 押井:ジブリのアニメーターには5年10年やってても人間を描いたこ
海外版「家族ゲーム」を見た 海外出張から戻られたばかりのお忙しいところすみません。今回は何の映画にしましょうか? 押井:何にしようかなあ。考えるヒマがなかったよ。 外国に行く飛行機の中で何か映画は見なかったんですか? 押井:行きの飛行機は酒飲んで「アベンジャーズ」見て寝ちゃったんですよ。帰りは「インモータルズ」か。これアクションはすごかったけどお話はなにもないし(笑)。あとカナダで映画を3本見まして。 そんな時間あったんですか? 押井:夜は暇だったから。その中の一本で、ウイリアム・フリードキンの最新作「Killer Joe」が面白かった。殺し屋ジョー。ポスターで渋いおっさんが自動拳銃構えてたから、ハードボイルドが見れるかなと思ったんだけど、全然違ってて、めちゃくちゃな家族の話だった。 台詞が英語だから細かいところはわからないんだけど、父親とその新しい彼女のおばさんと、息子が結託して、殺し屋
2014年10月(1) 2014年09月(1) 2014年08月(2) 2013年02月(6) 2013年01月(17) 2012年12月(16) 2012年11月(12) 2012年10月(5) 2012年09月(2) 2012年07月(5) 2012年06月(2) 2012年03月(2) 2012年02月(21) 2012年01月(18) 2011年12月(8) 2011年11月(7) 2011年10月(1) 2011年08月(6) 2011年07月(4) 2011年01月(9) 2010年12月(7) 2010年02月(1) 2010年01月(17) 2009年12月(4) 2009年09月(10) 2009年08月(25) 2009年07月(26) 2009年06月(20) 2009年05月(5) 2008年06月(5) 自分は日本人論は嫌いですが、日本とその他の国々に違いがあるの
前回は「ここぞという場面では、責任回避するんじゃなく、ある程度リスクを取ってでも決断しなくてはならない」というお話でしたが、私を含めて日本人って、御上に何でも決めて欲しいと思ってるし、政治の方もリスクや責任を取りたがらないから何も決まらないし、そういう意味ではダメダメです。 押井:原発も、オスプレイも、国に対して「安全を保証しろ」と言うだけで、何も引き受けようとしてない。「そんなに安全安全言うんだったら、生きるのやめれば」って思いますよ(笑)。安全をすべてに優先していたら、食べたいものも食べず、やりたいこともやらず、になってしまう。それで本当に生きてて楽しいの? 仮に原発の問題が解決したって、次の恐怖が来るだけの話だよ。オスプレイが飛ばなくたって、普通の旅客機が落ちなくなるわけでもない。 いや、そこまで極端な話じゃなくて、たいていの人は、安全とリスクのバランスを上手に取りたい、ってことなん
身の丈を知ることが「負けない方法」になるか? 今回もよろしくお願いします。前回は「映画監督にとっての勝利条件、それは興行成績や映画賞を取ることではない、それが証拠にハリウッドの有名監督は幸せそうに見えない」、というところからのお話でした。 お聞きしていて思ったのですが、最近は「出世やお金に興味は薄い。家族や地元の友達と仲良くやっていければいい」という人が増えているといいます。「高望みしない」ことが、映画監督の勝利条件ということになるんでしょうか。 押井:それは違うと思います。ハリウッドに行ったら勝ちというわけじゃない、という話をしたんですが、だからといって「ハリウッドとか、バカな野望は持たないで、自分の身の丈に合った映画だけを日本でしみじみやっていればいいんだ」と誤解されるとこれまた困るんですよ。「ハリウッドに行かないこと」自体が目的化されちゃうのは、話が全然違う。お前は好きな映画を撮るた
日本を代表するアニメーション映画の監督である押井守監督は、実は、組織マネジメントにおける「勝敗」についてずっと論じてこられました。たとえば『勝つために戦え!』(エンターブレイン)という本では、映画やゲームといったご自身に近い世界だけでなく、サッカーについても語っていらっしゃいましたね。 押井:もともと、「キーパー以外の選手は手を使っちゃダメ」くらいの、簡単なルールしか知らなかったんだけど、静岡人の奥さんに教育されたんです。そのうちにゲームの勝敗よりも「フットボールクラブとは、何を目的にした、どういう性格を持つ組織なのか」「監督が次々に交代になるのは、クラブのどんな状況や、条件によるものなのか」という方に興味が出てきて、いろいろ考えているうちに「サッカーの監督も映画監督も、基本的に考えていることはみんな同じだ」ということに気がついたんです。映画監督として30年ぐらいのキャリアの中で気がついた
宮崎駿曰く「自分で“失敗した”とは絶対言うな」 前回に引き続き「飛べ!フェニックス」がお題です。リーダーがみんなに大きなリスクという秘密を隠し通し、結果的に生還できたというストーリーから「ウソやペテンはダメだが、勝つためには嘘にならない詭弁は弄しても構わない。最終的に勝てばみんなハッピーなんだから」というお話でした。 押井:勝負は勝つためにやるんだから、勝たなきゃ意味がないんです。だから勝つためには詭弁だって使うんです。例えば作った映画の評判が良くなかったとしても、監督は「とんでもないものを作っちゃった」とは言うかもしれないけど、「失敗した」とは絶対に言ってはいけない。これは宮さん(宮崎駿)に習ったんです。「自分で“失敗した”って言うな、口が裂けても言っちゃダメ」って。 ははぁ。 押井:「わけがわかんない作品」と言われても「わからない奴のほうがバカなんだ」って言い続けるんです。そりゃ難解な
週刊ファミ通のニュースページ“エクスプレス”で連載中のゲームに関連した著名人へのインタビューコーナー“Face”。誌面スペースの都合などからカットした部分を網羅した完全版をファミ通.comでお届け。今回のゲストは、映画監督の押井守さんです。 今週のお題 『重鉄騎』 Xbox360 カプコン 2012年6月21日発売予定 7990円[税込] ※限定版は35000円[税込] Kinect(キネクト)とコントローラを使い、二足歩行の兵器“鉄騎”を操って戦うドラマティック戦場体験ゲーム。アジアの大国を中心とする国連軍が統治する世界で、自由と正義を取り戻すため、アメリカ軍に所属して戦う主人公パワーズと戦仲間の絆が描かれる。ひとりでのプレイはもちろん、最大4人まで参加できるオンライン協力プレイも楽しめる。 映画の予告編のつもりで作りました 映画監督 押井守(おしい まもる) 1951年生まれ。『GHO
Xbox 360「重鉄騎」押井守監督によるイメージトレイラーが現在撮影中!公式サイトでは世界設定を解説する「重鉄騎シークレットファイル」が連載開始|Gamer カプコン、Xbox 360「重鉄騎」。イメージトレーラーを、映画監督・押井守氏が撮影中! - GAME Watch 押井守監督が、6月21日に発売予定のXBOX360用ゲームソフト『重鉄騎』のイメージトレイラー撮影のため、かつて『アヴァロン』の撮影を行ったポーランドでロケを慣行とのこと。特報映像では、やはり『アヴァロン』にも登場したT-72らしき戦車が見えています。 『鉄騎』は2002年にXBOX用として発売された「鉄騎」という二足歩行戦車を操るアクションゲームで、『重鉄騎』はその新作。CERO Z(18歳以上対象)でハードな描写のゲームになっております。
【未来の3D】体感コメント | 著名人芸能人 | トロン:レガシー オカッパ姐さんの「クオラ」は本年度最高のヒロインです。 前髪斜めカットの変則型ですが、オカッパ女優の殿堂入り確定しました。 あ、もちろん3Dも見事なもんです。 なんちゃって3Dでなく、真面目に立体やってます。 初監督のコジンスキーさん頑張りました。 クオラ主役で続編を希望します。 押井監督の趣味に走りまくったコメントです……。 近年では押井氏のおかっぱ好きはすっかり有名で、『攻殻機動隊』の素子以降のヒロインはおかっぱばかり。『アヴァロン』でもアッシュにおかっぱを要求しました。『スカイ・クロラ』でも、原作の挿絵イラストではショートカットだった草薙の髪型をおかっぱに変更させています。さらに『サイボーグ009』では、原作ではロングヘアーだった003をおかっぱに……。
ブツブツ 戦線から遠退くと楽観主義が現実に取って代る。 そして最高意志決定の場では、現実なるものは しばしば存在しない。戦争に負けている時は特にそうだ
「すがすがしいくらいに完敗だった」と素直に負けを認める押井守監督 25日、池袋テアトルダイヤで映画『アサルトガールズ』公開記念トークショーが開催され、押井守監督、徳間書店の雑誌「COMICリュウ」編集長の大野修一が登場した。 映画『アサルトガールズ』写真ギャラリー この日は、気心の知れた大野編集長がトークの相手とあって、リラックスムードの押井監督。客席に向かって「クリスマスなので、誰も来てないかなと思ったけど、みんなけっこう寂しいんですね」とジョークをとばすなど、口先もなめらかだった。 ADVERTISEMENT そんな監督は、先日、映画『アバター』を観てきたばかりだと切り出すと、「あれは事件だよ。全員に観て欲しい映画だね。こちらがやりたかったことを全部やられちゃった。ハリウッドの物量だけの映画なら悔しくないけど、(監督の)キャメロンは頭がいいよね。あれには10年かけても追いつけない。映画
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