1 フラワーカンパニーズというバンドのことはよく知らないし、ましてやファンというわけでもないけれど、「深夜高速」という曲は昔から好きだった。リリースされたのは2004年とのことだ。 今から10年以上前になる。当時の僕は札幌に住む大学生で、コンビニの深夜バイトをしていた。深夜のアルバイトのメリットといえば「時給が良い」ということに尽きる。けれど、昼間の時給が北海道の最低賃金の630円くらいだったそのコンビニでは深夜の時給もわずか800円程度だったし、最初は先輩と2人で仕事をしていたけれど人手が足らず途中からはずっとワンオペ勤務だった。当時の札幌は政令市の中では賃金水準が全国ワーストレベルではあったものの、探せば日中のバイトでももう少しマシな条件のバイトはあったはずで、結局のところ「深夜という時間帯」が僕の性に合っていたということだと思っている。時計の針も止まりそうな夜の底で、一人きりの店内は