取材でタンポポの自生状況を調べていた時のことです。取材相手の勧めで見た大阪市立自然史博物館のユーチューブで、ある動画のタイトルが目に留まりました。「アングラ収蔵庫トーク」――。 コロナ禍で休館中だった2020年5月に始まった企画で、各専門分野の学芸員が収蔵庫を舞台に、普段は見ることができない「とっておき」の標本や資料を解説します。こうした裏側を紹介する取り組みは、コロナ禍をきっかけに各地の動物園や美術館で広がりましたが、「アングラ――」の特徴は主役の学芸員の後ろで同僚の「ひな壇学芸員」が入れる「ガヤ」のにぎやかさにあります。 例えば、第13弾となる最新作。和田岳学芸員が鳥の巣の収集 譚(たん) を専門的に解説する中に軽妙なやりとりが交じります。「10年もたつのにどうして形を保っているの」「愛の力だと僕は信じているんです」「和田さんも愛を持って保管しないといけないですね」……。楽しげに、夢中