「公正で持続可能な経済モデル」とは? コロナ危機後、経済はどのように変わるのが望ましいのだろうか。ピケティが提言するのは、気候変動対策と不平等是正の二つを組み合わせた「いまよりも公正で、いまよりも持続可能な経済モデル」への転換だ。 財源には、米国やドイツで注目されている「富裕層の資産への累進課税」を使うべきだというのがピケティらしい。一部の環境保護論者が、気候変動対策を重視するあまり、格差問題が悪化しかねない環境政策を提言しがちなのとは一線を画しているのだ。 「富を社会の上位集団に集中させたほうが、経済を効率的に運営できる」というネオリベラリズム(新自由主義)のイデオロギーに批判的なのがピケティの立場である。 2019年9月にフランスで出版した『資本とイデオロギー』(未邦訳)では、富裕層の私有財産に課税して得た税収を財源にして、国民が25歳になったら一律で12万ユーロ(約1400万円)を支
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