■人口の1割が受験生 「わが校から統一入試6位を輩出!」「全インド女子1位!」――。人と牛が行き交う市街地に入ると、そんな看板が続々と現れる。子供たちの顔写真の下にずらりと並ぶ数字は、入学試験のランキング。成績優秀な塾生を輩出したことを宣伝する進学塾の広告なのだ。ここは、インド北西部の地方都市コタ。大小の予備校や進学塾が軒を連ね、「私塾産業の震源地」と呼ばれている。 「私塾産業の震源地」と呼ばれるコタの町に立ち並ぶ予備校の看板 とくに目立った産業もなく、半ば眠ったような田舎町が一変したのは1990年代。この町に開校した小さな私塾が、世界でも超難関と言われるインド工科大学(IIT)に合格者を輩出したことが評判を呼び、インド各地から受験生が殺到。他の塾も相次いで参入し、遠方からの生徒のために寮が続々と建てられた。いつしか、「教育」が町の主要産業の一つとなり、現在、コタの人口の1割に当たる約15