枝野幸男官房長官は、2011年4月10日、復興財源で「日銀の国債引き受けという形を取らない」と明言した。その理由として「国債の信認」を損なうとしている。白川方明日銀総裁も、国会において、日銀の国債引受は「通貨の信認が損なわれる」と反対を表明している。 一方、日銀の直接引き受けによる復興財源の確保は民主党有志議員による「日本銀行の在り方を考える議員連盟」(山岡賢次会長、金子洋一事務局長)や自民党の、中川秀直衆院議員(元幹事長)、山本幸三衆院議員(元経済産業副大臣)らが主張していた。 「通貨・国債の信任損なわれる」とは何か この議論は、通貨・国債の信認が損なわれるというが、奇妙なことに誰一人もどのような状態をいうのか説明しない。通貨・国債の信認は無定義語だ。 私が長年勉強した数学では、定義、それから導かれる定理、定義から定理を導く過程を説明する証明しかない。この意味で、定義はきわめて重要だ。そ