東日本大震災の復興予算により、中小出版社や東北に関する書籍を電子化する「コンテンツ緊急電子化事業」で、受託団体の日本出版インフラセンター(JPO、東京)が電子化したとする書籍のうち、大手出版社の作品が7割近くを占め、東北関連本も全体の3.5%にすぎないことが4日、関係者への取材で分かった。出版関係者は「本来の事業目的と懸け離れており、復興予算を使う意味が全くない」と憤っている。 JPOは事業で電子化した書籍6万4833冊のタイトルだけをホームページ(HP)で公表している。関係者によると、このうち少なくとも4万冊は大手出版社の漫画本や小説といった書籍だという。 JPOの資料では、事業目的は「被災地域において、中小出版社の東北関連書籍をはじめとする書籍などの電子化の補助」をうたう。 出版関係者は「大手出版社は自力で書籍を電子化する技術や資金を持ち、補助対象になる必要はない」と指摘する。